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Channel: Mr.コンティのRising JAPAN
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シーズン最終戦 勝利で飾れず 鹿島 2-1 Sydney FC 10.May

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5月10日。午後5時少し前、サウジアラビア人のKhallil Alghamdi 主審の試合終了を告げるホイッスルが鳴った。向こう正面の鹿島サポーター達から一層の歓声が上がる。 でも本音はもっと点差を点けたてほしかっただろう…. 選手達と審判団が互いに握手を行い、鹿島の選手達がサポーター席に向かう。 Sydney の選手達はそのままベンチ裏に向かっていた。 私がマフラーを頭上で目一杯回す。すると1人の選手がこちらに気が付き、また Vitezslav Lavicka 監督も選手達にこちらの方を指さす。 そして選手達が拍手をしながらこちらに向かって来てくれた。嬉しかった。 水色のマフラーを頭上に掲げて選手達の労をねぎらった。
昨シーズン Grand Finalのタイトルを勝ち取り、今シーズンは多くが期待されながら開幕戦の Melbourne Victory を何とか引分け以降10試合4分6敗の後にようやく白星を上げシーズン9位に終わり、来シーズンに向けて ACL に臨んだ Sydney FC が7,800km 離れた東京で鹿島アントラーズ相手に逆転負けを喫したゲームでシーズンを終えた、とオーストラリア紙に述べられていた。 
日本のマスコミ、ジャーナリスト達に今年も A-League のチームが存在感を見せられなかった事が残念でならなかった……

ACL の組み合わせが発表となった時、4年振りに出場権を得た Sydney FC が鹿島と同じ組になり3月に鹿島スタジアムで試合がある事を知りものすごく喜んだ。 日本であの顔なじみの Sydney サポーター達にまた会える。4年前もオーストラリアドルが強くて日本のコカコーラの“安さ”に感激していたなぁ。今年もオーストラリアドルはまた強くなっている。何日滞在するのだろう。ACL 後にまた J-League の試合を見たいと言ってくれるかなぁ…どこに宿泊するのだろう?鹿島は遠いから都内に泊ったら試合後はどうやって帰るのだろう…車で送って上げようか?でも何人来るのかなぁ… 色々思いを巡らせいていた。

しかし3月11日に起こった東北太平洋震災、そして津波でそれらの思いも“流されて”しまった。 
一時は ACL どころかサッカーどころでは無かった…
被災を免れた東京、埼玉、神奈川地方でさえ計画停電やガソリン不足の小さなパニックが起こった。でもそんなの地震、津波に直接被災した地域の人達からすれば物の数にも入らない。
そして ACL の日程が組み直され Sydney 鹿島との“アウェー戦”は最終節の5月10日に変更となった。
Sydney FC 最後までもつかなぁ… 消化試合にならなければ良いなぁ….4年前の浦和戦もさいたまスタジアムで最終節だった。その時の様にエキサイトな試合になれば良いなぁ…と願った。

5月3日。商用先で Sydney FC が ACL 第5戦水原 Blue Wings に3-1 で破れ Round 16 進出の望みが断たれた事を知った。 開幕戦はホームで何とか引き分けられたがアウェーではやはり厳しかった様だ。
前節上海申花戦で勝利を上げた時は期待したんだけど…..

5月10日。試合当日、天気予報は大雨の予想。しかしまだ曇天のままだ。 試合が消化試合になり原発事故の“風評”もあって誰も地元 Sydney から来ていないだろうなぁ…. ならば俺がサポートするしかないと自己満足的な使命感から国立競技場に向かった。 
アウェーサポーター席に着くと Sydney FC のフラッグが手すりにくくりつけられているのが私の目に飛び込んで来た。 そして Sydney FC のユニフォームを着る男性が。 この方は名古屋在住の方で1月に渡豪されて Sydney FC vs Gold Coast Mariners 戦を観戦されたそうだ。 う〜ん、こういう人がおられるとは。本当に心強く思った。 そしてこちら側は“予想通り” 観客はパラパラ。 対面の鹿島サポーター達の歓声が本当によく響いた。しかし彼らがいなければ試合は盛り上がらなかったと思う…..

Sydney FC のスタメンは GK 6試合全てスタメン出場のLiam Reddy 。昨シーズンは後半からポジションを獲得し18試合にスタメン出場。CB は 2009年 FIFA U-20 メンバーのJurrman Matthew と スイス代表3試合出場経験があり昨シーズンは “ A-League 屈指の CB “ と言われたStephan Keller 。共に190cm の長身選手達。 左 SB Scott Jamieson は2008年 Adelaide United のメンバーとして FIFA Club World Cup の出場経験がある。 右SB James Durante は 2007-8 Grand Final で優勝した New Castle Jets のメンバーで2008年シーズンから Wellington Phoenix に移籍し ACL の為に Sydney FC に Loan 移籍した選手。彼も186cmと長身。 中盤はダイヤモンド形の布陣を敷き “1ボランチ”のポジションに 北京五輪メンバーだった Stuart Musialik 。2005年 FIFA U-20 オランダ大会の1次リーグで日本戦にも出場している。
2列目右にはチームの重鎮北アイルランド人の Terence McFlynn 。チーム創設時からのメンバーで今は主将を任されている。左の Rhyan Grant は 2009年FIFA U-20 のメンバー。 そしてトップ下には Socceroos の Nick Carl 。2005年から2シーズン New Castle Jets に所属し以降 Genclerbirligi ( Turkey ) , Bristol City ( England ) と渡り歩くが出場機会に恵まれなかった。ようやく2009年にポジションを獲得し2009年6月 Melbourne で行われたワールドカップ予選の日本戦には久々に Socceroos に復帰した。2007年 Asian Cup の日本戦にも途中出場した経歴を持つがワールドカップは大会直前になってメンバーから漏れた。
2001年FIFA U-20 アルゼンチン大会のメンバーでもあり1次リーグの日本戦では82分から途中出場した経歴を持つ。(試合はオーストラリアが2-0 で勝利 ) 何かと日本戦に縁のある選手だが最も鹿島が警戒すべき選手だった。  FW は昨シーズン20試合出場で9ゴールの Bruno Constantino こと Cazarine 。ACL ではこれまで3ゴールを決めている。 そしてもう1人の FW David Williams は昨シーズン破綻した North Queensland Fury でプレーし ACL の為に Sydney FC に Loan 移籍して来た。 2005年FIFA U-20 のメンバーだったが日本戦での出場機会は無かった。 同年の FIFA U-17 ペルー大会のメンバーにも選ばれたが日程の影響で大会には出場しなかった。参考までに左SBの Scott Jamieson もこの大会に選出されていた。



           


4月13日シドニーでの試合で怪我の為に出場出来なかった Nick Carl James Durante らが前節の水原戦に続いて出場しそして前の鹿島戦では出場停止中だった McFlynn が戻ってきた。
前節スタメンだった注目の日本人選手森安洋文はベンチスタート。そして上海申花戦で殊勲の決勝ゴールを上げた Mark Bridge は臀部の負傷の為に日本遠征に帯同出来なかった。北京五輪メンバーでもあった Mark Bridge の離脱は本当に痛かったなぁ…..



一方の鹿島は興梠が出場停止。 FW は大迫勇也とカルロンのスタメンが予想されていたらしいが大迫の1トップに小谷野がスタメンに起用され1.5列目に入った。 福岡戦ではスタメンでは無かった中田浩二と新井場がスタメンに入った。個人的には柴崎が投入されるか…と少し楽しみにしていた。

鹿島のキックオフで始まった試合。そして本当にキックオフとほぼ同時に遂に雨が降って来た。
しかし雨が降った方が Sydney に有利になるとも思った。
立ち上がりは Sydney が押す展開。50秒には Carl から Williams に渡り、1分41秒にも Carl から Cazarine に渡りシュートに持ち込む。 Cazarine のシュートは曽ケ端が脚でストップされたが惜しいチャンスだった。全体的に“得意の”ハイボールを競った後のこぼれ球を Sydney の選手はよく拾っていた。5分にはまたも Carl からフリーの Stuart にボールが渡ったがコントロール出来ずにシュートを撃てなかった。
しかし立ち上がりの攻勢もここまでで7分過ぎから鹿島にボールが廻り出す。 7分11秒には遠藤からボールを受けた小谷野が大迫にスルーパスを送りシュートを撃つが Sydney DF に当たりこぼれ球を拾った小笠原が遠藤とのパス交換から左サイドを抜け出し中に入れたところ再び大迫がシュートを撃つがGK Reddy の正面を突いた。ボールが廻しでは鹿島はアジアでも屈指のチームだ。9分21秒には青木からボールを受けた大迫が Jurman をかわして遠藤に繋いでシュートに持ち込むが外れる。14分13秒には小笠原のCKから西がヘッドを撃つが GK の正面に。15分11秒にも小谷野がDurante, Keller, Jurman をかわしてドリブル突破最後はスルーパスを送るが僅かに Jamieson がマークに付いた野沢には合わなかった。
15分53秒には良い位置でFKを得るがここは野沢の蹴った弾道はGK Reddy の正面に。17分23秒にも青木がミドルを放つがこれはポストの右に外れて行った。
ワンタッチでボールを回し、空いたスペースに選手が連動して入り込むところはさすが鹿島というよりも J-League だ。 20分頃には鹿島は大迫と野沢の2トップ気味となり2列目の小谷野、遠藤がどんどん上がって来る。青木、小笠原の押し上げも早い。 
22分23秒にはミスパスを拾った大迫が Jurman をかわしてゴール前にドリブルで上がり最後は小谷野に送るが小谷野のシュートもGK Reddy の正面に。 鹿島攻撃陣のシュートがGKの正面を突いてくれるので先制ゴールは喫さずに済んだが、日本の将来を担う大迫にはここで決めて欲しいシーン、というのもあった。
22分23秒、今度は大迫が Musialik に激しいチャージを受けてボールを失うがホイッスルは鳴らない。 こぼれ球を拾った Grant がドリブルであがり Williams にスルーパスを入れシュートに持ち込むが青木がブロックしてCKに。 CKには190cm のCB Jurman, Keller が上がって来る。 そのCK に Jurman が岩政、大迫と競りながら飛び込みヘッドで捉えると見事に鹿島ゴールネットに突き刺さった。 



鹿島サポーターの歓声がぴたりとやみ静寂が競技場を包んだ。そんな中私は “ナイスシューッッッッッッ !!! ” と叫ぶ。 そしてさっきの男性とハイタッチをかわす。
“これで面白くなりますね。”
“先制されたら終わってますから…”

劣勢の中よく決めてくれた先制ゴールだった。
それにしても岩政はアウェーの Sydney 戦でもよく Cazarine に競り負けていた。
代表のCBなのになぁ…と少し心配になった。そしてこのプレーで中田浩二が肩を負傷し替って伊野波が投入された。
あぁこれで高さで押しまくる事が少し難しくなるか…と思った。
鹿島は失点後左 SB の新井場の上がりが顕著になった。 Sydney は攻撃時には Carle が真ん中のトップに上がって来て Cazarine, Williams が左右に開く。シドニーでのゲームでは Cazarine の1トップだったが次の上海申花戦から Cazarine と Mark Bridge の2トップにして結果を出していた。
そして左 SB の Jamieson, ボランチの Musialk が中盤でボールを拾えるようになってきた。
前半の残り時間約20分、数度鹿島がチャンスを掴んだが何とか無失点に抑え前半は Sydney リードのまま何とか終える事が出来た……



Sydney のキックオフで始まった後半。雨脚は天気予報程強くはなっていなかった。観戦にはその方が良いけど
Sydney にはそうじゃない方が良かったか….前半から Sydney の控えの選手達がアップしていたが注目の森安はいつ出てくるのだろう…と思っていた。それから柴崎は…..
後半は両軍選手交替無いまま始まったが試合は鹿島が押す展開。 頼みの Carl にボールが入っても小笠原がさすがのタイミングでマークに入る。 
そして64分、左サイド新井場から伊野波に渡り上げられたクロスが逆サイドに渡りフェリペ=ガブリエルが Keller と競り合いながらも折り返すとそこに大迫がいてそのまま Sydney ゴールに押し込み同点とした。
ようやく大迫が決めたシーンだったがその前にフェリペ=ガブリエルが競りながらも折り返した時点で同点ゴールが決まった様なものだった。そしてフェリペは4分前に小谷野に替って投入されたばかりだった。
同点に追い付かれた Sydneyはその直後のキックオフ後のボールを繋いで鹿島ゴール前に迫り得たFK を Jamieson が中に入れ Jurman がヘッドで落とす。そこに Cazarine が走り込みオーバーヘッドで狙うがファールを取られた。


 
Sydney ベンチは同点ゴールを許した5分後森安がピッチサイドに現れる。誰と交替で投入されるのかと見ていると Nick Carl がベンチに下がって行った。森安の投入は嬉しかったが Carl が下がったのはちょっと残念に思った。やはり故障が完治していないのか…. Bridge がいればなぁ…と思った。



“森安 !! 頑張れよ !! “ 国立競技場で存在感を見せて欲しいと願い声を張り上げた。
74分34秒右サイド McFlynn からのクロスに Cazarine が走り込むが惜しくもオフサイド。 何とかトップの Cazarine 、Williams に良いボールが入らないか…と思いながらピッチを見つめた。
77分大迫がベンチに下がりカルロンが投入される。 この日の大迫は1ゴールを決めたが鹿島サポーターから見れば2ゴール以上は決めて欲しかったのではないかな…そしてこの時点で柴崎の投入が無くなった…
カルロン、フェリペの動きそして小笠原のパスがますます生きて来て Sydney はシュートにすら持ち込めなくなってきた。 そして相手の動きをファール以外では止められなくなってきた。
81分遠藤がPA付近で粘って最後は Musialik に倒されFKを与える。 ゴール正面のいやな位置だった。
小笠原と野沢がボールの後ろに立つ。そして野沢の蹴った低い弾道のシュートがGK Reddy の一杯に伸ばした手を掻い潜ってゴールネットに突き刺さり鹿島が遂にリードを奪った。
試合開始からずっと立ちっ放しで声援を送り続けていたがこの失点で私は座り込んでしまった。
鹿島サポーター達からは安堵の歓声が沸き上がる。 

Sydney は何とか同点ゴールをとボールを繋ぐがPA近くになると鹿島DFの網に簡単に引っ掛る。森安がボールを持つと2人3人と囲みこむ。 FW Cazarine, Williams もちょっとスタミナが切れて来たか….



87分 McFlynn が下がり FW Danning が投入される。 しかし相手ゴールに迫るのは鹿島の方ばかり。88分には Musialik からボールを奪った遠藤がドリブルで上がりファールで止められると FK から攻撃参加した CB岩政 に渡るが何とか Durante がクリアー。 ロスタイムが2分と表示される。 90分35秒、カウンターから Danning から Cazarine に繋がるがここは小笠原が“上手く”ファールで止める。 必死にボールを繋ぐがシュートに持ち込めない。

そして92分15秒、ホイッスルが鳴り響いた…….

まぁ予想通りの結果でしたね…前の試合よりは健闘したみたいですけど…名古屋から来られた彼と握手を交わす。 

気をつけて帰って下さい。 

雨は上がっていた。試合中も“豪雨”にはならなかった。

翌日既にACL 1次リーグ敗退が決まっている Melbourne Victory が 済州ユナイテッドと引き分けた。Kevin Muscat の現役最後の試合となった。また一人日本では知られないが世界では名前が通っている選手が去って行った。
来年のACLに出場が早くも決まっている Brisbane Roar, Central Coast Mariners どんなメンバーになっているだろうか? 

この日の観客数3,164人。でもこういう試合に足を運べる人こそサッカーが好きな人だ…とも思った。

帰りに買った半額になったカツサンド。ほんまにおいしかったなぁ……

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