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Grand Final から来シーズンに Central Coast 2-0 Western Sydney

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発煙筒の煙が少し止み、 Peter Green 主審のホイッスルが鳴り小野から Kresinger へキックオフのボールが渡った。
そして大歓声が上がる。その歓声の6割以上は Wanderers サポーターから湧き上がるものだ。その歓声に乗って Wanderers イレブンが Mariners ゴールに迫る。 43秒には小野から右サイドを上がったボランチの Aaron Mooy に送られ更に右サイドライン沿いを上がった Appaich Kubi に送られクロスが入る。
これは Mariners DF が何とかクリアーしCKに。小野がCKをセットすると更に大歓声が上がった。

立ち上がりは累積警告によって出場停止のエチオピア人 MF Youssef Hersi に替わってスタメン起用された Kwabene Appiah Kubi が顕著に右サイドを上がっていた。 Appiah Kubi は数日前にNew Zealand 代表 All Whites 入りを打診されたらしい。気分は悪くはないだろう。 最前線は Dino Kresinger と小野が上がってきて2トップ気味になることが多いので小野のマーク役にこの試合抜擢された Oliver Boznic が
Appliah Kubi のマークに入れないので同じ All Whites の Michael McGlinchy が左SBの Josh Rose と共に Appiah Kubi をケアーせねばならなかったので Mariners は左サイドが完全に押し込まれる形であった。



しかしこの勢いは5分と持たなかった。4分17秒にカウンター攻撃を展開し、右SB Redj Bojic がクロスを入れ Bernie Ibibi-Isei が Shanon Cole を交わしてシュートを放つがクロスバーを越える。 6分27秒 Rose を右SB Jerome Polenz が倒し Mariners がFKを得る。 McGlinchy が入れたFKにCB Trent Sainsbury がヘッドで合わせるが惜しくも外れる。8分45秒には後方からのロングパスを Sterjovski がうまくバウンドを合わせてマークに入った Nikolai Topr Stanley を外してフリーでシュートを放つが惜しくもポストの右に外れていく。 
Wanderers は小野がトップに入ったことから彼からの絶妙のパスの受け手がなくなっていた。 そして開始早々から勢いのあった Appaiah Kubi が5分も経たないうちに Rose に抑えられるようになってしまった。 早くも Hersi の不在が堪えて来ていた。更に出場停止のMontgomery に替わってスタメンに抜擢されたボランチの Boznic が懸命に小野をマークするのでなかなかいい体勢でボールを貰えない。そして受け手がいないので後ろに下げざるを得ないシーンが目につく。
劣勢続きを見せられ続ける Wanderers サポーター達はまたもゴール裏で発煙筒を炊き始めた。 電光掲示板には発煙行為は違法なのですぐに止める様に注意をするが勿論こんなことで誰も止めはしない。 欧州のスタジアムなら屈強な警察官か軍人が飛んできてすぐにつまみ出されるのだけど…


だがこういう中断にも Mariners は主導権を離さない。 立ち上がりは押し込まれていた左サイドが逆に攻撃の起点になることが顕著になり McGlinchy がよくクロスを上げていた。 26分に小野のFKからCKを得て再び小野が入れたCKに CB Beachamp が飛び込むが届かず逆サイドに流れたところを右サイドを走りこんだ Kresinger が滑りこむが僅かに届かない。 このシーンが前半、というよりもこの試合最も Wanderers サポーターが沸いたシーンであったと思う。
Mariners は Wanderers のもう一人の攻撃の担い手 Mark Bridge には Hutchinson がしっかりとマークに着きボールが思う様に回らない。そしてこぼれ球はことごとく Mariners が拾い続けていた。 
38分には 中央のMcBreen が左の McGlinchy に送るが Wanderers DF がクリアーするがこぼれ球を小野と競りながら小野のマーク役だった Boznic がそのままノートラップで放ったショットは僅かにポストの左に外れる。 40分29秒には McGlinchy からのクロスに McBreen が飛び込むが惜しくも合わない。


 
劣勢続きの Wanderers を見てこのまま何とか前半を終わってくれればと思った44分 Mariners はCKを得る。 McGlinchy が入れたCKに後方から走りこんだ 190cm の CB Patrick Zwaansnwijk のヘッドがさく裂し Wanderers ゴールネットに突き刺さった。 かつて大分でもプレーした38歳の大ベテランが後方から走りこんだのだが誰もマークを付いていなかった。 1か月前のヨルダン戦の失点を見ているみたいであった。 Zwaanswijk のACLでの柏戦に続く高さを生かしたゴールであった。
目の前のゴールに Mariners サポーター達の大歓声が沸きあがった。 彼らを見てさすがべテラン Zwaarswijk と思った。





そして1分間のロスタイムも過ぎ前半終了のホイッスルが鳴った。 1-0 というスコアーは試合内容を的確に表していると思った。



後半、両チームともメンバー交代なく始まった。小野が2列目に下がり Bridge が前線に上がり Kresinger と2トップ気味になった。これで小野からのパスの受け手が増えて Wanderers がチャンスを掴むだろうと期待した。
しかしピッチ上では Mariners のボール支配率は変わらなかった。そして59分頃からまた Kresinger のワントップに戻した。
それでも相手ゴール前に迫るのは Mariners イレブンばかりだった。63分には後方からのロングパスをまたも Sterjovski が受け今度は Beachamp と競りながらシュートに持ち込むがこれはクロスバーを越えた。
この二人、元 Socceroos 同志の競り合いだった。
66分 Wanderers ベンチは Kresinger を下げてコソボ人FW Labinot Haliti を投入した。前線をどうするのだろうと思うと
その直後に Wanderers のミスからボールを奪われゴール前にボールを送られ最後はPA内で McBreen と競り合った Jerome Polenz の手に跳ね上がったボールが当たりPKを取られてしまう。 ちょっとこの判定はかわいそうだと思ったけど故意でないにしろ明らかにボールは Polenz の手に当たっていたのでPKもやむなしといったところか。
Wanderers サポーターの目の前の出来事にスタンドからは発煙筒が投げ込まれるがこのPKを McBreen が決めて Mariners のリードが広がった。 残り23分で2点差、無理ではないがこの展開をみると厳しいか…と思った。





71分 Wanderers ベンチは Appaich Kubi を下げてTarek Elrich を入れて Mooy を2列目に上げてきた。すると1分後今度は Mariners ベンチが動く。ベテランFW Sterojvski を下げて Mitchell Duke を入れるが2トップは変わらない。 Duke こ今シーズン6ゴール決めている FW だ。 Wanderers は 76分に Polenz を下げて Rocky Visconty を入れて2列目左においてBridge と Elrich の2トップにする。 小野をトップ下において Mooy を2列目右に置いた。そしてボランチを Poljak 1枚にした。
だがラストパスどころかその前のパスも繋がらずロングパス、ミドルパスも簡単に Mariners 中盤にカットされる。 DFラインと中盤がコンパクトに保たれているので常に数的優位を保つ。80分には Bojnik が Mooy を倒して FKを得る。 小野がボールをセットすると Wanderers サポーター達から何とかしてくれと大歓声が上がるがゴールには結びつかない。 その後、逆に Wanderers ゴール前でこれまで激しく体をぶつけ合っていた McBreen と Beachamp が遂に爆発する。 ここは主審から注意だけであったけど、劣勢続きの展開に Wanderers サポーター達はグランドに背を向けてみな肩を組んで何かチャントを叫びながら飛び上がり続ける。



83分、Wanderers がPAのすぐ外の正面やや左の好位置でFKを得る。思わず“小野、お前が蹴れ、小野、もう一度蹴れ。”と叫ぶ。サポーター達もそれを望むが蹴ったのは Mooy 。
その弾道は大きくゴールを外れた。



Mariners ベンチは87分ベテランボランチ Huchinson を下げて21歳の Nick Fitzgerald を投入する。 Mariners サポーターから Hutchinson に大歓声が送られる。 Fitzgerald はシーズン途中から Brisbane Roar から移籍してきた選手だけど 2009-10 のシーズンは Mariners に入団し翌シーズンから Brisbane に移籍した選手。これで3大会連続で Grand Final に出場した珍記録を樹立したことに。 
88分に Bridge が左サイドからナイスクロスが入るが Elrichがオフサイドポジションだった。 ロスタイムが3分と表示される。
90分にHaliti がPA内で倒さるがホイッスルは鳴らない。2年前 Mariners はロスタイムに失点をして手中にしていたタイトルを失ってしまった。だけど今年はロスタイムに入っても更に攻勢を続ける。91分には Fitzgerald がフリーでヘッドを放つがここな Covic がキャッチ。 そしてタイムアップのホイッスルが鳴り Mariners が4度目の挑戦で Grand Final で勝利を収めることとなった。





試合後、表彰式が行われる。敗れた Mainers の選手一人一人にメダルが授与されるがもっとも歓声が上がったのは小野の名前が読み上げられた時であった。 来シーズン、小野はもう一度オーストラリアで挑戦することになっているが、ACLで凱旋来日する日が今から楽しみだ。 Popovic 監督は試合後、今はこの敗戦に大変失望しているが翌日は自分たちが成し遂げたことと選手たちを誇りに思えるだろうと語った。 小野もこれで終わりではないと話したらしい。
だけどシーズン終了後、 Kresinger をはじめ Elrich, Gibbs, Visconte 達4選手と契約を更新出来なかった事となった。



そして遂に自分たちが最後に表彰される側に立った Mariners は Hutchinson 首相に優勝トロフィーが渡されるとサポーター達から大歓声が上がった。そして Wanderers サポーター達はまたピッチを背にして肩を組んでいた…



そして Graham Arnold 監督の歓喜というよりも安堵の表情が印象的だった。2006年ワールドカップが終わって Hidding 監督からバトンを受けたが翌年の Asian Cup ではベスト8止まりで、北京五輪でも1次リーグを突破できなかった。チームの経営問題もありながらビッグタイトルを勝ち取った事でこれまでの不運も少しは返せたのではないか。



この試合の翌日に韓国に出発しアウェーで水原三星を破りACLで1次リーグを突破も果たした。 その後広州恒大に敗れたけど、まだアウェー戦が残っている。
試合後、すっかり日が暮れてしまっていた。 2009年は2月に開催され2011年は3月に開催されたんだっけ。
また来年 A-League はどんなドラマを見せてくれるのだろう。 日本の“ジャーナリスト”達には無関係の世界だけどその方がじっくり楽しめる気がする。 この聖域を侵されない幸せを感じながら来シーズンを待つこととしよう。 


Bayern 。下馬評が有利であればあるほど…..

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“まだドイツに人は残っているのかい?“ ロンドンのホテルのポーター達が真顔でこう尋ねるくらいにロンドン中のホテルはドイツ人というよりも Bayern Munchen と Borussia Dortmund のサポーター達に占拠されてしまった様だ。
さすが大陸続きの欧州。本当に羨ましい限りだ。 いつも日かこの試合を実際に....と世界中の football
fun は思っているだろう。

歴史はどう繰り返される?

UEFA Champions League 2012-13 Final. 舞台は聖地 Wembly 。ここでドイツのクラブ同士でビッグタイトルを争うことは歴史のいたずらか? 下馬評では圧倒的に Bayern が有利。だけどどうも Bayern は Champions Leagu ( Champions Cup ) には不運が付きまとうなぁ。

1981-2年は Aston Villa に、Dremmler, Augenthaler, Breitner, Hoeness そして全盛期のK.H.Rummenigge がいても勝てなかった。



1986-7 年はPort相手に先制しながら77分から魔の2分間に連続失点を喫して敗れた。この時も Hoeness, Rummenigge がいた。



1998-99 はご存じの通りに Manchester United にロスタイムで共に交代出場選手だった Sheringham, Solskjaer の連続ゴールで敗れたのは”有名”な試合だ。



2000-01 にようやく Oiver Kahn が2000-01にはようやくGK Oliver Kahn が文字通り勝利を”守り”ようやく25年前 Beckenbauer を擁して欧州3連覇を果たして以来のタイトルを。この時も Rummenigge がいた。 だけどそれ以来のタイトルはこれだけというのは少しさみしい。





昨年は地元 Munchen での決勝戦でありながら Chelsea に敗れた。



それに反して他のBundesligaのチームは勝負強さを見せる。
1996-97 Lippi 監督に率いられ Deschamps, Zidane, Jukovic, Boksic, Vieri そして Del Piero のいた Juventus が優勝するはずだったけど勝ったのは名将 Hitzfeld に率いられた Dortmund だった。そのスタジアムが Munchen Olimpic Stadion だったというのも皮肉だった。



1982-83 11か月前のワールドカップ優勝メンバー GK Zoff, Gentile Cabrini, Scirea, Bettega , Tardelli そしてフランスの将軍 Platini ポーランド史上屈指の攻撃手 Boniek 更にワールドカップ得点王の Rossi を擁した Juventus の優勝は誰も疑わなかった。しかしここでも唯一決まった Magath のゴールがHSV Hamburg 3年前 Kevin Keegan を擁しながらも Nottingham Forest の連覇を許したチームが欧州王者に。 
Juventus の欧州制覇は2年後の Heysel Disaster ヘイゼルの悲劇まで待たねばならなかった。



歴史はどのように繰り返されるのかが楽しみだ。

ドイツ人達がどれだけこのゲームが美しいかを見せてくれるだろう。と英国紙に語ったのは元 England 代表監督の Terry Venables 氏。 The Guardian には約1年前にここから1マイルほど離れた所をホームとするチームに Bayern は打ちのめされた。との行があり、約90,000 枚のチケットのうち両チームのサポーター達には25,000 枚ずつが割り当てられ、ツァーバスを含めて Dortmund のサポーター達からは約50万人の応募があった、そしてドイツからはチケットを持たないサポーター達が約10万人このロンドンを目指していると書かれていた。 
Premier 勢は今年も決勝に届かなかったどころか準決勝にも届かなかった。それでも地元は盛り上がっていると各紙には表現されている。 だけど本当の心境は….

準決勝戦で Barcelona を無失点で圧倒しそして決勝戦でも圧倒的に有利とされている Bayern に更なる追い風が。 Dortmund の中心選手 Mario Goetze が負傷で決勝戦をプレー出来ないこととなった。 Goetze は来シーズンから宿敵 Bayern の移籍が決まっている。Dortmund サポーターならず バツケ Dortmund CEO までもが怒りを爆発させた。違約金3700万ユーロを支払ってまでの引き抜き劇は財政に難があった Dortmund にも3分の責任があるかもしれないけど。昨シーズン香川を放出したように…

ただ Dortmund にも勝機は無くはない。 今シーズンの直接対決はカップ戦を含めて Bayern の2勝2分け。 しかし内容は僅差。 昨年と一昨年は Bundesliga 4試合、ドイツカップ決勝を含めて Dortmund の5戦全勝だった。 それは香川がいたからか?? 今シーズンの Champions League で Bayern は決勝トーナメントに入り Arsenal, Juventus そして Barcelona を破ってきたけどそれらのチームはすべてパスとボール支配率を主体とする戦術のチーム。 Dortmund は速さと流動性を主体とした different beast ( 異なった野獣 ) と表現されている。 Goetze がいない布陣では 4-2-3-1 から 4-3-3 の布陣に替えられるとみられており鍵を握るのは Schweinsteiger, Martinez といった Barcelona を完封したボランチと対峙する Iker Gundogen だろう。彼のフィジカルと圧力がどれだけ相手にプレスをかけられるか。

Bayern は前線と最後尾をコンパクトに保つのが特徴で90年代全盛期にあった AC Milan を思い出させる。 FW Mario Mandzkic と Thomas Mueller はボールが無い時の動きも定評があり相手ボールの時でもプレスをかけ Robben, Libery らのサイド攻撃にも貢献しまたそれを受けることができる選手達だ。
しかし FW は何と言っても得点力。 こういう試合こそ一人でなんでもできる Robert Lewandowski の突破力、得点力が重宝する。 彼の生い立ちも波瀾万丈だ。16歳の時に父親を亡くし、18歳の時に所属先の Legia Warszawa から戦力外通告を受け3部リーグの Znic Pruszkow でのプレーを余儀なくされる。その後1部リーグの Lech Poznan に移籍し2010年香川達と共に Blackburn Rovers, Parma, Fiorentina とのオファーもあったが 475万ユーロの移籍金で Borussia Dortmund に入団する。 Legia Warszawa の関係者は責任を取らされたのだろうか??
しかし入団当時は他のポーランド選手達、 Jakub Blaszczykowski, Lukasz Piszczek達と過ごす時間が長かったせいかなかなかチームに馴染めず、それがピッチ上にも影響したか香川、 Lucas Barrios の様に必ずしも First Choice ではなかった。
2011-12シーズン、 パラグアイ人FW Lucas Barrios が Copa America に出場し負傷を負うとその間にレギュラーポジションを獲得 Christmas Pause 前に22ゴールを挙げる活躍を見せて香川と共に相手DF陣の脅威となる。そして Lucas Barrios は中国超級の広州恒大に移籍した。 今年は35ゴールを挙げているが Champions League では10ゴールを挙げている。特筆すべきは Semi Final 1st Leg での Real Madrid 戦のPKを含む4ゴール。続く2nd Leg では彼を止めようとするシャツを引っ張り、顔に肘を入れ更に両足で身体に乗っかり、Dortmund の Klopp 監督が “ 警告が7回は出てもおかしくなかった“と試合後激怒させた Sergio Ramos を冷静に対応しイエローカードを貰うことなく“決勝進出”を決めた。
決勝戦では Bayern DF 陣が彼を止められるだろうか? 
しかしその Lewadowski も契約を更新しないことが決まっているらしい。 
来シーズンは Lewandowski も移籍してしまうらしいがそうなったら Dortmund はどうなるのだろう? 



3シーズン振りに Bayern に die Meister Schale をもたらし今年も Champions Leageu Final にチームを導いた名将 Jupp Heynckes はこの試合を最後にチームの指揮から降りるのだけどそれは何か月?いや1年前からの既定路線であったらしく来夏からは Pepp Graudiora が就任するらしいけど、日本じゃ考えられないなぁ。
選手達がどう思うのだろう?
1994年日本プロ野球ではシーズン途中から当時夏前には低迷していた中日ドラゴンズの監督人事が噂になり
翌シーズンから星野仙一氏が高木守道氏に替わって就任するとの話が中部地方では持ちきりだった。
しかし盛夏以降中日は勝利を重ね、独走していたジャイアンツに急ブレーキがかかり出し2チームの優勝争いが激しくなってきた。そして翌シーズンのドラゴンズの監督人事も。 
その人事はシーズン終盤に渦中の星野仙一氏が”今、高木さんが優勝争いをしているチームを俺が引受けるなんて話が出来る訳がない。”と一括した事であっさり決まった。 
結果ドラゴンズは最後の試合でジャイアンツに敗れて歴史的なシーズン終了を迎えたが、高木守道監督の続投は決まった。  この比較は欧州と日本の慣例の違いだろうか?



様々な予想が交錯する UEFA Champions League Final. キックオフまであと数時間。 
それにしても日本の“ジャーナリスト”達は予想が好きだなぁ〜。 よくかけているよ。この半分でも良いから6月4日のオーストラリア戦の予想をしてみぃ?? 何なら手伝ってやろうか??



6月4日 Socceroos 戦に向けて…. Kewell out Kennedy & Ognenovski come back

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ブルガリアに敗戦を喫した Samurai Blue 。ワールドカップ予選ホーム最終戦を前に不安を煽るマスコミあるけど、ここは結果よりも選手の調整と最終確認が大事。そして手の内を何もわざわざ対戦を控えた相手に見せる必要もない。
6月4日、さいたまスタジアムでの試合は日本よりもオーストラリアの方が大事な試合。それを考えれば….と思う。


Kewell released by Qatari club 16th May

Harry Kewell が所属していたカタール Al Gharafa から契約を延長しないと通告された。これにより Kewell の日本戦の出場は完全に潰えたこととなった。 今さら Kewell が?と思われる方も多いだろうがそれは3月のワールドカップ予選のオマーン戦で Mark Bresciano が負傷をし、彼の“代役”として Al Gharafa が Kewell と6週間の短期契約を結んだのだった。
在籍中 Kewell は3試合でQatar SC 相手に1ゴールを決めるなど、次のワールドカップ予選の事も考え契約延長を望んでいたのだが Bresciano が回復したので契約延長には至らなかったらしい
Kewell は2012年3月に当時の所属先であった Melbourne Victory を退団して以来1年以上に亘り所属先の決まらない“浪人”状態が続いてる。 
既に34歳になった Kewell は England に戻るとか言われているが来シーズンの A-League 入りも噂されている。
Holger Osieck オーストラリア代表監督は翌週の日本戦からのワールドカップ予選3連戦に向けてのメンバー発表を前に Kewell の所属先決定とそこでのレギュラー出場を望んでいたがこれで彼のメンバー入りは無くなったと思われている。

“ Holgaer Osieck 監督には是非代表でプレーしたい、まだ代表に貢献することが出来ると話していた。しかしそれは彼が決めることでいかなる彼の決定を私は祖恩寵する。 私は悪い気はしていないプレーをする機会を実際に与えれてくれた Al Gharafa には大変感謝している。 代表チームに選ばれる最低条件は所属先のクラブが決まっていることだ。それは充分に理解している。”
この様に語った。

Jets exit race for Kewell 29th May
Newcastle Jets は来シーズンの Kewell 争奪戦から降りたことを表明した。
来シーズン A-League 入りが噂されており Kewell 争奪が関心を呼んでおり目下のところ Melbourne Hearts がその候補と見られているらしい。
Harryは友好的に語ってくれたそして我々は明らかに彼の入団の可能性に就いて話し合いに大変興味があった。交渉はオファー提示にまで進んだが残念ながら彼と自分の家族の為には合わないとみなしたのだろう。我々は彼を A-League で見られることを希望している。なぜなら、彼の様な選手が同じリーグにいることは利益をもたらすからだ。 “ Jets の Robbie Middleby CEOはこの様に語った。 

それにしても Socceroos はまだBresciano どころか Kewell にまで頼らねばならないのだろうか?
所属先が決まっていないのであれば Neil も同じなんだけど。




Kennedy, Ognenovski return for Socceroos
Socceroos のHolger Osieck 監督はワールドカップ予選の最終3連戦に向けて26人のメンバーを発表した。
そこには3月のオマーン戦を累積警告で出場できなかった Lucas Neil そして昨年 Brisbane でのワールドカップ予選の日本戦以来ほぼ1年振りの選出となった Josh Kennedy, Sasa Ognenovski そして Mitchell Langerak.達も選ばれた。
そして A-Lueague からIvan Franjic (Brisbane Roar), Eugene Galekovic (Adelaide United), Mark Milligan (Melbourne Victory), Jade North (Brisbane Roar), Archie Thompson (Melbourne Victory), Michael Thwaite (Perth Glory) そして Dario Vidosic (Adelaide United) 達7選手が選出された。

GK
Mark SCHWARZER , Fulham FC, ENGLAND - 105 (0)  Eugene GALEKOVIC, Adelaide United FC, AUSTRALIA - 6 (0) Mitchell LANGERAK B.V. Borussia 09 Dortmund, GERMANY,

DF
Robert CORNTHWAITE, 全南 韓国- 7 (3), Ivan FRANJIC, Brisbane Roar FC, AUSTRALIA - 3 (0) Ryan McGOWAN,
山東魯能 中国- 3 (0)  Mark MILLIGAN, Melbourne Victory FC, AUSTRALIA - 19 (2)  Lucas NEILL, uncontracted - 89 (0)  Jade NORTH, Brisbane Roar FC, AUSTRALIA - 39 (0)  Sasa OGNENOVSKI, Umm Salal SC, QATAR - 18 (1)
Michael THWAITE, Perth Glory FC, AUSTRALIA - 11 (0)  Luke WILKSHIRE, FK Dinamo Moscow, RUSSIA - 75 (8)

MF
Mark BRESCIANO, Al Gharafa, QATAR - 66 (12) Alex BROSQUE, Al-Ain Club, UAE - 21 (5) James HOLLAND, FK Austria Vienna, AUSTRIA - 10 (0) Mile JEDINAK, Crystal Palace FC, ENGLAND - 38 (3) Robbie KRUSE, Fortuna Dusseldorf, GERMANY - 23 (2)  Matthew McKAY, 長春亜泰 中国- 35 (1)  Tommy OAR, FC Utrecht, NETHERLANDS - 7 (0)  Tom ROGIC, Celtic FC, SCOTLAND - 4 (0)  Michael ZULLO, FC Utrecht, NETHERLANDS - 10 (0)

FW
Tim CAHILL, New York Red Bulls, USA - 61 (27) Brett HOLMAN, Aston Villa FC, ENGLAND - 59 (9) Josh KENNEDY,
名古屋グランパス 日本- 30 (15)  Archie THOMPSON, Melbourne Victory FC, AUSTRALIA - 47 (28)  Dario VIDOSIC, Adelaide United FC, AUSTRALIA - 14 (1)

Socceroos stick with old guard for qualifiers 24th May
Neil の累積警告出場停止を受けて3月のオマーン戦のCBは Michael Thwaite と Robert Cornthwaite であったが日本戦には 35歳のNeil が復帰しその相方はオマーン戦をけがで欠場した34歳の Sasa Ognenovski となる模様。

“ Lucas と Sasa がまた戻ってくる。 彼らは何試合も一緒にプレーしている。この二人は経験もありチームに貢献する特別な技術を持っている。そして私が期待するところは彼らはこういった試合を何度も経験しているという事だ。 そして彼らは日本の超満員の競技場の試合でどういうことを望まれているかをわかっている。 我々には特にメンタル的な強さが必要とされる。
選手がコンスタントにプレーできないことは案じられることだ。 Neil はおおくを進化させ、今でもチームの主将である。そして彼にチームを活性化させたい。“ この様に Osieck 監督は語っている。 また Kennedy の招集に就いては Cahill との併用は示唆しなかったらしい。

昨年6月の Brisbane でのワールドカップ予選そして2011年1月の Asian Cup 決勝戦は Neil, Ognenovski がCBを組んだ。
Pim Verbeek 時代は全く声が掛からなかった Ognenovski 。2008年はACLで当時所属していた Adelaide United のメンバーとして鹿島アントラーズと対戦。 あのマルキーニョスを完全にストップし試合後地元アナウンサーが“ Historical !! “ と叫んだ勝利に大いに貢献したそのパフォーマンスは忘れられない。 Craig Moore のバックアップとしてなぜワールドカップ南ア大会メンバーに入れなかったのか今でも不思議に思う。
Neil のキャリアーは今さら述べる必要もないが今年の1月から Neil は所属クラブが決まらない“浪人”状態だ。 そちらの方が懸念されると思う。



Holger: We want three points in Japan

地元紙のインタビューで Osieck 監督は日本には旅行に出かけるのではない勝ち点3を狙うと話した。その記事から下記の通りに抜粋した。 
チーム戦術の変更に就いては
我々はいつも強さを前面に出して戦っていた。日本に対してそうやると、日本に対してそうすると彼らに攻撃の機会を与えてしまう。だからそれはセカンドベストにするだろう。 我々は充分に力がある。 それを試合に生かす。 と答えている

失望を味わったオマーン戦はどう見るか?
それは全くハッピーな結果では無かった。 特に前半は選手達は少し惰眠状態であった。 それは私が想像したことではなかった。後半は、もう 0-2 でリードされており遅すぎたと思った。しかし選手達は本当のスピリッツを見せた。 それは前半よりもずっと改善されたことで同点に追いつくことが出来た。もちろん勝つこともできたであろうが前半惨めなパフォーマンスの負債を返すことが出来た。

日本戦で焦点となるパフォーマンスは何かあるか?
まず基本的なミスを犯してはならない。 振り返ってみればそのための理由を探さねばならない。それは普通に好きなことではない。我々のビルドアップは遅すぎた。 我々のパスタイミングはまとまりがなく、何度もボールを失った。そしてほとんど前線に出ることが出来なかった。 我々はまず日本戦では絶対にそれらを改善せねばならない。 より攻撃的に、日本の第3列のDF陣の中でプレーせねばならない。 我々はピッチ上で我々の指示を忠実に守る選手達を誇りに思う。

メンタルの面は? 日本戦ではチームにプレッシャーを与えるのか取り除くのか?
どんなゲームであれ試合に臨むにあたりプレッシャーは感じる。 相手に対してのリスペクトを失う必要はない。 

オマーン戦後選手達にはどう接したのか? 何か期待できたリアクションは?
ハーフタイムでは既に選手達に強い言葉を発した。 選手達は我々が負っていた負債をわかっていた。 試合後は言ってみれば、より積極的なアプローチがあったことが分かった。だから2ゴールを挙げられた。 しかし誰もがハッピーでは無かった。 大体のところ我々は期待していた域に達しなかった我々はその再現を避けなければならない。 我々はファイトを見せる準備をせねばならない。そして私はまだ多くのやるべき事や質の向上があると思っている。

得失点差は?オーストラリアは日本を除くと得失点差で優位に立っている。 失点しないことに重きを置くのか? 
最終順位を決定するときに得失点差は大きな問題となってくる。 それを考えることもあるだろうが、得失点差を計算しながらプレーはしない。 我々は勝ち点を得て心配をしなくてもいいような位置に付きたい。

日本では3年間浦和レッズの監督として日本にいた。 代表チームの監督になってからそれ以来初めての来日となる。電話等で日本チームの情報を収集できたか?
日本にはコンタクト出来得る多くの人がいる。しかし日本戦の為に連絡を取ったことはなかった。 日本チームと選手達はよく知っている。何人かの選手は私が浦和レッズ監督時代に私の下でプレーしていた。 日本代表には本当の秘密は私にはない。 我々は彼らの強さ、質の高さを知っている。 我々は全力を尽くし彼らに対して結果を出さねばならない。

5月30日の日本対ブルガリア戦はスカウティングの為に観戦に行くのか?
普通準備試合は良い指南にはならに。 通常、2軍選手や控え選手が多用される。 今そこに行くのは大きな問題となるのでテレビで観戦する。 豊田は我々の日本でのキャンプ地から遠い。 チームキャンプの最中に更に旅程を付け加える必要はない。

Ryoichi Maeda, Hiroshi Kiyotake, Takashi Inui, Shinji Kagawa, Mike Havenaar, Shinji Okazaki – 日本に才能ある攻撃選手がそろっている。彼らは日本の日本の強さとなっているか?
彼らはホームゲームでは大変攻撃的になる。 彼らは素晴らしい選手達である。特に香川慎二は。他の選手達も Bundesliga ではレギュラーだ。 本当にアタッキングエリアでは彼らは強靭だ。 我々にとっては大きな挑戦となる。

Keisuke Honda のフィットネスには問題があるらしいが、彼はプレーすると思うか?
この日本戦の出場に就いては彼にはクェッションマークが付けられている事は知っている。 しかしそれに焦点を当てすぎるべきではない。 もし本田が出場するなら香川は左サイドで。本田が出なければ香川がトップ下に配置され清武が左に、似たようなタイプの選手が揃っている。

またこういった質疑以外に Sasa Ognenovski の招集に就いてはいくつかの組み合わせを試したが、ワールドカップ南ア大会以降 Neil とのコンビネーションを組んでいることを重要視したためと答えており、Socceroos の懸案になっている左サイドバックの人選に就いてはそれを“アキレス腱”と認めおり、 Brisbane Roar の Ivan Franjic のこのポジションの起用を聞かれても明言は避けていた。 Franjic は今年1月、香港で開催された東アジア選手権予選では左サイドバックに起用されていた。 
これまで代表で30試合出場し15ゴールを挙げている Josh Kennedy の1年ぶりの招集に就いては所属先の名古屋グランパスエイトで今シーズンは7試合に出場している事を挙げそれが招集に繋がったと言及。 更にその高さの重要性を唱えながらもハイボールを中心としたゲームプランに変更はしないと語っていた。

そしてHarry Kewell に就いては状態さえ上がればいつでも代表に招集する可能性がある、扉は開かれていると話し、最後にオマーン戦を見て多くの国民が予選突破に向けて悲観的な考えしか持っていないことに就いては


監督として楽観的な考えしか持っていない。そうでなければ誤ったことをしてしまう。 おそらく人々がこの状況を強く意識していることは悪いことではない。 オマーン戦に先駆けて日曜日の午後に散策をしている様な気分であり、総得点だけを語るのであれば( 5試合6得点 )大変危険な状態だ。 それは選手達と代表チームの周囲にインパクトを与える。 私はむしろより現実的な状況にいる。 彼らは全てにファイトしなければならず、それを取って当然と思われないことも起こさねばならないと言っている。 それらはこれまで行われたことよりも良いアプローチであると思われる。

この様に結んでいた。  

Asian Cup 決勝戦よりもこのワールドカップ予選の方が緊張が高くなる。 4年前は日豪ともに予選突破を決めた後のMCG での予選最終戦であった。オーストラリアと真剣勝負が出来る重要な機会。 日本はこの試合で結果をだしてこそワールドカップで対戦する列強と戦えるというもの。 しっかりと結果を出してほしいものだ。


6月4日Socceroos 戦に向けて 選手たちのコメントから

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今回は早くに日本入りして調整を行っているオーストラリア代表。これまでのワールドカップ予選での対戦ではいつもオーストラリア側の調整不足があった。それでも日本は勝てなかった。引き分けるのが精一杯だった。 それだけに楽な試合にはならないのは必至だ。

Cahill keeping Roos relaxed

代表出場試合数61。得点数は歴代3位の27ゴール。 そのうち4ゴールが対日本戦だ。 33歳になった今でも対戦相手からは Socceroos で最も危険な選手である事は間違いない。 3大会連続ワールドカップ出場に向けて最後の3連戦に臨む。
“昨夜は多くの若い選手と話した。 Tom Rogic ( Celtic ) と Ivan Franjic ( Brisbane ) らと世間話をした。楽しんだり、抱擁を交わしたり。 自分自身にプレッシャーを掛けることが出来る。それが我々の愛する Football に関することであれば。我々は良い選手達の良いスタッフの揃った大きなグループの一員だ。そしてトレーニングや環境を楽しめるものに出来る。 我々は何も否定的な事に焦点は当てたりはしない。”

さいたまスタジアムの60,000人の観衆の雰囲気に就いて、決して敵対した雰囲気にはならないだろう。それはかつて66,000人集まった横浜スタジアムのワールドカップ予選を経験したからだこそと言及した。その時はCahill の他に Mark Bresciano, , Brett Holman, Josh Kennedy, Lucas Neill, Mark Schwarzer そして Luke Wilkshire がプレーしていた。
“敵対した雰囲気になるかはわからない。なぜなら前に何万人の前でプレーした、そしてそれはファンタスティックなものであった。 私は本当に素晴らしい昔話を経験した。 

また日本代表で最も警戒すべき選手は Manchester United の攻撃手、 Shinji Kagawa であるとも語られている。
“おそらく Shinji Kagawa が日本のナンバーワン選手だろう。彼は特別な選手で、今シーズンは Manchester United に入団したという特別なシーズンを過ごした。そこで彼はいかに特別であったかという事を証明した。 彼は絶対的に最も警戒すべき選手だ。そしてブルガリア戦で数人の Big Name 達のプレーを見れたことは我々にとっては良いことであった。” こう語ったのはかつて清水エスパルスでプレーした Alex Brosque だった。   

また試合で香川と相対する可能性のある James Holland ( Ostrreich Wien ) はユース時代に香川と対戦している。
“香川は明らかに本当に素晴らしい選手だ。 彼がドイツにいた時や彼がユース時代に対戦した時に彼をよく見たけど彼は大変いい選手。 Very very good player だ。”  
この様に語った。

2011年 Asian Cup 決勝。 昨年のワールドカップ予選では Cahill に得点を許していない。 ザッケローニ政権になってからまだ失点を喫していないが、もう同じ相手には…と願うのだけど。
2004年から8シーズンに亘り Premiership の名門 Everton でプレー。その間出場試合数は223試合54ゴール( FAカップ等を含む ) の実績を残したが 2012年のシーズンから移籍金€130万でMLS New York Red Bulls に移籍。 2シーズンで28試合5得点を決めている。 



Kruse and Wilkshire to provide Japan insight

日本で最も警戒すべき選手が本田圭祐であれば Socceroos の最近の中心選手は Luke Wilkshire 。 二人とも Russian Premiership のクラブチーム CSKA Moscow ( 本田 ) と Dynamo Moscow ( Wilkshire ) でプレーする。
全ソビエトリーグ時代からの名門チームに日本と豪州の中心選手が所属するなんて本当に大きく時代が変わったと思わされる。

本田に就いて Wilkshire は“彼は才能のある選手だ。 今年は良いシーズンを過ごしたはずだ。所属チームはリーグ優勝を果たし多くの質の高いプレーを持っている。彼はラストパスを出すことが出来てそれをゴールに結びつけさせられる。 彼は本当に危険な選手だ。 しかし日本には他にも高度な選手が何人もいる。”こう話した。



本田の他には多くの日本人選手がドイツの Die Bundesliga でレギュラー選手としてプレーしている。 オーストラリア代表ではかつて Brisbane Roar に所属した Robbie Kruse が昨シーズン Fortuna Düsseldorf でプレーをした。そして来シーズンは Bayer Leverkusen への移籍が噂されている。 その Kruse はシーズン中は何人もの日本人選手と対戦をした。
Stuttgart のストライカー Shinji Okazaki, 代表の主将である Makoto Hasebe は Wolfsburg そして Schalke のウィングバックAtsuto Uchida . そして6月4日には Stuttgart のウィングバック Gotoku Sakai と相対するかもしれない。

“日本は多くの選手が Bundesliga でプレーしている。そして彼ら若い選手達全ては毎週チームのレギュラー選手として出場している。 日本は素晴らしい選手が次から次に表れてそれが我々を苦境に立たせている。 しかし我々は自分自身を信じているそそいてゲームプラン通りにやれれば結果が付いてくると信じている。” 25歳の Robbie Kruse はこう語った。
Kruse といえば2011年 Asian Cup では準決勝、決勝戦で Kewell に替わって投入されたのが印象的だった。準決勝のウズベキスタン戦では既に 5-0 となった後ではあったがゴールを決めた。
その2か月後の A-League Grand Final では他の選手とは頭が一つも二つも出たパフォーマンスを披露し、奇跡の同点劇を演じ PK 戦を経てチームを Grand Final 王者に導いた。 
昨年6月のワールドカップ予選では後半ロスタイムに投入され故郷に錦を飾る…..とまでは行かなかった。
4日の日本戦には出場機会はあるだろうか? そしてその時は高徳と対戦するのだろうか?




Bresciano believes in Socceroos quality

Schwarzer と並んで ワールドカップ2002予選の生き残りである Mark Bresciano は南アフリカ大会を終えて代表から引退するものと思われていた。 2011年Asian Cup ではメンバー入りしていなかったが、苦戦続きのワールドカップ予選で遂に再招集をされることに。 
“次からの3試合はワールドカップ出場のかかった重要な試合だ。 主要な要素はただ Positive に過ごすことだ。 我々はこれまで決してベストな結果では無かったが、選手達はまだ自信を持っていると思う。 我々はただ前向きに考え試合当日はそれに集中することだ” とこの様に語っているが Bresciano はワールドカップ予選ではここしばらく90分間プレーできていない。
昨年6月の日本戦、9月のヨルダン戦では試合途中に怪我でベンチに下がっている。
そして3月のオマーン戦でも53分に James Holland に替わって投入された24分後にまたも負傷でベンチに下がった。この負傷交替はその後しばらく Socceroos を窮地に陥れた。 
“フィジカルの状態は最高だ。最後にプレーしたのは約1か月前だ。そして3〜4試合90分間プレーした。怪我はもうない。この次からの3連戦で良いインパクトを与えられる事を願っている。代表チームは誰もが知る様にいつも良い雰囲気である。そして何人もの良い選手がいる。みなよき仲間であり、常にお互いを良く見つめあっていられる。我々は予選を突破するだけのクオリティーがある。 過去には結果が出なかった試合があった。そして今や大切な試合を迎えている。私は自分のチームがこういう状況でもステップアップ出来るものと思っている。”



Langerak predicts bright future
今でも Socceroos の不動の正GKは Fulhamでプレーする Mark Schwarzer であるが、その後継者も育ちつつある。
かつての香川の同僚で Borussia Dortmund の第2GK Mitchell Langerak だ。 残念ながら UEFA Champions League では出場機会は無かったがおそらく Schwarzer の後継者の筆頭であろう。
“Socceroos の new generation 世代がやって来ている。多くの選手達が欧州のトップクラブでレギュラーとしてプレーしている。それはまさに今、求められている事である。 そしてそれら
の選手が活躍することにより所属リーグ優勝のトロフィー等を掲げている。 Langerak はこう語った。

Langerak は Melbourne Victory 時代に ACL で川崎フロンターレと対戦している。憲剛はそのことを憶えているか?いや Langerak が憲剛を忘れていないだろう。試合後は川島と握手したんだろうなぁ〜。



Langerak 同様、Tom Rogic は Central Coast Mariners を1月に離れ入団した Celtic で好印象を得ている。 Tommy Oar と Michael Zullo は Utrecht を UEFA Europa League 出場に導いた。そして James Holland は今シーズン Austria Vienna のリーグ優勝のメンバーに。


Zullo も Langerak の意見に呼応する。
“この3年間の自分自身を振り返れば、人間的にも選手的にも、自分はかなり変わった。 この3年間で本当に成長できた。欧州でプレーすることはタフな事だ。 どれだけ難しいか理解できないだろう。 今シーズンは自分にとって最もチャレンジしたシーズンだった。 今年はほぼ怪我なく過ごせた。そしてハードにトレーニングした。それでも出場試合数は自分が納得できるものではなかった。それはフラストレーションが溜まった。今シーズンは大変成功したチームのメンバーとなれた。 それがレギュラー争いを厳しくした。” Zullo はこの様に語った。そして懸案になっている左サイドバックに就いては。

“そのポジションは空いている。 誰が本当に左サイドバックのレギュラーかは決まっていない。2,3人の候補選手がいるが誰がやっても同等のレベルでこなせるがただレギュラーが決まっていないだけだ。 どの選手がどのゲームで最も適切かは監督が決めることだ。私は自分が貢献できることと希望している。ただその機会を待っている。”
この様に語った。

Michael Zullo は2010年に Brisbane Roar から欧州に渡った。 そして Utrecht FC に移籍が決まった。最初のシーズンは約5か月の在籍ながら6試合の出場を果たしたが翌シーズンは15試合、そして昨シーズンの出場数は13試合に留まった。
一方の21歳の Tommy Oar は Zullo と同様に2010年に入団したが昨シーズンは31試合に出場しレギュラーポジションを獲得した。 Utrecht にはもう一人、24歳のオーストラリア人MF
Adam Sarota という選手がいる。今シーズンは18試合に出場をした。今回の代表メンバーには選ばれていない。



Scottish Premier の Celtic に入団した20歳のTom Rogic は出場試合8試合。先発は3試合のみであった。
Mitchell Langerak はDortmund 3シーズン目であるがこれまで6試合 Bundesliga の試合に出場した。 Roman Weidenfeller からすぐにポジションを奪えるとは思えないが、更なる奮起を期待したい。
James Hollandは昨シーズン34試合に出場。 欧州に渡って5年目と言うよりも Newcastle Jets 時代でも掴めなかったレギュラーの座を初めて掴んだシーズンであった。
こうしてみると欧州の所属先でもレギュラーを張る選手で代表を組めた ワールドカップドイツ大会組にはまだまだ及ばないと比べてしまう。 



6月4日 Socceroos 戦に向けて  予想スタメンはこれだ !! これか??

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 いよいよ明日、楽しみにしていたオーストラリア戦が行われる。 思い返せば昨年の今頃、ホームでオマーン、ヨルダンの連戦を終えた時に次のさいたまスタジアムでのイラク戦はその時にはもう予定が決まっていて観戦できないことは解っていたので次にワールドカップ予選が見られるのは翌年の6月、約1年後か〜、と思った瞬間を思い出す。そしてあっという間に1年が経ったのか〜と今思う。
専門誌に専門紙、色々オーストラリア代表のスタメンを予想している。 最近は欧州以外のサッカーシーンもよく研究されてる“専門家”や“ジャーナリスト氏”がいるけど、メンバーに入っていない Carl Valeri をボランチのスタメンに予想するピンク色の専門紙を見るとまだまだだなぁと少し安心してしまう。 
私の予想スタメンは下記の通りだ。

GK
Mark SCHWARZER , Fulham FC, ENGLAND - 105 (0)  Eugene GALEKOVIC, Adelaide United FC, AUSTRALIA - 6 (0)  Mitchell LANGERAK  B.V. Borussia 09 Dortmund, GERMANY, 

Mark Schwarzer は鉄板中の鉄板だ。(今時こういう表現するかは解らないけど。) 
一時はアジアレベルでは Schwarzer の鉄壁を破るのは不可能に近いと思われた。 前回のワールドカップ予選は最終予選7試合連続無失点で Melbourne で日本との最終戦を迎えた。前半終了間際にCKから闘莉王のヘッド1発が決まらなければワールドカップ予選の無失点記録を樹立されるところであった。  
昨年6月の Brisbane の試合でも栗原がゴールを破った。しかしさすが Schwarzer と唸らされたファインセーブもあった。しかし
今回のワールドカップ予選は3次予選から通算11試合で完封したのが3試合のみ( 3-0 Oman, 1-0 Thailand , 0-0 Oman ) 2試合完封をした Oman 相手に前回は2失点を喫した。失点はGK1人の責任ではないが4年前よりかは得点は挙げ易くなっていると考える。それは日本の攻撃力が上がったのか、Soccerooos の守備が緩んできたのか。私は両方だと思う。

 

DF
Robert CORNTHWAITE, 全南 韓国- 7 (3),  Ivan FRANJIC, Brisbane Roar FC, AUSTRALIA - 3 (0)  Ryan McGOWAN,
山東魯能 中国- 3 (0)  Mark MILLIGAN, Melbourne Victory FC, AUSTRALIA - 19 (2)  Lucas NEILL, uncontracted - 89 (0)  Jade NORTH, Brisbane Roar FC, AUSTRALIA - 39 (0)  Sasa OGNENOVSKI, Umm Salal SC, QATAR - 18 (1)
Michael THWAITE, Perth Glory FC, AUSTRALIA - 11 (0)  Luke WILKSHIRE, FK Dinamo Moscow, RUSSIA - 75 (8)

Lucas Neil が出場停止だったオマーン戦は Ognenovski も故障で 193cm Cornthwaite と 190cm Thwaite のCBだった。Neil, Ognenovski のセット以外のCBは最終予選ではこの試合が始めてであった。そして2点を先に献上した。
日本戦では 185cm Neil と 195cm Ognenovski がCBを組むのは必至だ。 この二人が相手ではアジアレベルでは空中戦は厳しい。早いボール回しでスペースを早く突くことだ。それにしてもさすがオーストラリア、190?クラスの選手がGKを含めて6人もいる。
他にも召集されなかった元浦和レッズの Spiranovich も…
右SBは Luke Wilkshire だろう。ワールドカップ南ア大会以降彼が最も安定した“攻撃力”を見せている。昨年の日本戦では Wilkshire は2列目に入り右SBには Jade North が入ったがこれは相対する長友を抑える為と Wilkshire の攻撃力を生かす為であったが、4日の日本戦は攻撃よりも勝ち点1をキープすることも必要。 Wilkshire は右SBだろう。
懸案なのが左SB。これまで David Carney がこのポジションを担ってきたが所属先の Bunyodkor ( ウズベキスタン ) では出場機会を確保できない等の理由から今回も前回のオマーン戦に続いて招集されていない。
今回のメンバーでは Michael Zullo, Matthew McKay がその候補とされているが、SBには Michael Zullo だと思う。
まだ所属先の Utrecht ではレギュラーではないが3シーズン目の経験を買われると思う。 ただ、確実に勝点1をと言う事なら(その可能性の方が高いか?) McKay が左SBに下がるだろう。

MF
Mark BRESCIANO, Al Gharafa, QATAR - 66 (12)  James HOLLAND, FK Austria Vienna, AUSTRIA - 10 (0)  Mile JEDINAK, Crystal Palace FC, ENGLAND - 38 (3)  Robbie KRUSE, Fortuna Dusseldorf, GERMANY - 23 (2)  Matthew McKAY, 長春亜泰 中国- 35 (1)    Tom ROGIC, Celtic FC, SCOTLAND - 4 (0)  Michael ZULLO, FC Utrecht, NETHERLANDS - 10 (0)  Brett HOLMAN, Aston Villa FC, ENGLAND - 59 (9)

ボランチは長年 Jason Culina と Vince Grella の非常に調和のとれたコンビネーションが見られたがこのポジションも Socceroos の課題の一つだ。 今回は Carl Valeri が招集されていない。 所属先の Sassuolo が Serie B で優勝を飾りクラブ史上初の Serie A 入りを果たした。 シーズンが遅くまでずれ込んだのだろうか?次の Jordan 戦では招集されるかもしれない。
まず Mile Jedinak は決定だろう。所属先の Cristal Palace が Championships で優勝をしPremiership昇格を果たし、自身も今シーズンはカップ戦を含めて44試合に出場した。 その相方は Austria Wien でプレーする James Holland ではないか?
人生初めて?レギュラーポジションを勝ち取りチームのリーグ優勝に貢献した。 ボランチは所属先がリーグ優勝をしたチームのメンバーで組まれるか?ただ守備を重視するなら Mark Milligan が良いと思うのだけど。
2列目左は昨年の Asian Cup で Emertonに替わってポジションを勝ち取った長春亜泰でプレーする Matthew McKay が第一候補だ。Asian Cup で彼が何度も上げたクロスの印象が今でも残っている。最後は Emerton が交代で出て来たけど。
右サイドは Aston Villa でプレーする Brett Holman だろう。今シーズンから AZ から Aston Villa に移籍27試合に出場した。 Premiership でここまで試合に出場できるのは Schwarzer と Holman の二人だけだ。それも少し寂しい気がするけど。
試合展開によっては Robie Kruse の投入もあると思う。それとも右サイドで Holman に替わって起用されるか?ただ Mckay が左SBに下がった時は2列目左に Kruse または Bresciano が起用されるかも。特に Kennedy を生かすには Bresciano が有効だけど、彼こそ90分間はそして日本の早いMF, DF陣には対応できるだろうか....

FW
Tim CAHILL, New York Red Bulls, USA - 61 (27)  Josh KENNEDY, 名古屋グランパス 日本- 30 (15)  Archie THOMPSON, Melbourne Victory FC, AUSTRALIA - 47 (28)  Dario VIDOSIC, Adelaide United FC, AUSTRALIA - 14 (1)  Tommy OAR, FC Utrecht, NETHERLANDS - 7 (0)  Alex BROSQUE, Al-Ain Club, UAE - 21 (5)  

Tim Cahill のパートナーには Alex Brosque と思っていた。そして後半に Kennedy 投入と考えていたが Brosque はどうやら日本戦には怪我の回復具合からベンチスタートの模様。こうなると Kennedy のスタメンが浮上して来るが、果たして彼が90分間コンスタントにプレーできるだろうか? ワールドカップドイツ大会の時の様に後半の勝負どころでの投入ではないか? 
Utrecht で好調の Tommy Oar の起用も考えられるが日本でプレーする Kennedy が起用される可能性が高いか。

私の予想するフォーメーションは下記の通り。

                                Joshua Kennedy
 
                           Tim Cahill

Matthew McKay                                        Brett Holman

           James Hollman                   Mile Jedinak

Michael Zullo     Sasa Ognenovski     Lukas Neil      Luke Wilkshire

                           GK Mark Schwarzer

 

                    または

                                Joshua Kennedy
 
                           Tim Cahill

Robbie Kruse                                             Brett Holman

           James Hollman                   Mile Jedinak

Matthew McKay     Sasa Ognenovski     Lukas Neil      Luke Wilkshire

                           GK Mark Schwarzer


さてさて何人当たるだろう? 有料媒体では無いから責任ないから楽な予想かもしれない。

日豪戦観戦記 1 引き分けは最高の結果だったか?  Japan 1-1 Australia 4th June 2013

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 時計は79分になっていた。 ここで日本ベンチが動く。栗原がピッチに投入される。そして前田がベンチに下がった。この試合、あまり前線でボールを受けられなかったなぁ〜と思うと同時に残り時間はあと10分少々。どういうフォーメーションで押すのだろう? 3バックにはしないだろうしとピッチ上に目を凝らす。吉田、栗原がCBに入り今野が左サイドに入り、右サイドには内田が。まだ4バックだろう。だけど内田の位置は、そして前線は、と思っているとオーストラリア側の左サイド、 Bresiano からボールを受けた Tommy Oar がサイドを突破して来る。岡崎のタックルは届かず、内田が慌ててマークに入るがその前に Oar は日本ゴールをめがけてボールを上げてくる。そこに途中出場の Vidosic と今野がもつれこむように突進して来るが Oar の蹴った弾道は目いっぱい伸ばしたGK川島の指先の上を越えてなんとそのまま日本ゴールの内側のサイドネットに吸い込まれてしまった。 目の前でオージー達が狂喜乱舞している。上半身裸になってレプリカを振り回すオージー、そして泣き出している女性のオージー達も。ここはアウェー席のまん真ん中とはいえ現実を突きつけられているみたいでちょっと言葉が出なかった。選手交代でフォーメーションの事等が落ち着かない間を突かれた失点だと思った。 後半に入って Oar , Kruse の2列目の両サイドがよかったけど、失点を許すとはなぁ〜。  Oar の代表初ゴールが日本戦かぁ〜と思った。








ピッチ上では Green and Gold の Soceroos 達が歓喜の輪を作っている。あと10分程度、同点に追いつけるというよりも Schwarzer の守るゴールを破れるかなぁ〜と不安が募った。そしてこの試合を落としてもワールドカップ予選で敗退するわけではないし、まだ勝ち点では断然他の4か国よりも有利だし悲観することはと自分に言い聞かせた。 だけど、ここでオーストラリアに負けるのはなぁ〜と思ったのが本音だった。

試合が再開される、85分に再び Oar がエリア外からグラウンダーのミドルを放つがここは川島の正面に。 まだメンバー交代によるマークの受け渡しに混乱があるのか? 
85分には内田が下がってハーフナーが投入される。そして長友が左SBに戻り、今野が右SBに入った。そして最前線にハーフなーが入り本田がトップ下に入った。 ちょっとこの交替ドタバタ感が否めないなぁ〜と思う。
その直後に中盤から前線にスルーパスが入るがハーフナーと長友がお見合いをする感じでボールはそのままGK Schwarzer に。 87分、岡崎に替わって清武が入る。前日にドイツから戻ったばかりの岡崎はよくここまでプレーしたと思う。だけど清武の投入はもう少し早くても、先制を許す前でも、と思った。
そして本田が Bresciano に倒されてFKを得る。 Bresciano にはイエローが出る。 この位置は直接狙うには少し遠い。逆サイドに誰か走りこんで…と思うとファーポストに香川が飛び込むがここは弾道は高すぎて合わない。  Schwarzer の範囲外になるとゴールが遠くなる。 

88分46秒、本田が強引にミドルを放つのオーストラリアDFの足に当たり日本がCKを得る。 昨年のBrisbane でのゲームではショートコーナーを何度も使ったがこの日は1度も使わなかったのではないか?しかしここは遠藤が本田にショートコーナーを出す。そして本田がゴール前にライナーで送るとその弾道は不規則なバウンドをしたのが遠目からもよく解った。するとすぐに Socceroos 達がバーレーン人の Nafa shukralla 主審を取り囲むシーンが私の目に飛び込んできた。 主審は手を水平に上げてペナルティースポットを指している…..そしてイエローカードを出した。 ハンドを犯した Mckay に出されたものだった。ゴール裏のサポーター席から大歓声が沸きあがっている事からPKを宣誓しているのが確認できた….そして本田がボールを抱えてペナルティースポットへ歩みを進めているのを見てPKを得たことをやっと確信できた。

隣のゾーンの日本サポーター席からも大歓声が、そしてアウェーゾーンにいる私の周囲の10人程度の日本人達からも歓声が上がった。 しかし GK Schwarzer からは例えPKでも容易には…と悲観的な近未来が瞼の裏をよぎる。願う気持ちで遠くオーストラリアゴール前を凝視する。本田が助走を取って蹴りこんだボールは見事にオーストラリアゴールネットに突き刺さった。







まさに起死回生。あと数分凌げば日本の5大会連続のワールドカップ出場が決まる。 ロスタイムが3分と表示されていた。そして時計は91分になっていた。 このまま行くのか、勝ち点3を目指すのか…オーストラリアベンチは Kruse を下げて Melbourne Victory のFW Archie Thompson が投入される。 彼にドリブルをされると厄介だなぁ〜と思うがそれから30秒足らずで主審の試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。 

やったぁ〜、よかったぁ〜   天を仰ぎながら叫んだ。 だけどよかったぁ〜の方が本音だった。 

幸運にも、というよりも作戦通り手に入れたチケット。 そこはアウェー側だけど私はこの試合を見られればそれで良いと思っていた。 そしてこの私こそ日本人のなかでこの試合をみる資格のある人間の数少ない一人と勝手に信じて疑わなかった。
だけど実際にここのスタジアムに着席した時はこの幸運に感謝をした。

今度こそ勝ってくれよと期待しつつも、試合展開によっては勝ち点1を死守してもいいだろうとも試合の始まる何日も前からそう思い続けていた。 しかし今回は試合の1週間以上も前から日本というよりもさいたま市に入って調整をする選手も多かった。これまで、昨年の Brisbane の試合でも、その前までの欧州組が中心の時でも日本選手よりもコンディションが整わない中でもしぶとく引き分けたり、4年前のMCGでのワールドカップ予選最終試合の様に日本から逆転勝利を収めたりとその強さを見せ続けていただけに調整期間の十分にあったこの試合は、岡崎、酒井高徳そして本田が試合前日に合流することを考えれば日本もそんなにイージーにいかないと思った。

思えばワールドカップドイツ大会で惨敗してからこの試合の前まで Asian Cup 2007 ( 1-1 ) ワールドカップ南ア大会予選 ( 0-0, 1-2 ) Asian Cup 2011 ( 1-0 ) そして昨年のワールドカップ予選 ( 1-1 ) と5試合戦い、日本の1勝1敗3分。PK 勝ちは公式記録は引き分け。 日本は90分でオーストラリアに勝ったのは2001年あの豪雨の横浜で中田英寿が豪快に決めたFKで勝利を収めて以来ないのである。この時のGKは今でも Socceroos の守護神 Mark Schwarzer 。そして Archie Thompson も後半途中からプレーをしている。



それと毎度、オーストラリア戦の前には自分と専門家、ジャーナリスト諸氏とのスタメン予想の違いが楽しみであった。 これまで、ワールドカップドイツ大会以降のスタメン予想では常に私の圧勝であった。この試合はどうなるか….

その Socceroos のスタメン発表。 最初の驚きは Mark Bresciano, Mark Milligan のスタメンが発表されたとき。後で知ったけど ボランチの有力候補Mile Jediniak は故障が完治しなかったらしい。 Bresciano は反対に故障が試合が出来る程度に治ったからだったらしい。 3月のオマーン戦で先発出場したJames Holland に替わって、昨年の日本戦に続いてのMliigan の起用は日本でプレーした経験を買ったのかそれとも守備力を優先させたのか? 
Tm Cahill ワントップ の後ろには左から Tommy Oar , Brett Holman, Robbie Kruse が並んだ。 名古屋グランパスのJoshua Kennedy はベンチスタート。コンディションを考えても Kennedy は使ってくると思ったけどなぁ〜。21歳の Tommy Oar の起用が後で“大抜擢”となることはこの時想像にも出来なかった。 ワールドカップ南ア大会は最後にメンバーから漏れ、翌年の Asian Cup では負傷した Richard Garcia に替わってメンバー入り。その年の FIFA U-20 大会ではエクアドル戦で50m のロングFKを決めた将来有望選手だ。
GKは大ベテランの Mark Schwarzer 。 DFは Lukas Neil とSasa Ognenovski のCBに右SBがLuke Wilkshire, 左SBに Matthew McKay が起用された。オマーン戦からはCBとボランチの2人ずつ、MFは怪我の Alex Broque に替わって Oar が。合計5人が入れ替わった。 昨年の日本戦とは4選手が入れ替わった。

一方の Samurai Blue は昨年のオーストラリア戦では怪我でスタメンを外れた吉田麻也が栗原に替わってスタメンに。 3月のヨルダン戦では香川がトップ下で岡崎が二列目右、左に清武であったがこの試合では懸念された本田がトップ下に香川が2列目左、右に前日ドイツから帰国したばかりの岡崎が起用された。ブルガリア戦は後半から投入された長友もスタメンに名を連ねた。

                                           1 川島
                                 ( Standard de Liege )

      6 内田                 22 吉田           15 今野                5 長友
( Schalke 04 )  ( Southampton ) ( ガンバ大阪 ) ( Internazionale  Milano )

                 17 長谷部                                    7 遠藤
              ( Wolfsburg )                             ( ガンバ大阪 )

           9 岡崎                    4 本田                       10 香川
      ( Stuttgart )         ( CSKA Moscow )      ( Manchester united )

                                         18 前田
                                         ( 磐田 )

 

                                            4 Cahill
                                ( New York Red Bull )

        11 Tommy Oar          14 Brett Holman      10 Robbie Kruse
          ( Utrecht FC )             ( Aston Villa )    ( Fortuna Dusseldorf )

                    23 Bresciano                              5 Milligan
                    ( Al Galafa )                        ( Melbourne Victory )

    17 Matthew McKay  6 Sasa Ognenovski    2 Lukas Neil   8 Luke Wilkshire
          ( 長春亜泰 )                ( 全南 )                                   ( Dynamo Moscow )

                                             1 Schwarzer
                                             ( Fullham )



オーストラリアのキックオフで始まった大一番は、キックオフ直後のパスを受けた Neil が大きくまっすぐにゴール正面に放り込むと Cahill がヘッドで落とし、 Oar が拾うがここは今野が落ち着いてクリアー。 53秒にも Milligan がゴール前にロングボールを入れ今度は Cahill が拾うがここも吉田がクリアー。立ち上がりから連続してロングボール攻撃を見せれば、日本も特徴のある攻撃を続ける。1分52秒、香川が二列目から飛び出しボールを受けるがここはオーストラリアDFがシュートを撃たせななかった。4分32秒には本田からボールを受けた岡崎を Ognenovski が倒して絶好の位置でFKを得る。本田がゴール前に入り遠藤が直接狙うが惜しくもポストのわずか左に外れる。6分33秒には本田から受けた香川が左サイドを上がった長友に送るがここはマークに入った Kruse をファールで倒してしまう。 相手DF,MFのあいたスペースに日本選手が入り込んだり、本田のゴールキープからスペースが出来たりと日本が良いリズムで攻めている様に思えた。そして改めて本田の存在感を認識した。
12分19秒には香川から本田に送られ一端は後方の長谷部にもどされるが再び前線の岡崎に。そして本田とのパス交換から抜け出し更に右サイドに走りこんだ内田に送られそこから中に入れられたがここは Neil がなんとかCKに逃れる。このシーン、オーストラリアのDF,MF 陣は完全にこのパス交換を“鑑賞”するだけだった。
13分19秒、CKから吉田がフリーでヘッドを放つが当たりが弱くてファーサイドに飛ぶだけであったがこのCKも内田がサイドを突破して得たチャンスから。 16分12秒には遠藤がスライディングに入った Bresciano をうまく外してミドルを放つがクロスバーを僅かに越える。 ここも本田と香川のパス交換から遠藤にシュートを撃つスペースが生まれたのがチャンスにつながったもの。やはり本田がいると違う。ピッチ上のすべてを好転させると感じた。



18分には本田が起点になり香川から岡崎に縦パスが入り本田に繋いでダイレクトでシュートに持ち込むがSchwarzer が素晴らしい反応でストップ。こぼれ球に香川が詰めたが一瞬早く Wilkshre がクリアーした。 惜しいチャンスだったけどさすが Schwarzer と思わせられた。

オーストラリアも劣勢の中、何度か日本ゴールに迫る。ロングボールをもっと多用して来るかとおもったけど開始早々に Neil から Cahill に送られたくらいで16分12秒には右サイド Kruse がボールを受けると香川、長谷部、長友、内田に囲まれながら Cahill に送り更に中の Holman に渡ると吉田がマークに入る前に放ったショットはファーポストの左に外れて行ったが、ロングボールだけでなく前線でボールキープからこういう攻撃が出来るのか?と思った。
22分今度は左サイド Oar にボールが入ると一気にタッチライン沿いを駆け上がられそうになるがここは長谷部がファールでストップ。このプレーにイエローカードが出され、次の試合に出られなくなったが、長谷部はこの試合の事しか考えていなかっただろう。

しかしこのプレーを境に劣勢続きだったオーストラリアが徐々に挽回を始める。Kruse と Oar がワイドに開きボールが左右に散る様になった。 日本のボール回しにも“慣れて”来たのか、ラストパスが通らなくなる。 CB の二人と Milligan でマークの受け渡しもうまく回る様になってきた。30分25秒には Oar から Kruse にスルーパスが入るがここは長友がマーク。
33分には中盤の Holman から正面に走りこんだ Kruse にスルーパスが入る。Kruse はマークに入った遠藤を振り切りフリーでシュートに持ち込むがそこは川島がブロック。そのリバウンドを Cahill が無人のゴールに放つがここはクロスバーを上回ってくれた。 Kruse のシュートよりも Cahill のシュートの方が危ないと思った瞬間だった。 






こうして前半は日豪ともに1回ずつ決定機を迎えスコアレスで終わった。そして最も印象に残ったのは Schwarzer と本田の存在だった。
前半のシュート数は日本8、オーストラリア6。枠内シュートは日本が4、オーストラリア2だった。 以外にオーストラリアもシュートに持ち込んでいたんだなぁという印象をもった。
そして最も危険な選手、 Tim Cahill は吉田と今野がしっかりとマークをしていると想った。

 

両チームとも選手交代なしで後半が始まった。 開始直後こそ長谷部から受けた香川が Ognenovski, Milligan のマークを受けながらシュートに持ち込むが前半とは異なり日本が圧倒的に攻め込むという展開ではならなかった。そして2列目の両サイド Oar と Kruse の動きがよくなってきて相対する、特に右サイドの岡崎があまり上がれなくなって来た。それだけ Oar がよかったという事だろう。





55分、こちらから見えるオーストラリアベンチの横で行われるアップのテンポが早くなって来る。 先にどちらが交代カードを切るのだろう?そしてオーストラリアベンチはいつ Kennedy を投入するのだろう、と思った。
63分、67分とPAのすぐ外の右サイドでFKを得る。共に大歓声を受けて本田が直接狙うがゴールネットは揺らせない。
香川が何度も左サイドを崩しにかかるけど、もっと中央でボールを受けてシュートに持ち込んでほしいと願う。
オーストラリアも70分過ぎから Bresciano が前の方に出て来て効果的なボールを送る。 Bresciano がこれだけ動けるとは思わなかった。



75分47秒には Bresciano から受けた Wilkshire が3人に囲まれながら Cahill に送る。そこからのロングシュートは大きく外れたけど、日本DF,MFに囲まれても粘り強くキープ出来る様になって来た。 
その前の71分最初に動いたのはオーストラリアベンチ。  Holman が下がって投入されたのは A-League Adelaide United でプレーするDario Vidosich だった。 185cm の Vidosich がトップに入り、 Cahill がやや下がり目の位置に入った。
日本も78分には長谷部がミドルを放ち、79分には長友がドリブルシュートを見せるが得点には至らない。

残り時間が減ってきてそろそろ勝ち点1を守るのか、勝ち点3を奪いに行くのかを考えねばならない時間になって来た。そういう意味では日本に余裕があったはずだった。 
そして左サイドで Bresciano から受けた Oar がサイドを突破する。早く止めろよ、と思うとシュートを撃たれる。その弾道がこちらに飛んできて日本ゴールに吸い込まれるのが見えた………..

試合後はワールドカップ出場を決めたその報道が、本田のPKのシーンが何度も繰り返し映し出された。
しかし試合直後のさいたまスタジアムに映し出された本田の表情を見ると決して満足できる試合内容ではなかったはずだ。
オーストラリアは守備的な選手、布陣を敷いてきた。しかし先制ゴールを決めたのはオーストラリアだった。



最後は明らかに McKay の手にボールが当たっていたがもしそれをNafa shukralla 主審が見逃していたら…..

オーストラリア紙でさえ劣勢を予想していた試合でここまで苦戦したのだ。 ワールドカップではオーストラリアよりも強い国ばかりが相手だ。 このままのレベルでは….これは全選手が思っている事だろう。
翌日以降のオーストラリア地元紙を見ると終了間際のPKで勝点2を失ったと書いている一方で日本相手にアウェーの地でここまでよく戦えた、特に Oar, Kruse の台頭を評価していた。
そして他の4カ国の中では最後の2連戦がホームのオーストラリアが予選通過の一番の射程距離内と想うんだけどなぁ〜



私は試合後何人ものオージー達と握手を交わし、そしてお互いにこう云い合った。

“ See You in Brasil !! “





6.4. 日豪戦観戦記その2 

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5月下旬。我が家にある簡易書留が届いた。そして我が家の住所は英文で書かれていた。

“よ〜し。作戦成功。”思わず拳を握りしめた。封筒の中は6月4日のさいたまスタジアムで開催されるワールドカップ予選、オーストラリア戦の入場チケット。これで1年間楽しみにしていた試合を観戦する事が出来る。そう思ってのガッツポーズだった。

あとは試合当日までどんな邪魔が入るかわからない。その妨害をいかに排除するかを考えるだけだった。

平成24年6月にスタートしたワールドカップアジア地区最終予選。幸先よくホームでの2連戦、オマーン、ヨルダン戦はチケットが手に入った。 しかし9月のイラク戦からはワールドカップ予選のチケットは抽選制となり入手が困難になった。“幸い”9月のイラク戦は商用で日本を離れなければならなかったのでこの試合は海外でウェブサイトを通じて生中継で見た。そういう時代になった事にも感謝をしなければならない。

昨年6月 Brisbane で行われたワールドカップ予選のオーストラリア戦は豪州遠征を計画していた。何十回も訪れる豪州大陸で顧客や親しい人たちと日本戦を観戦する事を楽しみにしていた。しかしながら直前になり家内の承認が貰えず計画は頓挫してしまった。 

それから1年が経ち日本代表は今年3月のヨルダン戦に引き分ければワールドカップ出場が決まるところまで勝ち点を伸ばしたが本音を言えばそのヨルダン戦でワールドカップ出場を決めてほしかった。そうすれば6月4日のオーストラリア戦はチケット入手が少しは容易になり、予選を1試合残してもワールドカップ出場の掛かったオーストラリア相手となる。だけど本気のオーストラリア相手とはこれほど素晴らしい対戦相手は無い、まずザッケローニ監督もベストメンバーで臨むはずだ。それにたとえ負けても失うものは無い。これは素晴らしい状況と思ったからだ。 
しかしながらヨルダン戦は勝ち点を上げられずワールドカップ出場決定はお預けとなってしまった。遠藤のPKがヨルダンGKに止められた時は“これはまずいことになったなぁ〜。”と心の底で思った。

このオーストラリア戦は引き分け以上でワールドカップ出場が決まる試合となった。それは史上初めての事でその史実が余計に抽選の倍率を煽っていた。 日本サッカー協会を含めたいくつかのチケット抽選にエントリーをすると共に、兼ねてから“期待”をしていたオーストラリア協会のウェブサイトを通じての販売にも期待した。 4月に発表されたチケット販売要綱を見るとアウェー側での観戦チケットがこのサイトから4月末頃から販売されることとなり、発送は世界中にいる“Socceroos サポーター達”に向けて行われる事となっていた。 さっそく購入の手続きを行い、発送先を日本の自宅住所にした。 オーストラリアにいる親しい顧客に依頼しても良かったけど、購入者と発送先、そして支払決済をするクレジットカードの名前が一致しないとまずいのではと思い、日本の住所を入れた。

問題はそのチケットが本当に試合開始日前までに手元に郵送されるか、だった。何しろオーストラリア大陸を仕事で担当して16年になるけど仕事に対する責任感というのは日本とは比較にならないほど、いや比較すること自体が失礼なほど欠如している。 決済だけはきちんと差し引かれ、試合が終わってチケットが手元に届くなんて事は十二分に予想できる。 そうなったときの事を考えると……..

5月中頃、“案の定” エントリーしていた“日本側”の購入先の抽選にはすべて外れた。後に判明したけど50万人の人達がこの試合の観戦チケットにエントリーしたらしい。 でも反対に言えば10倍程度で俺が外されたのか、これほど長き間にオーストラリアサッカーをフォローしていた俺が…もう40年近く、日本代表を見続けていた俺が・・・・とがっかりした。

それだけにオーストラリア協会を通じて購入したチケットが手元に届くことを心底願った。 私こそ“ジャーナリスト”を含めてもこの試合を観戦する“権利”がある数少ない日本人の1人である、と勝手に決めつけて祈り続けていた。

チケットが試合日の約1週間前に手元に届いた時は心から安堵の嘆息を漏らした。そして本当に嬉しかった。

試合当日、天気は非常によく気温も高くなっていた。 オーストラリア代表は1週間以上も前から来日し大宮や駒場競技場で調整を行っていた。仕事さえ忙しくなかったら追っ掛けようかと思っていたけど、10日前に出張から帰ったばかりだったのでかなり多忙な毎日を過ごさねばならず残念ながら“観戦”のみだった。

ベテラン社員の特権、仕事は午前中で切り上げ一旦帰宅しさいたまスタジアムに向かった。 自宅がさいたまスタジアムから自転車で行ける範囲にある幸運に感謝しながら。しかし、先のこの地域に居を構えたのはこちらで、後にワールドカップが誘致されスタジアム建設に至ったのだった。

キックオフ時間まであと6時間以上もあるのにさいたまこう高速鉄道には多くの青色のレプリカを来た人達が乗り込んでいた。

ワールドカップの日本対ベルギー戦の時もそうだった。あの時は赤いユニフォームのベルギー人達の姿も見かけた。その試合はチケットが入手できずちょっと悔しい思いでその光景を見ていたのを思い出した。だけど今回はチケットが入手できたのだ。

観戦する座席はアウェー側なので日本代表のレプリカを着て入れない。 何を着ていこうか?持っていこうか?と考え、結局昨日洗濯をした赤いTシャツを着て行き、日本代表とオーストラリア代表の尊敬する Johnny Warren のレプリカを持参することにした。 それが思わぬ“好結果”を招く事となるとはこの時思わなかった。
自転車で浦和美園の駅前まで行きそこから競技場までの通路を自転車を押して歩く事にした。

さすがワールドカップ予選。 多くの模擬店や代表グッズを販売する屋台ばかりでなく代表選手達の写真の前にも多くの人達が集っていた。そして選手の前では女性や子供達そして男性も、一緒に“記念撮影”を行っていた。 一番列が長かったのは予想通り内田だった。そこには多くの女性達が列をなしていた。

そこから数十メートル歩くと黄色のレプリカを着たオージー達のグループが。中の一人が私のTシャツを指さして声を掛けてきた。 私が着ていたのは4月にシドニーで購入した Western Sydney Wanderers の シーズン優勝記念のTシャツだった。それはこの時に気が付いた。 この集団は家族、親戚で試合観戦の為に来日したらしいが滞在期間は“48時間”の弾丸ツァーらしい。声を掛けてきた男性は Wanderer のファンで隣のオージーの集団にも私のTシャツを指さしながら声を掛け、何人かはこちらにやって来た。 4月の Grand Final を観戦したことや Wanderers の中心選手 Shinji Ono はこれから試合が行われるさいたまスタジアムを本拠地とする浦和レッズで長年プレーし、 Socceroos の Osieck 監督もレッズの指揮を執っていた事等を話したらみな熱心に聞いてくれた。 この試合の展望に就いて尋ねると、“申し訳ないけどオーストラリアに勝たせて貰う。オーストラリアは勝利が必要だ。それに私達はここに時間を掛けてやって来た….と答えた。おそらく最後の行が本音だろう。
私は “ 1-1 で終わろう。そうすればみんなハッピーだ。“というと、皆”オーストラリアは勝利が必要だ。日本は次に勝ってくれ。“と言った。そして少し話をしてお互いに Good Luck と声を掛けあい握手をしてその場を離れた。 まさか試合結果が私の”望んでいた通り“になるとは….

それから競技場に向かう途中、チケットを売って欲しい旨を書いたプラカードを持つ人達を数人見た。 中には“子供の分と2枚売ってください”と書いている人も。 2002年のワールドカップの時も浦和美園の駅で多くの子供達が“チケットを売ってくださぁ〜い。”と販売を乞うていた。 あの時のチケット騒動の原因は明快でサーバーのキャパシティーが少なすぎたのでチケットサイトに一斉にアクセスが集まりなかなかつながらなかったのが原因だった。 私もチケットを入手するのにほぼ半日PCの前に座りっぱなしだった。

自転車置き場から入場門に向かったけどものすごい長蛇の列になっていた。開門は午後五時。自由席の人達は少しでも良い席と席数を確保しようと開門のずっと前から並んでいた。 “運動公園”の周囲はタータンが敷かれており小さな起伏もあり走るには絶好の場所になっている。2日前の日曜日にこの競技場周辺までジョギングをしに来た時には既に順番を取る札が地面に貼られていた。 そしてこの日、サブ競技場で練習に来ていた日本代表を一目見ようと子供を含めた数十人の人達が来ていた。 練習場はブルーのシートで保護され更にジョギングコースの一部を“通行止め”にして、練習を見られないようにしていた。 私はどちらかと言えば Socceroos の練習を見たかったんだけどなぁ〜

この席取の様子は後に英国紙のコラムにも紹介されていた。日本人は早くから準備をする。何日か前からテープやプラスティックバッグを使って順番を取り、キックオフの4時間前に都心からBlue Shirts を来てKEIHIN TOHOKU LINE で北上し、3時間前から列に並び2時間前には競技場入りをして1時間半前にはほぼ半分の席が埋まった….と書かれていた。

 

私の座席が入り口となる南門に到着した時は既に開門時間が過ぎたばかりであった事もあるが人の流れは非常にスムースだった。これが日本人の良い所だろう。 海外ではこうはいかない。 朝の通勤ラッシュ時に綺麗に列をなして乗車をまっている人々の風景をみたドイツ人が“欧州では有り得ない。”と非常に驚いていた。

Category 5 のアウェー側一帯はすぐ隣の“ホーム側”とは全く異なり空席というよりもキックオフ2時間も前にやってくる人など皆無に等しかった。 中段からやや上のフィールド全体が見渡せる席にどっかりと余裕をもって腰掛けた。 時間が経つにつれて空席はどんどん埋まってきた。そして周囲のオージー達とサッカー談義に花を咲かせた。 なかには仕事でカタールに駐在しているが観戦の為に来日したという女性も。 カタールでの生活は暑いけど苦にならない。日本も暑いと話していた。 そして私の T シャツを指し Wanderers の話や小野の話をした。 更にこれが私の宝物だと Johnny Warren のレプリカを見せると驚いて写真を撮らせて欲しいと依頼され、レプリカを前にポーズを取った。おそらく私の顔は写さなかっただろう?

赤い Wanderers と黄色い Warren のシャツをネタに何十人ものオージー達と話が出来た。あぁ、横に息子がいればなぁ〜。と思った。 彼らの話を総合すると、とにかく日本は強すぎる。勝点1が手に入れば万々歳だ、との事であった。
みなでスタメン予想をしたけど、 Kennedy のスタメンは間違いないと殆どが言っていた。 私もそう思ったけど。

キックオフの1時間半程度前になった時に Sccceroos 達がピッチに現れた。ま移動着のままだったけど。ピッチのコンディションを確かめている様であった。周囲のまだ多くは居なかったけど周囲のオージー達から歓声があがり数人の選手達がこちらに手を振った。 遠目から長身の Kennedy がよく解った。 この時点でもまだ彼のスタメンを疑わなかったのは私だけではなかっただろう….



するとスクリーンに日本代表選手を乗せたバスが到着したところが映し出された。そして選手達が下りて来る度に大歓声があがり、予想通りに最後に本田が降りて来た時には更に大きな歓声が上がった。 後ろにいたオージーたちに4日前のブルガリア戦で日本は本田抜きで完敗したので我々は彼の登場を待っていたと説明した。彼らもよく解っていて香川や長友の話をしてきた。

キックオフの1時間程度前になり更に大歓声が上がり両チームの選手がアップの為にピッチに出て来た。 先の出て来たのは Socceroos だった。 練習のグループ分けからその日のスタメンがわかるのだけど、悲しいかな私はなかなか遠くが見えにくくなっていて選手の区別がつかなくなっていた。 だけどオーストラリアの方は全員が同じアップをしているみたいだった。それはスタメン予想をかく乱する為だったのだろうか?

時間が経つにつれて隣の Category 5 のホーム側の人達のが増えて来てもう押すな押すなの大混雑。 席数が足らないはずなんだけどなぁ。 警備員は空席の“緩衝地帯”を狭めたり、中にはこちらの“アウェー側”の空席を指してそこに座らせろという観客も。 だけどこちらもキックオフ時間が近づくに連れて席が埋まってきて、スタメン発表前にはほぼ黄色のレプリカを着たオージー達で満席となってきた。

そして注目のスタメン。GK Schwarzer から順にメンバーが発表される。 最初の驚きは Mark Milligan がスタメン発表された時だった。 JEF でプレーした“実績”がかわれたのだろうか? そして故障続きだった Mark Bresciano のスタメンも予想外だった。 そいて2列目に Tommy Oar, Robbie Kruse がスタメンに起用され Cahill がワントップに。 スタメンを予想した Kennedy そして Mile Jedinak , Brett Holman はベンチスタートだった。 

 

GK Schwarzer , DF Neil, Milligan, MF Cahill, Wilkshire, Bresciano, FW Kennnedy が2006年ワールドカップのメンバー。

日本は当時出場機会の無かった遠藤のみ。その遠藤がその後2回のワールドカップで主力となるところが私が彼を最も好きなところだ。

日本のメンバーは本田がスタメンの誰もが予想できるメンバーだった。 でも一般の人でも予想することが出来ていいのかな?と思った。

 

両国国歌演奏に続いてオーストラリアのキックオフで試合が始まった。 前半はこちらの方に日本が攻めてくるエンドになっていたので開始早々香川がPA内に入って来たのを皮切りに試合は何度もこちら側で展開された。 特に目立ったのはやはり本田圭祐。 彼にボールが渡ると見ていてこちらもボールが取られないというオーラが感じ取れた。 Milligan をスタメンに起用したのはこういう展開を予想してか? 18分には決定的なチャンスを掴むも最後の香川のショットは Schwarzer に弾き出されてしまった。 そしてオージー達から歓声が上がる。 23分頃からオーストラリアの2列目、 Kruse, Oar がワイドに開き出したので日本のボール支配率が減少したせいか、試合も落ちつきつつある様に見えた。 それでも主導権を握るのは日本。 前節は累積警告により出場停止だった Lukas Neil が最終ラインでよく効いていた。

33分、オージー達が一気に湧き上がる。 Holman から縦パスが中央を突破した Kruse に渡り中央でGK川島と1対1になるのがこちらからもよく解った。 しかしここは川島が前に出て来てストップ。さらにそのリバウンドをダイレクトで蹴りこんだ Cahill のミドルはクロスバーを越えてくれた。 私と隣のブロックの日本人サポーター達から安堵の溜息が漏れた。 

後ろの4人組のオージー達はみな両手で頭を抱えていた。彼らとは試合中日本のサポーター達が歌い続けるチャントの意味を何度も訊かれた。 特に多かったのは香川真司だった。 カ〜ガワシンジィィ〜、ラララララァァ〜というチャントは今でも頭の中に残っている。

 

その後日本も両サイドからの攻撃を中心にこちら側に攻め上がってくるがオーストラリアゴールネットを揺らすことは出来ず、スコアレスのまま前半終了のホイッスルが鳴った。

やっぱりタフに守ってくるなぁというのが印象。だけどホームでこの日のオーストラリア相手でゴールを挙げられないのでは実際にワールドカップになると…と少し不安なるのは自分一人ではないだろう。



 

ハーフタイムに入ると周囲のオージー達は一斉に消えてしまった。どこに行ったかはすぐに解った。ビールを買いに行ったのだ。

オージーに限らず欧州のサポーター達もこの試合の様な高温多湿のビール日和でなくてても、どんなに寒くてもビール売り場の前は長蛇の列だ。 体の構造が違うのかな? 周囲のオージー達にビールはおいしいか?と聞くとみな親指を立てていた。

XXXX ( エックスフォー ) は? Victoria は? Crown は?と聞くけどみな親指を今度は下に下げる。

“日本ではサッカーの試合で売られているビールはたいてい KIRIN ビールだ。 36年前にまだ日本でサッカーが人気の無い時から KIRIN はずっと日本代表のスポンサーだ。 だから競技場で飲めるのは KIRIN だ。”と話すとみな頷いていた。

そしてみな日本は food も drink も安くておいしいと言っていた。だからそれは今の交換レートによるものだと話した。 今でこそ AS$ は90円以上するけど、5〜6年前は60円台で、オーストラリアに機械を売り込むのに苦労した、と話したけどそれだけでなくここ数年のオーストラリアの物価上昇はやはり彼らにとっても大変らしい。 サッカーの話よりもこういった話の方が興味を持ったようだった。

 

後半は両チームとも選手交代ないしで始まった。 今度は日本が向こう正面に攻めてオーストラリアがこちらに攻めてくる。

なるべくこちらで試合が進んでほしくないなぁと思った。 

オーストラリアは Kruse , Oar がサイドを上がってくる回数が増えた。こうなると長友、内田からのサイド攻撃がなかなか出来ない。しかし怖い Cahill は今野と吉田がしっかりとマークしている。 日本は長友が上がってこられない分香川がサイド攻撃の起点になっていた。 

なかなか見せ場が訪れないオーストラリアに業を煮やしたか何人かのアルコールを充填したオージー達が今度は日本のサポーター席に向かって何か叫びだす。 だけど何を言っているかさっぱり聞こえないので誰も反応しない。そうすると今度は緩衝地帯に入ってきて何かを叫ぶ。 ここは警備員が飛んでくる。 日本人は誰も相手にしていないから何も起こるはずもなくオージー達も酔っているせいか?へらへら笑っている。 

63分、67分、FKを得て本田が狙うがゴール枠をとらえられない。まぁGKが Schwarzer だからかなり隅を狙わないと難しいだろうなぁ〜と隣のオージーと話した。 反対に64分には Kruse からボールを受けた Cahill がしぶとくシュートに持ち込むがここはゴールには至らない。やはり Cahill にはボールを入れたくないなぁとも話した。

71分。最初の交代選手が告げられる。それはオーストラリアで投入されたのは Kennedy でなく Vidsich だった。

79分、今度は日本ベンチが動く。 前田を下げて栗原を投入した。 これはどういう意図なんだろう?と思い最終ラインはどうかわるのかな?と思っていると左サイドから Tommy Oar がドリブルで上がって来た。 おいおい早くだれかマークに行けよと思うと Oar はそのまま前線にボールを上げゆっくりと弧を描いてなんと日本ゴールに吸い込まれてしまったのだ。選手交替でポジションチェンジが落ち着かないその虚を突かれた気がした。周囲のオージー達は狂喜乱舞する。 ビール入りのコップがいくつも宙を舞う。 中には上半身裸になって抱き合うオージー達や感涙を流す女性のオージーも。そのなかで私が頭を抱える。 

あと10分かぁ。 まだまだ勝ち点は日本が断然有利でこの試合を負けたくらいではワールドカップが遠のくわけではないが….
あと10分で Schwarzer の守るゴールネットを揺らせるかなぁ….. という思いが一番強かった。
そして“それ見た事か!!”と何人かのオージー達が日本サポーター席に迫り警備員達が飛んでくる。別に摘み出される訳では無かったけど。

85分にはまたも Oar にシュートに持ち込まれるが今度はGK川島の正面に。 そしてオージー達から歓声があがる。

日本ベンチは内田を下げてハーフナーを入れワントップに入れ今野を右SBに入れCBを吉田と栗原が組む。 87分には岡崎が下がり清武が入る。 スピード不足のオーストラリアDFを切り裂くためにドリブル得意の乾でも良いと思ったんだけどなぁ。

時計が刻一刻と過ぎる。ボールが外に出るたびにオージー達から歓声が上がる。 89分、本田のFKから繋いでシュートに持ち込みCKを得る。 ハーフナーを狙うかそれともオーストラリアの嫌がるショートコーナーか…と思うと本田はショートコーナーを選び遠藤にいったん預け再び中に入れると遠目から見ても明らかにボールが不規則にバウンドするのが分かった。 ゴール裏から大歓声が上がりオーストラリア選手が主審を取り囲む。主審の手の位置から見てPKを与えられたことが分かった。

それまで狂喜していたオージー達は一斉に静まり返り何が起こったかわからないという表情。 中には日本サポーター席に何やら叫びだしたり、更に怒りを露わにし、中指を突き立てる輩も。 こういう行為は欧州だと警備員にすぐにつまみ出される行為らしいが、その“重大さ”をあまり解らない私はやんわりと彼に人差し指を左右に振り、自分の肘に反対の手を当ててハンドがあったことを説明する。 スクリーンには本田のクロスが McKay の手に当たるのが映し出される。 もし微妙な判定でなければ映し出されなかったかな?

後ろの方にいた数人の日本人達にもPKだったことを説明する。彼ら(彼女達)も表情を崩してその判定を受け入れる。  
しかしまだ同点となったわけではない。 GKはワールドクラスの Schwarzer だ。 PKとはいえ容易には決まらないかもしれない。キッカーは誰だろう?遠藤じゃないだろうな。と思うと本田がボールを抱えてスポットにセットする。
本田なら大丈夫だろうと自分に言い聞かせるも何故か脳裏には本田の蹴ったボールがゴールネットに届かないシーンが浮かんでは必死に消し去った。しかし本田は堂々としかも真ん中にそのボールを蹴り込み試合を振り出しに戻した。

73分に発表があった 62,127人の公式入場者から約6万1千人分の大歓声があがる。 私は歓声というよりも天に向かって安堵の溜息を大きく一つついた。そして散々酔っぱらったオージー達に煽られていた日本人サポーター席の数十人が今度はそれ見た事かとこちらに向かって歓喜の雄たけびをぶつけてきた。

試合はロスタイムに入る。 あきらかに Socceroos もオージーサポーター達も明らかに意気消沈している。 これはチャンスだ。このまま一気に逆転だ…と思うとオーストラリアベンチは Kruse を下げて Archie Thompson を投入する。 周囲のオージー達は Sydney FC や Wanderers のファンばかり。彼らと思わず顔を見合わせる。私から Archie Thompson ティッッ ティッティッ ティ ティッッ 〜〜!というと受けたけど、あまり今では言わないみたいだ。

しかし1分もしないうちに主審の試合終了のホイッスルが吹かれた。 その瞬間、体中の力が一気に抜けた気がした…

 
試合終了後、3大会連続でワールドカップ予選突破1番乗りを決めたそのフィエスタがピッチ上で始まった。

オージー達はこちらに来た Socceroos 達に声援を送る。 この試合結果 1-1 というスコアーが最も平和的な結果だったんだなぁ〜と痛感した。 2007年ここで行われたあの ACL での浦和レッズ対シドニーFC戦の様に…..

そして周りにいたオージー達と握手と抱擁を交わす。 残りの2試合も Good Luck そしてオーストラリアまで Have a nice trip と言葉を掛けがら…そして中指を立てたオージーにも。 彼とはひしと抱き合った。 あの“行為”を誤りたかったみたいだった。 日本は強かった、いやオーストラリアは残り2試合ホームだ。それにこの日の Socceroos はこれまでと違う…



この試合のMan of the Match に先制ゴールを決めた Tommy Oar が選ばれたことがスクリーンで紹介されたけど、私から言わせれば Schwarzer こそ Man of the Matchだと思う。それは周囲にいたオージー達も賛同していた。
そして Schwarzer は予選終了後なんと Chelsea と契約を交わした。



場内インタビューで同点のPKを決めた本田の表情が。決して満足していないのが手に取る様にわかる。 ホームで満身創痍のオーストラリア相手にやっとPKで引き分けたのだからそれも当然だろう。



その後オーストラリアは Jordan, Iraq と同じスタメンで臨み連勝を飾りワールドカップ出場を決めた。 イラク戦はちょっと危なくて最後は遂に登場した Kennedy の一発で決まったけど…..

オーストラリアとはこれから熱戦が続くだろう。だけどこの日のさいたまスタジアムでの試合は忘れ得ぬ試合となるだろう…





そして今考えている。次は東アジア杯に行きたい。

あぁ栄冠は…… 第95回全国高校野球選手権埼玉県大会から

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今日、土曜日は会社が休みなので終日自宅にいたけど、終日クーラーは入れずに済んだ。 最高気温は31度程度だったらいいけど涼風がほぼ終日吹く7月中旬にしては快適な1日だった。

先週末は月曜日が海の日だったので3連休だった。 ここに引っ越してきて15年が過ぎたけど、ようやく初めて高校野球の埼玉県大会の観戦をすることが出来た。 そうようやく、毎夏見に行きたい、行きたいと思い続けて。
高校野球となると甲子園球場で開催される選手権や選抜大会が国民的行事の一つとして関心を寄せている。 しかしここに出てこられる球児はほんの一握り、ここに出て来るまでに様々なドラマがあるのは誰もが知るところだ。

高校時代を京都西高校で暗黒の日々を過ごした私であるが、3年になった時は同級生達が力を付け秋の近畿大会に進出した。
私は滋賀県の皇子山球場に応援に行ったけど大阪代表の上宮高校に敗れ選抜まであと一歩及ばなかった。

そして翌年の夏は本当に甲子園の銀傘を野球部でない私でさえ大いに期待した。改装前の西京極球場に同級生達の応援に駆け付けたものだった。しかし東宇治高校に惜敗を喫し、夢は叶わなかった。その東宇治高校が当時列強だった京都商業を決勝で破って甲子園出場を決めたのは驚きだった。

大学に進学すると更に何故か母校への愛好心が加増大し西京極球場や宇治黄檗球場に何度か応援に行った。 その際比較的ヤンキー系だった同級生数人と再会しなんだかうれしくなった事を思い出す。 そして大学在学中に遂に母校、京都西高校は選抜、選手権に進むこととなり甲子園の土を踏む事となった。大学進学後には陸上競技をしていた私は母校の進撃に大いに奮い立たされた。
甲子園に応援に行ったときはまだ高校で教鞭をとっていた先生達が親切にもアルプス席の入場券をくれたり京都までの移動バスに乗せてくれたり、更に高校時代はほとんど話したことが無かったヤンキー系や野球部員だった同級生と再会して本当に良い思い出になった。

春日部工業 6-2 大宮開成

この日は午前6時でも気温が30度以上に達する猛暑日だった、自宅から自転車で約半時間を掛けて越谷野球場に到着した時はもう第一試合は4回表に進んでいた。 先攻の春日部工が 2-0 とリードしていた。そして1死から9番井出君がヒットで出ており打順は1番の左打者川田君にかえっていた。 下位打線がチャンスを創り上位打線に繋ぐという理想の展開だった。
春日部工ベンチはここは送りはせずに強硬策。それに応えた川田君はライト前に弾き返し1,2塁とチャンスを広げると2番の石井君がインコースを叩き打球はライトを越え2者を還す3塁打となった。 これでリードは4点となった。

更に大宮開成の先発投手田中君は続く鳥海君を歩かせ。4番の染谷君にはぶつけてしまい満塁とピンチを広げる。 変化球のコントロールに苦しんでいたみたいだったが彼に限らず高校生は変化球でストライクを取れるかどうかで大きく違ってくるらしい。
春日部工は満塁で追加点のチャンスだったけど後続が早打ちをしてこのイニングに5点目は取れなかった。 大宮開成としてはちょっと助かったのではなかったか。
前のイニングには強硬策が功を奏してその後は裏目に出た春日部工だったが5回表は先頭打者の清田君がセーフティーバントで出塁すると8番繁田君が初球んい送りバントを決め大宮開成内野陣を揺さぶる。続く出井君はまたも初球を打ってショートゴロに倒れるが1番の川井君は前の打席とは異なりレフトに流し仕打ちも1,3塁としこの打席でもチャンスを広げ、前の打席で3塁打を放った石井君を迎える。 しかし石井君の打球はやや強めの内野ゴロとなり、ショートの吉田勇君がしっかり回り込んでボールを掴んでセカンドにトスをしてここは田中君が踏ん張り打ち取ったかに見えた…がセカンドの野崎君が送球を落としてしまい、5失点目を喫してしまった。 気落ちしたか田中君は続く鳥海君にも1-0 からレフトに弾き返されたけど4番染谷君が 1-2 から打った強いゴロは今度もショート吉田勇君が回り込んで今度は1塁に送球して何とかピンチを凌いだ。大宮開成にとっては失策からの痛い失点だった。

しかし痛い失点は次の回も喫してしまう。 大宮開成は6回から田中君に代打を送ったことから2番手投手志賀君を投入した。
緊張のせいか先頭打者の渡辺君を歩かせる。 続く芳賀君はきっちりと送り、更に続く7番清田君がセンター前に弾き返される。
攻守を見せていた吉田勇君は打球が走者と重なり追いつきながら取れなかい不運もあったけど。 続くスクイズを敢行した8番の繁田君の打球はフライトなり志賀君がしかっかりとキャッチし2死にこぎつけた。 続く9番出井君の打席 0-2 から1塁走者の清田君が飛び出し牽制球で刺されそうになるがそのランダウンプレーの間に渡辺君が先にホームを踏み春日部工に6点目が入った。
何故先にホームに泣けなかったのだろう…得点が入る度に春日部工業の応援スタンドからの声援ボルテージが上がってきていた。



一方の大宮開成打線はなかなか春日部工先発の清田君を捉えられない、というよりも早打ちが目立つ。早打ちが悪いというわけではないが4回から6回まで相対した11人のうち4打者が初球打ちだった。 4回裏には6番片岡君が粘って四球を選ぶなどじっくり見ればもっと活路も見いだせると思ったんだけど。 ここでも目立ったのはショート吉田勇君。 6回裏には先頭打者としてセンター前にうまくストレートを打ち返していた。
7回表、2イニング目の志賀君は9番から始まる春日部工打線を3者凡退に切って取る。 センターの吉田啓君、セカンドの野崎君が良い守備を見せていた。 この回の大宮開成の守備には観客から拍手が起こった。

両チームの応援はそれぞれ野球部員が中心となっていた。 その応援団は春日部工の方が圧倒的に多かったけど、声量は大宮開成も決して負けてはいなかった。その中には3年生はいたんだろうなぁ〜。

7回表の好守でリズムを掴んだか大宮開成打線がチャンスを掴む。 エラーと石神君が選んだ四球で2死ながら1,2塁とする。

先頭の片岡君から佐藤君、代打の高島君までまたもや3者連続初球攻撃だったが9番の石神君はよく粘って四球を選んだ。
そして打順は1番の吉田啓君が打席に立った。吉田啓君は2-1 から清田君の投じたカーブをうまくライト前に弾き返し2塁走者の佐藤君をホームに迎えいれた。 そして攻守に亘って冴え渡っていた吉田勇君が打席に入る。 これは楽しみなシーンと思うも清田君は吉田勇君の肘にぶつけてしまった。 
吉田勇君はかなり痛そうにしていたけど心中はチャンスが拡がったと思ったのではないかな…ただ後続の落合君は1塁ファーストフライに打ち取られたけど。

8回表も大宮開成はファインプレーが生まれる。3番手下城君から春日部工先頭の鳥海君が投手強襲安打で出塁し代走の阿部君が 1-2 から盗塁を決め、途中から4番に入った里津君が 1-2 からライト前に痛打する。しかし右翼手植村君が素晴らしい返球で神戸君の生還を阻止。 このプレーにはしばらく拍手が止まなかった。

そして試合は 6-1 のまま9回裏を迎えた。マウンドは8回から2番手川田君が登板していた。前の回は3者凡退に切って取ったが最終回、先頭打者の佐藤君が 0-1 からサードゴロに打ち取られる…と思ったけどゴロがベースに当たり幸運なヒットとなり先頭打者が出塁する。 この試合途中からサードに入った神戸君、打球が緩かったのでベースの前で捕球態勢に入らないと…

続く下城君は 0-2 となるも以降ストレート、カーブ、で2-2 とし最後はスレートで空振り三振に。 続く石神君はサードフライに倒れ2死となってしまい、前の打席でタイムリーを放った1番の吉田啓君を迎える。 この打席でも吉田君は見事に右中間に打ち返し1塁走者の佐藤君が長駆ダイヤモンドを駆け抜け躍り上がってホームを踏んだ。 




そして吉田勇君に打順が回る。 これは最後の面白い、いや最後にならないかもなぁと期待したけどバッターボックスには背番号20番の増田君が代打に送られた。 吉田勇君は前の打席で受けた死球のせいでまだ肘が痛むのか、それとも増田君は3年生なのか….増田君は結局三振に切って取られて試合が終了した。 増田君渾身のフルスイングだったんだけど....

サイレンが鳴り試合終了の整列、あいさつが行われる。 握手はしないんだなぁと思った。 ある時雑誌で試合終了後の握手を禁じる県大会があると読んだことがあったけど…..
そして熱心に声援を送っていたスタンドから両校がお互いにエールを送り、スタンドから大きな拍手が湧き上がった。



試合中は暑さを忘れて観戦していたが試合終了と共にどっと暑さを感じ、これはたまらんとばかりに涼と飲料水を求めて球場の外に出た。 アルカリ飲料を飲みながらしばし日陰伝いに球場周辺を歩いていると試合を終えた選手達が外に出て来ていた。 大宮開成の選手達が殆ど泣いているのを目にして立ち止まってしまった。 その涙きっといい思い出になるよ、と思いながら。

春日部工業の選手達はみな笑顔だ。 その笑顔続くと良いね、と思った。 するとAKBみたいな女の子たちの大集団がやって来た。それは次に試合を控える与野高校の Cheer Gils 達だった。 県大会のインターバルは短い、はやく戻らねばと足早にスタンドに向かった……

 

与野高校 7-0 幸手桜

高校野球も歳とともに見方は変わってる。小学校の時は今の様に家庭用のゲーム類があるわけでも無かったので世の野球少年達はプロ野球や高校野球を熱心に見ていた。そしてよく地元高校の勝ち進み具合や話題の選手の事などを話題にしていた。

中学になると純粋な野球少年達は甲子園を夢見て野球部に入部する。私は髪を短くしたり練習中大声をわぁわぁ上げるのが嫌だったので野球部には入らなかった。 同級生達の野球部のレベルはと言うと練習を一生懸命する割にはさっぱり弱く、練習試合を含めて一度も勝った事がなかったらしい。 高校に進学しても野球を続けたのは1人しかいなかった。でも野球部は女の子には人気あったんだよなぁ〜。

高校に進学すると完全に高校野球の見方が変わった。 男子校に通う自分はアルプス席に女の子がいればそれだけで羨ましく思い、甲子園球場と言うよりも全国大会でプレーすることがいかにすごいことなのかを痛感させられ、同時に高校野球への興味は一気に薄れていった。

それから30年以上が過ぎた。 今や息子が高校生になるとまた見方が違ってくるのだった….

この日の第二試合が始まる前、そんなことは何となく思い出さされる様な雰囲気だった。 
与野高校は試合前の練習では多くの選手達がノックを受けたりキャッチボールをしている。スタンドもベンチに入れなかった野球部員達にブラスバンドそしてCheer Girls 達まで揃っている。もちとん父兄さん達も少なくない。 

 

そして幸手桜高校の練習が始まったのだが、グランドには10人の選手が散って顧問の先生がノックを始めた。 
与野高校の練習風景とはえらい違いだった。たった10人の選手がノックを受けるのだけど、全員が野球経験者とは言い難かったなぁ。 
未経験者でなければこの4月からボールを握り始めた1年生か…..
違いはグランドだけではない。スタンドに目を向けるとクラスメートか親御さんか10人ほどの“観客”が見られるだけだった。 
これを見た時、複雑な心境になった。まさか目の前では超一方的な展開になるではないだろうかと….. だから心の中で“頑張れよ!”と幸手桜高校ナインに声援を送った。

その幸手桜の先行で試合が始まった。 1番が見逃し三振、2番が当たり損ねのキャッチャーゴロ…これを見た時は悪い予感が更に増大した。 しかし3番窪田君、そして4番武田君が非常に鋭い打球で打ち返す連続ヒットで出塁する。続く永恵君はサードゴロに討ち取られたが連続ヒットを見せられた時はスタンドがちょっとどよめいた。

こうなると今度は守りの方も“予想以上”を期待する。先発マウンドの窪田君はさっきはヒットで出塁した。彼は間違いなく野球経験者だろう。 与野高校先頭の加藤君を歩かせ、続く井上君には送りバントをきっちり決められ1死2塁となりクリーンアップへ。 3番日野君の当たりは討ち取ったと思われたが内野の連携が悪く1塁に生かしてしまい1,3塁となり、更に4番大塚君の打席で 0-2 から日野君に楽々盗塁を許し、大塚君にはセンターに犠牲フライを打たれて先制を許した。 続く小山君はセカンドゴロに討ち取ったけど経験差が露骨に守備に現れた。続く2回裏の守備でも内野安打と失策から2点を失う。ランナーを出してもきっちりバントで送ったり2点目を決めた9番高橋君のスクイズも見事だったけど、失点は守備に拙さからだった。 
更に3回には1死から4番大塚君にセンター越えの3塁打を許すと続く小山君の打球は遊撃手高橋君を襲い内野安打となった。そして追加点が入った。この守備は仕方が無いとしてその後もエラーと言うよりもランナーが1塁にいると2塁盗塁は完全にフリーパス。その直後に与野ベンチはきちんとバントで送ったり更にエラーで3塁まで進塁を許しスクイズやタイムリー安打を喫して追加点を許す。 3回を終わった時点では 6-0 となっていた。得点が入る度にブラスバンドの奏でるコンバットのリズムに乗って Cheer Girls 達が節度あるパフォーマンスを見せる。 
グラウンドもスタンドもちょっと一方的になってきたなぁ〜と思いだす。

それでも3回裏は 0-6 とされ尚も1死1,2塁のピンチに9番高橋君の当たりはサード新井君を襲ったがこんどはきっちりキャッチ。サードベースを踏み、1塁に送球し見事に併殺で猛攻を断った。 このプレーには拍手が沸きあがった。 確かに打球をキャッチしたと言うよりも打球がグラブに入ったと言うあたりだったがそのあとのプレーは見事だった。

先発村上君の前に沈黙、とうよりも力負けが目立つ幸手桜打線だったが4回表は3番窪田君から始まる好打順。今度はレフトに引っ張り塁に出ると続く武田君もレフト前に打ち返し無死走者1,2塁とした。 武田君は柔道部か相撲部かといった体格であったが試合前練習を見ているとファーストミットのさばきは経験者であると思わされた。そしてこのバッティングを見るとそれは確信することが出来た。だけど後続は続かなかった。2死を取られた後の7番菅野君の打球は鋭いサードライナーだったんだけどなぁ〜。

4回裏も守備の乱れから与野高校に追加点を許す。 先頭の加藤君がこの日2つ目の四球で出塁するとあっさりと盗塁を敢行する。2塁への早急がそれ3塁まで進めるとバッターボックスの井上君がきっちりとスクイズを決めて7点差とした。 井上君はこの日2つ目のバントを決めた。 そして与野高校はこの試合7得点中スクイズで3点を挙げた。

5回表、何とか1点を返して点差を詰めて試合を9回まで持たせたい幸手桜は2死から1番新井君がセンター前に弾き返し出塁する。 窪田君、武田君以外の選手からついにヒットが出た。 続く沢口君が出塁すれば3番窪田君に繋がる・・・だが甘くは無い投手ゴロに討ち取られた。 

5回裏、マウンド上の窪田君は途中から左翼に入った先頭打者の斉藤君をショートゴロに討ち取る。続く代だの山田君には左翼前に運ばれ8番佐々木君がきちんとバントでスコアリングポジションにランナーを送る。 さすがだと思うがここは窪田君が踏ん張り続く高橋君をセカンドフライに討ち取り、この試合初めて与野高校のスコアーボードに0が点灯した。 ベンチに引き上げる幸手桜ナインに拍手が送られる。  

6回表は2安打の窪田君から、さぁ1点還そうと期待が高まるがこの回から当番の2番手小山君の前に期待のクリーンアップが押さえられてしまった。 窪田君はつまり気味の左翼フライ、鋭い打球を飛ばしていた4番武田君、そして続く永恵君も連続三振に討ち取られた。 あぁ選手層の違いが〜と、期待の大きかった分残念な気持ちになった。

それでも6回裏、マウンドに上がった窪田君は1番から始まる与野打線を3者凡退に切って取り味方の反撃を待つ。 この時もベンチに走って戻ってくる幸手桜ナインに拍手が送られた。勿論私も。

7回表、この回得点が入らないと幸手桜のコールド負けになってしまう。先頭の奥野君、前の2打席は空振三振であったがこの打席は小山君のストレートを引っ張り見事に右翼前に打ち返す。 先頭打者が出塁し続く菅野君はこれまでノーヒットだが共に当たりは痛烈なライナーだった。しかし初球に送りバントを決め菅野君を2塁に進める。 まずは1点を、まだまだ試合を続けるぞと言うサインだ。 しかし反撃もここまで続く塚田君の打球は外野に飛んだが右翼フライ。そして9番、徳里君はセカンドゴロに倒れ試合終了のサイレンが鳴り響いた……..

試合終了後、与野高校応援団からはしっかりとエール交換の為の声援が幸手桜側に送られる。 幸手桜からは誰もエールの返答を送られはしないことは解っていたんだろうけど。 この行為にスタンドからはよりいっそうの拍手が沸いた。

スタンドで声援を送っていた与野高校の野球部員達がグラウンドに降りて整備を始めた。そうか、勝ったチームが整備をするんだなぁ…
この中には3年生もいたのかな… 

球場外に出ると幸手桜の選手達が出てきていた。主将の永恵君が新聞社の取材に涙をこらえながら答えている。数人の選手が涙を流していた。 この光景を見て少し安心した。 この試合の為に頑張ってきたんだなぁ….と思った。

父兄の一人が“メンバーを組んで試合に出られて本当に良かった。”と語っていた。 幸手桜高校は今年4月に幸手高校と幸手商業が統合して開校した高校と後で知った。 春季大会は1回戦で杉戸高校に 0-14 で負けたらしい。それに比べれば進歩だろう。

“5回を過ぎてからペースを掴んできたのに残念でしたね・”と声をかけると、丁寧に御礼を言われた。

甲子園だけが高校野球ではない。 ここで1勝、いや試合をすることを目標にするのも高校野球だ。ある時期からそういう考えも持てる様になった。 




この日観戦した試合の勝利校、春日部工業も与野高校も次の試合に敗れて4回戦進出はならなかった。
だけど与野高校が3回戦で対戦した川越東は今年の埼玉県大会は準決勝に進出している。 幸手桜戦で先発投手だった村上君はその川越東相手に延長12回まで熱投の激戦の末 2-4 の惜敗だった。 

今日見たこの日が今大会越谷市民球場で行われた最後の試合だった。 来年、またここでどんな熱戦、ドラマが繰り広げられるだろう。

それにしても新設に作られていたミストシャワーは役に立ったのかな…


夏の甲子園もうすぐ開幕。だけど県大会も面白かった。

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最終回。スコアは 1-16 。どう考えても、奇跡が起こっても逆転は考えられない。 それでもスタンドからは熱心な声援が送られる。前の打席でヒットを放っている中村航太君が先頭打者のボックスに入る。たちまち 0-2 と追い込まれるが3球目を打ち返した打球はショート竹村君の頭上を越えて左翼手服部君の前に落ちた。マウンド上の小島君が先頭打者を出すのはこの試合4回目だ。川越東ベンチはここで途中からセンターに入っていた2年生の堀川君に替わって背番号17番、3年生の関口君を代打に送る。 今大会3度目の打席だ。 初球のインコースのやや低めをうまく上から叩いて続く。 打った瞬間に手応えを感じたのだろう、関口君は走り出した途端に右手を高く上げた。代打で出た高校生活最後の打席で小島君からヒットを放ち、良い思い出になっただろう。そして人生の支えになるに違い無い…こう思った。 



川越東ベンチは更に2塁走者中村に3塁ベースコーチをしていた3年生の兵頭君を代走に送り、打席には8回からマウンドに上がったエースナンバーを付けた3年生の渡邉大樹君に3年生の染野君を代打に送る。 4番手として登板した背番号1番の渡邉大樹君は2イニングを無失点に抑えた。 
染野君は初球を引っ張るもサード高田君の正面。ベースを踏んでセカンド津田君に送球しファーストの木暮君に送られる。トリプルプレー、というよりもゲームセットと思ったけど間一髪染野君の脚が早かく2死にはなったけどランナーが一人残った。
大量リードされ、先頭打者が出塁したのでじっくりと投球を見るという手もあったのだけど、代打で出た3年生の関口、染野の両選手の初球打ちはここでは攻められないなぁ〜と思った。 
そこが高校野球なのかもしれない。

打順が1番に戻り前の打席でライト前ヒットを打っている2年生の渡部君が打席に入り、ここも1,2塁間を抜き小島君からこの試合2本目のヒットを奪った。 浦和学院の小島君との対戦は来年も続く。より強くリベンジを誓うのは2安打を喫した小島君か、決勝戦で勝てなかった渡部君だろうか….
2死ながらランナーを二人塁上に置きこの試合最初のヒットを初回に放った3年生の高梨君が打席に入る。最後の打者になりたくないだろう、次の3年生の小寺君に回したいだろう、それともまだ出番がないベンチにいる3年生に act bat のチャンスを創りたいか…. しかし0-1 から打った打球はセカンド津田君の前に転がり万事休す。 浦和学院が春夏連覇に向けて1歩前進した。

決勝戦がこんなに大差がつくとは想像できなかったなぁ〜。
やはり準決勝戦が一番の山場だったんだろうなあ〜…….

7月下旬、取引先の方から携帯に連絡が入った。“土曜日、大宮に行かれますか?” その方は聖望学園野球部OB。現役時代は残念ながら甲子園の土を踏む事は出来なかったけど御嬢さんがマネージャーとして甲子園にチームと帯同し、ベンチ入りをされたらしい。 事実上の決勝戦になるかもしれないですね、ご一緒させてくださいと答えた。 でも選抜優勝を果たした浦和学院相手に自信は無かったらしい……

7月26日、この日も埼玉県は暑かった。 運動公園内に入り県営大宮球技場に近づくにつれて人通りが多くなる。そして球場の切符売り場の前は長蛇の列。 さすが準決勝戦ともなると違うなぁ、と思う。さらに真夏の球宴という大会プログラムも販売されていた。 




球場内に入ると観客席はほぼ満席。 ここでも準決勝戦と2回戦の違いを感じさせられる。 取引先のKさんに電話を入れると放送席の横の日陰のところで立ってみているとのことでそこに向かう。 球場全体が見渡せ、直射日光も避けられるのでなかなかいい場所だった。 
“スポーツ御宅”の私はさっそく両チームのこれまでの戦績をまとめたものを見せる。まぁ仕事だとここまで下調べなんかしないけど、好きなことは…

“やっぱり、寺田、田畑はよく打っていますね〜。“前の市立川越戦で本塁打を放った二人を指して言った。 
そしてこの日の先発は準々決勝で完投した川畑君でなくて長谷川君だった。それをKさんに尋ねてみると
”小島は対浦学戦連敗中なんでよ。“と教えて貰った。 昨年の選手権埼玉県大会決勝戦、そして昨年埼玉県秋季大会準決勝でも両校は対決しいずれも浦和学院が勝利を収めている。 その時の聖望学園の先発投手は小島君。いつも全国大会一歩手前でたちはだかった浦和学院相手に今年こそとの思いは小島君をはじめ聖望の選手達は強かっただろう。
ベンチ入りメンバーの中でもサードの中村郁人君以外はみな3年生との事だった。
対する浦和学院はベンチ入りメンバー20人のうち1,2年生が3人ずつ入っている。
投手の小島君もその一人だ。

4回戦の途中まで出場していた1塁手の案随君に就いてKさんに尋ねた。草加西戦で怪我をしたらしい。以降は背番号17番の高橋君が1塁を守っている。 今のメンバーの特徴は地元“飯能市”の中学から4選手が入っている事らしい。他にも埼玉県下から9人。東京都から練馬、東村山の沿線組2人を含めて4人と強豪私学ながら“地元色”が強いメンバー構成だった。ただ投手の川畑君は滋賀県出身だけど。 
浦和学院は12人が県外選手。まぁ8人の埼玉県下選手の中でも朝霞、上尾、富士宮、東浦和といった通学県内の選手もいるけど…..

ここまでの5試合、聖望学園はのべ15選手を起用しているけど浦和学院は12人。
“けっこう浦学はがちがちで来ていますね。”とはKさんの印象。 聖望学園は3年生ばかりだからかなぁ…..
浦和学院の中心選手達は当然の様に選抜優勝メンバー。 贄君が怪我でスタメンから外れているけど、彼の穴埋めを担うのは何と1年生の津田君だ。 半年前まで中学生だった選手が….と感心してしまった。

今年の選抜では浦和学院が優勝を果たしたけど、平成20年は聖望学園が準優勝を果たしている。その年の選手権は第90回記念大会だったので埼玉県からは2校出場枠が与えられたけど、出場を果たしたのは浦和学院と本庄第一。

平成11年聖望学園が選手権に初出場を果たした時の埼玉県大会の決勝戦の相手が既に4回選手権に出場経験があった浦和学院だった。 そしてこの時の聖望学園に現在阪神タイガースの中心選手鳥谷がいた。両校は本当に良いライバルなんだなぁと改めて感じた。

先攻は浦和学院。準決勝の埼玉平成戦では2安打を放った先頭打者の竹村君がアンダースローの長谷川君から 3-2 までボールをよく見て右翼前にヒットを放ち出塁する。続く服部君は蕨戦から2番に入っている。
早くもバントの構えを見せるが1-2からバントを失敗し 2-2 後の5球目、エンドランがかかっていたのが外角低めを空振りし、スタートを切っていた竹村君が2塁で刺され、無死1塁から2死走者なしとなってしまった。 
背番号12番の捕手の岩本君が取ってから良い送球をセカンドに送った。 元々1塁手だったらしい。聖母学園としてはここは3人で終わらせたかっただろうけど平成埼玉戦では4打席無安打だった主将の3番山根君が 0-2 からライト前に打ち返してまたもランナーを出した。しかし4番高田君が3-2 から高めのストレートで空振り三振に討ち取られ初回先制は成らなかった。4番の高田君、蕨戦、埼玉平成戦とヒットが無いのが気になった。だけどさすが浦和学院打線は長谷川君に初回から20球投げさせた。

後攻めの聖望学園、マウンド上には浦和学院エースの小島君が。これまで連敗中の小島君相手に先制が奪えるか?準々決勝までのチーム打率は 0.348 これは浦和学院の 0.301 を上回ってはいるが。 

先頭の清水君が初球を打ってセカンドゴロに打ち取られ、2番笠原君が1-2 からレフト前に打ち返し出塁する。 これで笠原君は今大会6試合連続ヒットだ。 
“彼の構えを見ていると本当にぶっ飛ばしそうですね。”とKさんに話す。空振りが2回あったけど当たれば飛んでいきそうな空振りだった。 Kさんは“笠原はものすごいパワーヒッターで体格はすごくて筋肉隆々”と教えて貰った。
元々投手として入学したらしいけどバッティングを買われて野手に転向したとのこと。やはり、良い選手はみなエースで4番かぁ、と思った。そして笠原君も地元飯能出身の選手との事であった。

初回の小島君は笠原君にヒットを許したことに動揺したのか前日本塁打を打っている続く寺田君にはストライクが入らず 3-1からの4球目が高く外れ歩かせてしまう。 捕手の西川君がマウンドにより内野陣が集まる。そして浦和学院ベンチは早くも背番号9番、3年生の久保君を伝令に走らせる。

打席には4番中村君が入る。ここまで19打数7安打 .368 であるが前の市立川越戦はノーヒットだ。“送りますか?撃たせますかねぁ” Kさんは少し首をひねった。 初球、2球目とバントの構えから 1-1 となり3球目はバットを思い切り振り、打球は緩い投手ゴロになり結果的にランナーを送ったことになった。
2死ながら2,3塁となり打席には、 5番高橋君が入る。栄北戦、市立川越戦とまだヒットが無い。結局ショートゴロ守備妨害に倒れ絶好機を逸した。 2塁走者の寺田君とショート竹村君が交錯したけど、聖望学園にとってはちょっと不運な打球に見えた。

2回表、浦和学院は先頭の木暮君が 1-1 からライトにライナーのヒットを放つ。 6番斉藤君がボックスに入り、一旦長谷川君がセットポジションにはいろうとするとベンチからタイムが掛かった。 “替えるのかな? 替えますね。” K さんが呟く。エースの川畑君が早くも登板となった。“長谷川君はベンチに下がりましたね。” “川畑で大丈夫かな?浦学に勝っていないから。” K さんが少し不安顔になる。 しかし川畑君は後続を3人で打ち取る。圧巻は斉藤君のバントを投手フライに打ち取ったストレートだった。

浦和学院が2回まで得点を上げられなかったのは今大会初めてだった。

2回裏、マウンド上の小島君はまだ調子が上がらないのか先頭打者の田畑君に 1-2 からの外角高目をライトに運ばれる。 
田畑君は市立川越戦では本塁打を放っている。“彼は色々な大学が狙っているんですよ。” Kさんがそういう逸材だと教えてくれた。 7番の吉田君は初球をきちんとバントを決めて田畑君を2塁に送る。だけどこのバント処理、ちょっと小島君とサードの高田君がお見合いをしそうで危なかった。小島君は後続の岩本君と川畑君を打ち取り得点を許さなかった。 しかしけっこうきつい打球を飛ばされていた。 

両校序盤は無得点ながらもランナーをスコアリングポジションに進めていたけど、打者が2巡目になると途端にヒットが出なくなった。
長谷川君が3,4回と死球でランナーを出すも内野陣が共に併殺打で後続を断てば、小島君はストレートが冴えて来て3回から6途中まで打者12人に対し無安打5三振の快投。 サウスポーが右打者に有効な“クロスファイヤー”が効果的に決まっていた。

そして外野席が解放された。



“これは次の1点が試合を左右しますかね。“ ”その1点が試合を動かすでしょうね。“と言う会話をKさんと交わすほどだった。 
6回裏聖望学園の攻撃は2死から4番中村君、5番高橋君が連打を放つ。そして中村君が3塁に進む。 高橋君は落ちる球を見逃してカーブをうまくレフト前に運んだ。その前にベンチから何やら指示が出たけどそのことだったのかなぁ?3塁にランナーを進めるのは3度目。 そして田畑君がバッターボックスに入った。
“ここは見どころですね。”   だけど軍配は小島君に。初球、2球目とストレートでストライクを取り、3球目外角の変化球に田畑君はバットが付いて行けず空振り三振に切って取った。

7回表、今度は浦和学院が好機を掴む。川畑君が先頭の高田君を歩かせると続く木暮君が初球送りバントを決め高田君が2塁に進む。 2回以来の2塁走者となったが川畑君が踏ん張る。 後続の斉藤君はストレートで、西川君は変化球でそれぞれ三振を奪い得点を許さなかった。 川畑君は斉藤君を迎える前にスパイクの紐を結びなおすなどして“主導権”を握り続けたのは見事だった。 

8回表、またも聖望学園がチャンスを掴む。 先頭の左打者吉田君が初球、内角高めのストレートを叩くと打球はぐんぐん伸びでライト斉藤君の頭を越えてワンバウンドでフェンスに。 吉田君の見事なスタンディングダブルであった。 そして8番岩本君が初球、送りバントを決めて1死3塁とチャンスを広げ打席に投手川畑君を迎えた。 最初の打席では打ち取られたがセカンドライナーの打球は鋭かった。 
“スクイズありますかねぇ?” K さんは“小島君から点を取るのは難しいから….”と言われた。

小島君はサウスポー。3塁走者の動きは見えない。 浦学バッテリーはバントの構えから入る川畑君に初球は内角にボール球。2球目はアウトローにストレートでストライク。 よくこの場面、アウトローでストライクを取れたなと思った。3球目は釣り玉の様な高いストレートだけど川畑君は振らない。4球目のストレートを川畑君は強振して1塁後方にファール。これで2ストライクになりスクイズはやりにくくなった。そして5球目、バントの構えから強振すると鋭い打球が快音を残して飛ぶが前進守備のセカンド津田君の正面に。 観客席から溜息が漏れた。 



2死となったがまだランナーは3塁にいる。そして打順が1番の清水君に戻る。 清水君はこの日そして市立川越戦でもヒットが出ていない。
小島君の初球、ストレートはファール、2球目もストレートで空振り、たちまち追い込まれる。サードランナーの吉田君がスパイクの紐を結びなおして間を開ける。 3球目アウトコースのスライダーは見送り、4球目インコースの変化球も見送った。 浦学バッテリーとしては振って欲しかっただろう。 そして5球目。インコースのストレートを強振すると打球は詰まってセカンドの前に落ちる。 津田君がうまくさばいて何とかピンチを凌いだ。 清水君必死のヘッドスライディングだったんだけど…..

8回表、今度は打者小島君がレフト前に弾き返し2回以来のヒットで出塁し、続く津田君の送りバントで2塁に進むが後続を川畑君に討ち取られれば、8回裏は小島君が2番から始まる聖望打線を三者凡退に打ち取り9回表を迎えた。

3番の山根君から始まる好打順。広島出身の山根君の母親がスタンドで応援している事を後で知った。その山根君は 0-1 から川畑君の 101球目をレフト前に打ち返し出塁をすると4番高田君をバッターボックスに迎える。 しかしここは手堅く送りバント。高田君は1度は失敗するも 1-1 から送りバントを決め山根君を2塁に送る。続く木暮君は最初はライト前ヒットを放っているが投手が川畑君に替わってからは、死球、送りバントだ。 2-1 から引っ張った打球は3塁線沿いに飛ぶがサード中村君の正面に。ランナーは進めずアウトカウントが1つ増えた。 2死2塁になり聖望ベンチは背番号2番、中島君を伝令に走らせる。 マウンド上に輪が出来る。 この回を凌げば9回裏サヨナラがあるかもしれない、後攻めが有利になってくる。

次打者の斉藤君はこの試合まだヒットが無い。初球は外に逃げる変化球をバットに当ててファールにした。そして2球目の構えに入るが2塁に疑投をして間を取る。浦和学院の応援団のボルテージが上がる。そして小島君が投げ込んだインコースの低めを斉藤君がしばき上げる様にバットを振ると打球は右中間に深々と飛ぶ。 
山根君が生還し待望の“先制点”が最終回に入った。

私が好きだった往年のジャイアンツとロッテで活躍した山本功司のバッティングを見ているみたいだった。

殊勲の斉藤君が3塁塁上でガッツポーズを取る。 浦和学院応援席は狂喜乱舞している。 隣のKさんが天を仰いだ。






“まだわかりませんよ。3塁ランナーをホームインさせないようにしないと。1点ではわかりませんよ。”と声を掛けた。
川畑君は次の西川君をショートゴロに打ち取り追加点を許さなかったけど、本当の痛恨の1球と感じただろうなぁ。

走って右翼の守備に就いた殊勲の斉藤君に浦和学院応援団から“リョースケ〜!リョースケ〜!”と歓声が飛ぶ。“プロ野球みたいですねと”Kさんに言うと苦笑いを。 “小島はまた浦学に負けるんですか…” いやいや、まだわかりませんよ….といったけど。

9回裏の聖望学園は前の打席でヒットを打った先頭の高橋君がセカンドフライに打ち取られ、続く田畑君が死球で出塁する。 そして前の打席で2塁打を放った吉田君がボックスに入る。吉田君はバントの構えからヒッティングに切り替えるが小島君はストレートで 1-2 と追い込む。それでも吉田君はバントの構えを崩さない。 
しかし 2-2 から小島君の投球を外野に飛ばすが服部君が左に走って打球を掴む。
2死となるがまだランナーは2塁に残っている。この日ノーヒットの岩本君に巡るがそのままボックスに。代打はいないのかなぁ…そしてマウンド上には内野陣が集まった。伝令も走ったのかな....

初球、2球目とアウトコースにストレートでストライクを取る。3球目の変化球はバットに当てる。そして最後は高めのストレートで空振りを誘い激闘に終止符が打たれた。 

“残念でしたね。” “いえいえ。お付き合いいただいてありがとうございました。” こう言い残してKさんは立ち去った。おそらくOB会の人達とこれから….. “月曜日に注文書を入れますから。” こういったときは仕事の顔に少し戻ったみたいだった。

グラウンドでは森監督のインタビューが始まっていた。 川畑君の投球内容をしっかりと称えていた。あぁ紳士なんだなぁと感じた。



暑さで第二試合を観戦する元気は無く、すぐに帰途に就いた。家に帰り、決勝戦の相手は川越東になったことを知った。

川越東かぁ…よく打つから今度は打線が奮起しないとなぁ, と思った。 そして試合内容はその通りになった。

決勝戦はテレビで見た。 表彰式を見ながら、甲子園だったら準優勝おめでとうだけど、県大会だったら優勝と準優勝は天と地ほどの差があるんだなぁ…..と思った。

だけどこれだけは言える。 これからの人生がもっと大事だ。 まだまだいろいろな事がある。 あの年の夏が良かったなぁ〜と永遠に振り返るような人生にするなよ… と。

埼玉県民の期待を背負って.... 浦和学院 10-11 仙台育英 10.Aug. 2013

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6回に入り初回に50球以上も投げた小島君の投球数早くも100球を越えた。打席にはこの試合これまでストレートを打ち返して2安打している1番の熊谷君に回ってきた。 3塁上にはこ高めを空振りし 2-2 とされるも136?の外角低めをレフトに打ち返したこの回の先頭打者7番馬場君が、2塁には 2-1 からスライダーをセンターに打ち返した加藤君がいる。 この時センター山根君からの返球がピッチャーズマウンドの横でイレギュラーバウンドしてそれたので1塁走者の馬場君が3塁まで進み、打者走者の加藤君まで2塁に進んだのだった。 2年生エースの小島君は続くこの日先発投手で途中から右翼手に回った鈴木君に替わり代打に送られた小野寺君をセカンドゴロに打ち取っていた。
打順は1番に還って熊谷君は1-2 から 136km のストレートをセンターに打ち上げる。 犠牲フライとなるだろう、1点は仕方ないとしてもこれで2アウトと誰もが思った瞬間、信じられないことに飛球は山根君のグローブに当たらずグラウンドにポトリと漏れ落ちてしまい、2走者が生還し4点あったリードが2点になってしまった。 更に打った熊谷君は2塁まで進んだ。 薄暮の一番フライが捕り辛い時間帯だった。 それとも山根君は2塁走者を3塁に進めたくないと焦ったのかな?
これで一気に元気づいた仙台育英打線は続く菊名君が独特の構えで 1-1 から 135km のインコースのストレートを上手く肘を畳んで振りぬき1塁後方に落ちる2塁打を放ち熊谷君を迎え入れ1点差とし、3番長谷川君は10球目のストレートをセンターに打ち返すタイムリー安打を放った。  長谷川君は前の2打席は凡退したがこの打席では 0-2 と追い込まれながら小島君自慢のクロスファイヤーそしてカーブ、スライダーを見極め、ストレートは反対方向に打ち返してファールにするなど粘りの打席で同点タイムリーに結びつけた。 
4点あったリードが一気に無くなってしまった浦和学院ベンチはまだ投球練習をしている3年生投手山口君をマウンドに送らない。
埼玉県大会5回戦から4試合連続完投している小島君が降りればそれで勝ち運が一気に遠のいてしまうという事か? 浦和学院応援団の祈るような表情が映し出される。
そして打席には4番上林君を迎える。今大会屈指の注目の対決だ。 だがここで小島君は踏ん張る、これまで無安打2三振に抑えていた大林君を初球139km のインコースストレートでファーストフライに打ち取り、5番水田君を1-2 から137km のストレートで空振り三振に切って取り逆転は許さなかった。 しかし私は小島君が4失点を喫したことよりもこの暑さの中またこの回だけで30球以上投げたことが心配だった。 それにしても仙台育英打線は半端じゃないなぁ〜と感じた。
だけど上林君は埼玉県出身なんだなぁ〜。浦学のスカウトはどうして彼に気付かなかったのだろう。

浦和学院が川越東を 16-1 で降し、今年の選手権出場を決めた時、マスコミは一斉に史上8校目の春夏連覇の可能性を報じだした。 そして地元埼玉県では悲願の埼玉県勢初の選手権優勝を大いに期待した。だけど“確率”の問題から言うと春夏連覇は難しいのでどうかな?と思った。
それよりも私が子供の時から埼玉県は高校野球界では東京、神奈川、千葉に並んで列強の部類に入ると思っていたのでまだ選手権で優勝校を出していないこと自身が驚きだった。
1993年第75回大会で春日部共栄が決勝戦に進出し兵庫県の育英高校に 3-2 で敗れ準優勝を収めた時と(この時の埼玉県大会の決勝戦の相手が浦和学院だった。) 1951年第33回大会で熊谷高校が平安高校との決勝戦で4-7で敗れたのが最高成績で、準決勝に進出したのが上尾高校 ( 1975年第57回大会 ) 浦和学院 ( 1986年第68回大会 ) 市立浦和 ( 1988年第70回大会 ) の3回。春夏連覇というよりも選手権優勝が埼玉県高校野球界の悲願であった。



昭和50年から選手権では埼玉県に1校出場枠が与えられるようになった。それまでは戦後、埼玉県は南関東代表に与えられた1校の出場枠を昭和33年の第40回記念大会まで千葉県代表校と争っており千葉県の壁を破ったのは3回だけだった。
第41回大会から千葉県に出場枠が1校与えられたことにより山梨県の代表校と西関東代表を競うようになった。 そして昭和36年、37年41年に甲府工業が甲子園に進出した以外は全て埼玉県勢が全国大会に進出していた。(昭和38年、43年、48年は記念大会で1県1校の出場枠が与えられた。)

8月10日。 この日の埼玉県は前日に続いてものすごく暑かった。午前7時前、愛犬の散歩から帰った時でも既に30度を越していた。湿度もかなり高くこの日はどんな1日になるかと思った。最も暑いと言われる熊谷市でさえ最高気温40度には届かなかったけど埼玉県各地で38度を越える事がニューステロップにも流れていた。 地元越谷市も38.8度にまでなっていた。
第4試合に地元浦和学院が登場する頃はもう少し気温が下がるかなと思った。この日は第1試合から結構打撃戦が続き、試合時間は予定より長くかかっていた。だから第4試合のプレーボールは午後4時半を回っていた。 それだけ気温も下がり、ナイターに入ると投手有利になる。 浦和学院の小島君には有利に働くと予想したけど…..
春夏連覇というよりも埼玉県民の願い、選手権制覇を担う浦和学院の初戦の相手は仙台育英高校だった。 今大会屈指の1回戦好カードとなったけど、仙台育英と聞いて強豪とすぐに連想出来る様になった事に隔世の思いがする。仙台育英は野球だけでなく駅伝では男女ともに全国制覇を収める強豪校。サッカーも強い。 こうなれば野球でも全国制覇を狙う戦力だ。



しかし宮城県大会決勝戦は先発投手馬場君が撃ち込まれて柴田高校に5点を先制される苦しい試合。それをひっくり返すのだから恐れ入るのだけど、やはり打線のチームかな?と思った。 先発投手は鈴木君と馬場君が3度ずつ先発し鈴木君が 23回 1/3 馬場君が 25 2/3 投げていた。 そしてどちらかと言えば鈴木君の方が投球内容は良かった。その鈴木君が先発だった。ただ二人とも右投手だったので浦和学院ベンチからすればどちらが先発でも同じ印象ではなかったか? 驚きは県大会決勝戦で2安打1打点を放った小野寺君がスタメンを外れて県大会では4回戦石巻西校戦から出場のない川島君がスタメンでライトに入っていた事だった。

仙台育英注目の先発投手は背番号1番の鈴木君だった。宮城県大会決勝戦の先発が馬場君だったからローテーション通りか、それともこの試合では2番手鈴木君の方が投球内容が良かったからか。 
浦和学院先頭打者の竹村君は初球135?のストレートにバットを出してショートフライに倒れた。試合開始のサイレンがなり止まないうちのワンアウトだった。 先頭打者が初球から手を出して凡退するシーンを野村克也氏が見たらなんて言うだろう、と思った。
続く服部君は2-2から 129km のスライダーを引っ張りサードゴロと思ったけどサード加藤君が弾いてさらに悪送球で服部君にワンベースが与えられ2塁に出してしまう。3番山根君は埼玉県大会 ,292 だったけど準決勝、決勝では連続してヒットを放っており選抜では5割以上を打っている。 2-2 からインコース136km のストレートを強振すると打球は左中間を真っ二つに割る2塁打となり服部君が先制のホームを踏んだ。埼玉県大会準決勝戦では好投手聖望学園の長谷川君から2安打を放ったすが主将と思わせられる打球だった。
県大会ではその熱戦となった準決勝の聖望学園戦以外は2回までに先制をして試合の主導権を握ってきた浦和学院、相手の失策からとはいえ見事な先制点だった。 マウンド上の鈴木君、打たれる前のアウトコースに投げた外角へカーブを見送られたのが痛かったか。
仙台育英はさっそく背番号18番檜森君を伝令送る。  それが効いたかマウンド上の鈴木君は選抜では3試合連続本塁打の4番高田君をライトファールライ。 5番木暮君をショートゴロに打ち取り失点を1に抑えた。 この強打打者二人に対してはカーブ、スライダーの変化球が効果的に見えた。

先制を許した仙台育英は先頭の熊谷君が2-2 から外角ストレートをライトに鋭く打ち返し出塁する。 県大会では2割に満たなかった熊谷君だったけど、さすが仙台育英、さすが全国大会と思った。 さぁ小島君ここはどういうピッチングをと思うがストライクが入らなくなってしまった。2番菊名君には 2-1 から外角変化球が暴投となり熊谷君が難なく2塁に進まれ後はストライクが入らず歩かせてしまい、3番長谷川君にも 0-2 から投じた外角変化球がまたもワンバウンドの暴投となりストレートの四球となり無死満塁としてしまった。 左投手の小島君であるが持ち味のやや横手から投げるストレートが左打者にはうまくコントロールできない上に変化球がさっぱりストライクゾーンを通らない。 県大会準決勝、決勝でも立ち上がり安定しなかった。
そして強打者4番長谷川君が無死満塁で打席に入った。 注目の対戦だ。初球は140?のストレートで空振り以降3球は全てストレートで1-2と追い込むと4球目は内角引く目に落ちるボールで見事に空振り三振に討ち取った。 前の2打者とは見違える投球内容。 5番の水間君にも初球をストレートで空振りさせたが2球目を水間君にぶつけてしまい同点にされてしまった。
更に6番小林君には1-2 と追い込みながら粘られて最後は135km のきわどい外角ストレートを見極められてまたも押し出しで得点を許し逆転されてしまった。 小島君のスライダーがすべてボールとなりきわどいストレートをファールにした小林君の粘り勝ちだった。
仙台育英ベンチは7番川島君に早くも代打を送る。打席に送られたのは阿部君。 宮城県大会では5試合に出場したがヒットは無かった。選抜でも打席に立った2年生。ここはスライダーが決まり最後は高めの138km のストレートを振らせて三振に討ち取り2アウトにこぎつけた。 ここで小島君は落ち着きを取り戻すかと思われたけど8番の加藤君にも追い込みながら最後はストレートが2球続けて高く外れてこの試合4つ目の四球を与えて3つ目の押し出しとなった。 
小島君は気落ちしたかここから連打を許す。 9番鈴木君には初球カーブでストライクをとるが2球目の同じ様なカーブをレフト前に落とされ更に2点を追加される。ストライクが入らない小島君がカーブでストライクを取ろうと同じカーブを続けたのが痛かった。1番に還って熊谷君は厳しいコースをファールで粘られ10球目をセンターに打ち返されこのイニング6点目を許した。
ベンチ横では早くも背番号11涌本君がピッチング練習を始めた。 だけどこんなに早く小島君は下せないだろうなぁと思った。
この回11人目の菊名君にもストレートが外れ 2-0 となったが3球目を打ってくれてセカンドゴロに倒れて長い長い初回の仙台育英の攻撃がやっと終わった。浦和学院ベンチ、応援団にとっては悪夢のような小島君の立ち上がりだった。



甲子園には浦和学院の校歌が流れる。アルプス席の応援団はどういう心境で校歌を歌ったのだろうと思った。
そして仙台育英右翼の守備には川島君の代打阿部君でなくて2年生の首藤君が入った。 

2回裏の仙台育英。小島君の立ち直りを期待した。先頭打者の長谷川君をベースカバーに入った時に落球し出塁を許したが、続く4番大林君を今度は変化球主体で最後はインハイのストレートで2打席三振に切って取った。これで調子を取り戻したか後続も打ち取った。 5点リードを許しているが何とか浦学打線爆発をと願った。

3回表の先頭打者は1年生の津田君。 選抜ではセカンドは3年生の贄君だったが埼玉県大会4回戦春日部高校戦で負傷を負い以降1年生の津田君が抜擢されている。約半年前まで中学生だった1年生が選抜優勝校のレギュラーになるのだから恐れ入る。 その津田君、県大会は .214 だったが0-1 から132?のストレートを叩くと打球は左翼頭上を越える。津田君は余裕のスタンディングダブルだ。打順がトップに戻り竹村君が初球内閣ストレートがユニフォームを掠る“幸運”な死球で出塁し無死1,2塁と反撃の狼煙を上げることとなった。 
続く服部君は県大会序盤は下位打線だったけど贄君の怪我の後は2番に上がり決勝戦の川越東戦は3安打。 この打席では3-2 から粘って136?のストレートを詰まりながらもライト前に運ぶ。 これで満塁と思うとこの回から川島君に替わって右翼の守備に就いた阿部君が後逸してしまい津田君が生還し打った服部君は2塁に進んだ。( 記録は2塁打 ) 
そして仙台育英の佐々木監督は右翼手の阿部君をベンチに下げて同じ2年生の首藤君をライトに入れた。 厳しいなぁ〜と思った。

マウンド上の鈴木君は3番山根君を歩かせて満塁としてしまう。 4点リードしているからまだ動揺する場面でもないんだけどなぁと思っているとバッターボックスに4番高田君が入った。初球ストレートでストライクを見逃した後の2球目外角低めの変化球が捕手の小林君が捕れないほどのワンバウンドになり3塁走者竹村君がホームを踏み2点を返して 3-6 とした。尚も2,3塁に走者が残るもここは鈴木君が踏ん張り4番の高田君を変化球で三振に討ち取る。 この試合は両チームとも4番打者は無安打だった。
1死を取られたが5番木暮君が 3-2 から136km の低めのストレートを左翼フェンス直撃の2塁打を放ち2者を迎え入れ1点差に詰め寄る。外角カーブで 1-2 と追い込んで4球目137?の外角ストレートがきわどく外れたのが痛かった。 
1点差に迫られた鈴木君は続く7番西川君に 0-1 から126?の落ちる球を叩かれると打球は左中間を真っ二つに割る。木暮君が同点のホームを踏む。こうなると鈴木君の替え時がと思う間もなく続く小島君が初球をライトに打ち返し西川君が逆転のホームを踏み、ホームへの返球の間に小島君は2塁に進む好走塁を見せる。アルプス席の浦学応援団は狂喜乱舞していた。

仙台育英ベンチは鈴木君に替えて馬場君をマウンドに送った。打順は一巡して津田君に回って来た。 津田君に対して馬場君はストライクが入らずストレートで歩かせ、続く竹村君の2球目、カーブがワンバウンドの暴投となり小島君が3塁に進む。そして2-2 から落ちるボールが高く入り1,2塁間を破られ小島君が還り 8-6 とリードを広げた。 1-2 から自信を持って投げた139?のストレートが僅かに外に外れボールとなったのが痛かった。 更に服部君には詰まりながらも0-1 からセンター前に運ばれ追加点を許し3点リードとされた。服部君はこのイニング2本目のヒットだった。仙台育英バッテリーは次の山根君の打席で 1-1 から盗塁を許すが鈴木君は山根君を139km のストレートで三振に討ち取りこの回9失点目は何とか防いだ。 
馬場君の派手なガッツポーズが目立ったけど、主審が注意しなければいいなぁと思った。 埼玉県大会ではあまり見られなかった1イニング7安打の集中打だった。
浦和学院打線は4回にも西川君の適時打で追加点を挙げればリードを貰った小島君は3回から3イニング連続で三者凡退に仙台育英打線を打ち取った。 これで浦和学院ペースで試合が進むと思ったんだけど。

同点に追い付いてからは仙台育英のペースだった。7回裏には四球と野戦で無死1,2塁のピンチを招くが8番加藤君の初球。バントの構えから捕手西川君が2塁走者の小林君が飛び出したのを見逃さず2塁に送るとランダウンプレーで刺し、更に2塁に走った1塁走者の馬場君も刺して一気にアウトを二つ取った。 このプレーを見ているとサードの高田君の走者の追い込みのうまさが目立った。 
だが小島君は1番の好打順から始まる8回裏には更に大ピンチを招く。 先頭打者の熊谷君に1-2 と追い込みながら135?のストレートをセンター前にライナーで弾き返されるこの日3本目のヒットを許し、菊池君にはストレートが高く浮き歩かせてしまい長谷川君にぶつけて無死満塁としてしまう。 変化球がまたコントロールできなくなっていた。ここで打席にはこれまで4打席無安打2三振の4番上林君を迎えるもう投球数は160球を越えている。
だけどここから小島君の圧巻のピッチングが披露される。上林君にはすべてストレートで攻めて 1-2 から138?のインローのストレートでこの試合上林君から三つ目の三振を奪うと宮城県大会では.524 だった5番水間君を得意のクロスファイヤーで追い込んで最後はアウトコースのストレートで空振り三振。 そして小林君も1-2から138km のストレートで空振り三振に討ち取った。 ナイター照明に灯が入り投手には有利な状況となっていたけど無死満塁から後続の3人の打者を12球すべてストレートで三者連続三振に切って取る素晴らしい、全盛期の江夏を髣髴する様なピッチング内容だった。 
さぁ2年生が力投いているんだ、決勝点を挙げてやれ!とテレビに向かって呟いた。 しかし仙台育英2番手の馬場君も140?のストレート、ワンバウンドをしても空振りさせる120km 代のフォークで5回以降1安打しか許さない。 
9回表、先頭の木暮君が空振りの三振に倒れた後、斉藤君がしぶとくセンター前に落として出塁する。 埼玉県大会の聖望学園戦では最終回決勝の3塁打を放った斉藤君のこの試合初ヒットだった。 しかこし続くこの日2安打の西川君は2-2 からアウトローに138?のストレートを投げ込み見逃し三振に切って取られる。 馬場君この日8つ目の奪三振だった。
そして打席には小島君が入る。 ここはくさい所を突いてわざと歩かせるか?と思ったけど 1-2 からストレートを強振し強烈な打球が飛ぶが遊撃手の熊谷君が左に倒れ込んで打球を抑えた。
173球を既に投げている小島君は9回のマウンドに上がる。 先頭の馬場君を三塁ゴロに打ち取り次の出さ刃加藤君に初球を投げた後に右脚を痛めたらしく何度も屈伸を繰り返す。 それでもよくならない。ベンチからは水分が渡される。 そして拍手に送りだされるようにマウンドに再び戻った。 何とかこの回だけでも…と願うけど、1-2 から外角のストレートを加藤君に逆方向になるライトに打ち返される。打球はぐんぐん伸び何とか斉藤君が追いついたけど球に力が乗っていない様に思えた。 
続く小野寺君には 明らかに軸足に力が掛からない投球が続きレフト前に弾き返された。 だけど宮城県大会決勝戦2安打ながらこの試合スタメンを外された小野寺君も意地があったと思う。
ここで浦和学院、森監督は小島君に替わって山口君をマウンドに送った。 小島君182球の熱投だった。拍手に送られてベンチに戻った小島君だったけどベンチに戻った瞬間にこらえきれなかった思いが爆発したようだった…..だけど彼の将来を考えればこれ以上は投げさせられないだろう。 それに彼をここまで引っ張らざるを得なかった事がこの試合の結果につながったと思う。
マウンドの上の山口君は埼玉県大会では3試合に登板し先発したのは3回戦の川越初雁戦のみ。 今年の選抜では2試合に登板し3イニング投げた。 春季関東大会では決勝( 4-1 前橋育英 ) 準々決勝 ( 6-3 山梨学院 ) と完投勝利を収めている。 既に2死なので打席の熊谷君さえ抑えられれば…と思った。 
しかし悪い予感も。昨年の選手権3回戦、先発したのは1,2回戦で完投した3年生の佐藤君では無く何故かこの時2年生だった山口君が先発。2回3失点でマウンドを降りて、2番手に起用されたのがこの時1年生だった小島君だった。 小島君も3回投げたが3点を失い3番手佐藤君が3イニングを1安打に抑えたので何故佐藤君を先発させなかったのかな、とこの時思ったものだ。

この試合これまで3安打の熊谷君に対し、山口君は140?代のストレートを投げ込む。 2-2 からの6球目の変化球が低く外れる。その前に144?のストレートをファールされたので変化球を投じたのか。 7球目外角高めに投げた144?のストレートが真ん中に入って来た。熊谷君がバットを一振りするとライナーの打球がレフトフェンスに飛ぶ。







左翼手の服部君が打球を拾って、中継の竹村君に。竹村君は試合後新聞紙上で語った“間に合ってくれ”と捕手の西川君に返球したが長躯1塁から走り込んだ小野寺君の脚が早くホームを駆け抜け、試合終盤でも気温が34度あった文字通り熱戦、激戦、そして激闘に終止符が打たれた。





両軍合わせて21得点入ったけどスクイズによる得点は無かった。 スクイズの機会は少なくは無かったけど。

史上8校目の春夏連覇そして埼玉県勢初の選手権制覇はこの瞬間に消えた。 
これで仙台育英は結構上まで行くだろうなぁと思ったけど次の対戦がこれまた強豪の常総学院だった。浦和学院が仙台育英に例え勝てても次は常総学園かぁと思った。そして仙台育英は常総学院に 1-4 で敗れた。

翌朝早朝、駅前のスーパーマーケットに買い物に行った帰り、浦和学院の応援バスが前を通った。 生徒達は遠路を終えて地元に到着した為か安堵した表情だった。 野球部の3年生達はこれからどこかに遊ぶに出かけるんだろうなぁ〜。
まだ甲子園は熱戦が続いている。 埼玉県ではもうすぐ秋季大会が始まるんだろうなぁ〜。 

またどんなドラマが待っているんだろう。そしてこの暑さはいつまで続くのだろうか……



Wonderful Wanderers and Shinji Ono 東京ヴェルディ 2-1 Western Sydney Wanderers 12.09.2013

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9月初旬、ニュージーランド在住の知り合いからメールを貰った。 9月12日。多摩陸上競技場で東京ベルディ、小野伸二のウェスタンシドニーワンダラーズと無料練習試合….

まず最初に愕然としてしまった。 オーストラリアサッカーを15年近くフォローし、 A-League 発足以来常に Watching を続けていた自分がこんな貴重な情報を知らなかったなんて….. この数日前、 Socceroos の Lukas Neil が大宮アルディージャにデビューした事も知らなかった。  Debut となった8月25日はまだ出張前日。 観戦に行くことも出来たのに….
仕事か忙しかったとは言え、自分が世間に向けてというよりも自分の“専門分野”への視野がこんなに狭くなっているのかと情けなくなった。

だけど愕然とばかりしていなかった。この情報を貰えた事に感謝した。その情報を提供してくれた人に感謝した。もしこの人が教えてくれなかったら……7年来の付き合いになるニュージーランドの知人に感謝した。持つべきはやはり親しくしてくれる知人だと再認識した。 本当に感謝だ….

9月12日。 この日は気温が高かった。 出張から帰っ来て気温が少し下がっていた。夜は空調無しで過ごせていた。だけどこの日は少し暑かった。 キックオフは午後3時。開場時間は午後2時。 だけど無料試合と小野伸二効果を考慮して少し早めに出た方がいいかなぁ….と思った。何人くらい入れてくれるのかなぁ…と思った。
競技場に到着したのは会場10分程前。既に数十人の人達が入口付近におられた。 J-League 発足時を知る者としてはこれも隔世の思いだ。 かつてはヴェルディが無料試合をするなんてあっただろうか? あったとしても何万人が押し寄せただろう? お金を出してもヴェルディの試合のチケットなんて手に入らなかったのに….. KAZU 、ラモス、武田、都並、柱谷,ビスマルク、菊池新吉、スーパースターが揃っていたのに。
J-League というよりも1978年に日本リーグの1部に昇格して以来80年代中ごろから日産自動車と共に丸の内御三家、古河電工、三菱重工、日立製作所に替わり日本サッカー界を牽引して来た伝統のクラブチームなのに、それだけにここ数年の“低迷”は残念でたまらない。

対戦相手の Western Sydney Wanderers だ。A-League 発足7年目の昨シーズン誕生した新チームだけどそのデビューイヤァーで見事リーグ優勝を果たした。 残念ながら Grand  Final は3度目の挑戦の Central Coast Mariners の後塵を拝したけどその快進撃ぶりは見事の一言に尽きる。チームの中心に小野伸二がいることが痛快でたまらない。 A-League の常識を変えたと言われるあの熱いサポーター達が小野を始めチームに送るあの声援は一度は生で観戦する価値はある。  
好対照のチームの対戦であるが、 Wanderers の試合が東京で観戦できるのは大変有難かった。

観客に開放されたのは直射日光のあたる座席のあるスタンドのみだった。陸上競技場なのでゴール裏はかなり見にくいだろうかなと容易に思えたけど。
個人的には陸上競技場は大好きだ。 きっとここで多くの中学生や高校生が青春の汗を流したんだろうなぁ、と自分の選手時代を思い出した。





だけど日差しがきつい、こりゃたまらんとばかりに日陰の掛かった端の方に移動した。するとそこには3人、 Wanderers 関係者がいた。 すると先に彼らの方が私が着ていた Wanderers の赤いTシャツを見つけて話しかけてきた。 Grand Final を観戦してけど Wanderers のユニフォームが売り切れていた事や結果が残念だったとかいろいろ話が出来た。 彼らの方から最近のヴェルディの事を尋ねられた。 かつて Sydney FC でプレーした KAZU がここで中心選手としてプレーしていた事や読売新聞がメインスポンサーから撤退してから成績が下降してきたことなんかを話したら興味深く聴いていた。

こちらから今年の new recruit はどうか?特にFW Dino Kresinger の穴埋めは、 MF Tarek  Elrich, FW  Joey Gibbs, Rocky Visconte  に替わる選手補強は…と突っ込んで聞いてみた。すかさず FW には Tomi Juric, 左SB に Dean Heffernan  を獲得できたと話した。 Heffernan が捕れたのか?と驚きの声を出してしまった。 Central Coast Mariners 、Perth Glory で中心選手だった彼の獲得は大きいと話したら、頷いていた。そしてこの二人がこの試合のスタメンに名を連ねた。

他のスタメンを見てみると Grand Final では出場停止で出られなかった Youssouf Hersi が2列目右に、 Jerome Polenzと組むボランチには Aaron Mooy に替わって Lacopo La Rocca が起用された。 小野はトップ下に配置された。

一方のヴェルディはMF 中島翔也以外は4日前の天皇杯2回戦、V長崎戦で起用された選手はいなかった。
9月1日の岐阜戦で登場した選手でこの試合スタメン起用されたのも森勇介と安田晃太の2人だけだった。ヴェルディの事は勉強不足なのでこの日のスタメンは若手中心だったのかなぁ?と思った。 ワントップに高原が起用されたのは練習試合とは言え小野伸二との試合だからか? しかし愛する京都サンガでかつてプレーした森勇介がスタメンだったのは嬉しかった….

Wanderers のスタメンはほぼベストメンバーだった…..

                              GK 32 ポープウィリアムズ

   19 森勇介          ブエノ            23 吉野恭平      21 高木大輔 

                    8 中後雅喜                       37 三度州舞人

    10 安田晃太                                           7中島翔哉

                      44 高原直弘                    38 カイオ

 

                                        9 Tomi Juric

 

     19 Mark Bridge                21 小野伸二               17 Youssouf 
                                                                             Hersi 

                   8 Mateo                            18 La Rocca
                      Polijak

22 Dean           4 Nikolai             5 Michael           6 Jerome Polenz
     Heffernan       Topr-Stanley      Beachamp         Polenz 

                                             GK 1 Ante Covic

 

午後3時、ホイッスルが鳴り高原からカイオにボールが渡り試合が始まった。
開始早々、高原から右サイドを上がった森に渡るがシュートに至らない。試合序盤は森がサイドを上がるシーンが目についた。4分45秒、今度は小野が上げたCKのこぼれ球を拾って Beachampがシュートを撃つがGKウィリアムズがナイスセーブで防ぐ。6分にも小野のCKから再び Beachamp がヘッドで狙うがこれはゴール枠を外れた。10分頃を過ぎると今度は右サイドの Hersi の突破からチャンスが生まれるようになった。 彼のプレーを見ると Grand Final の出場停止が再び悔やまれる。
11分には Hersi のクロスに逆サイドの Mark Bridge がボレーで試みるがヒットしなかった。
シュートを放った左サイドの Mark Bridge はなかなかサイドを上がれなかった。対峙する安田、森の上がりに押し込まれた感じだった。 Grand Final で見た時の様に小野は結構前線に上がってきて Juric と2トップ気味になったけど、この日は37番の三度州のマークに手を焼き気味。 試合開始時はCBか?と思うくらいの位置でよく見たけどそれは小野のマークの為だった。




ただCBと言えばWanderers のCBは強烈だった。元 Socceroos の Beachamp と北京五輪にも出場した Nikolai Topor-Stanley 。 Topor-Stanley はかつて Sydney FC のメンバーとして浦和レッズと対戦。あのワシントンを抑え込んだ。さすがに空中戦を挑むことは稀だった。




そして先制ゴールを挙げたのはヴェルディだった。12分森がゴール前に走り込んでCKを得ると中後が入れた低いCKに CB の吉野が合わせて蹴り込んだシュートがいったんはクリアーされたが主審がゴールインのホイッスルを吹いた。
メンバーを考えればこの方が面白い試合展開と思えたけど、あっさりと決められたなぁという印象だった。
19分にはヴェルディが追加点を挙げる。 Heffernan のバックパスを拾った安田がシュートを放つ。これは元 Socceroos のGK Ante Covic がストップしたけどこぼれ球をカイオから中島に繋いでシュートに持ち込みDFに当たってこぼれたところを詰めていた高原が押し込んだ。 

連続失点に隣のWanderers 関係者も首を振っていた。 遠征の疲れですか?と尋ねると少し頷いた。

ヴェルディは高原がサイドに寄ったり安田、中島が前線に上がったりとバイタルエリアに人数を掛けたり、三度州が上がってきたりと何人もの選手が上がってくるのだけど、Wanderers は選手にボールが入ってもフォローが遅くてすぐにヴェルディの選手に囲まれてしまう。 26分には Bridge が森、安田をかわしてシュートに持ち込みCKを得る。その小野が入れたCKに La Rocca がヘッドを放つがGK ウィリアムズの正面に。 個人プレー頼りというよりもWanderers の前半のチャンスはセットプレーというよりもCKからばかりというのが印象だった。Popovic監督はどういう心境で試合を見ていたのだろう…




39分に初めてパス交換からの突破が見られたけど最後に渡った Juric のポジションはオフサイドだった。 
そして練習試合らしくロスタイムなしで前半が終わった。この日の暑さは遠征疲れのあるWanderers 選手には堪えたと思う。
そして期待の小野は前半を終わってベンチに下がってしまった。

ハーフタイムの間にWanderers の控えの選手達がピッチ上で練習をしている。中に黒髪もアジア系の小柄な選手がいた。彼は何人?日本人か?と隣のWanderers 関係者に聞くと名前は Matrin Lo というおそらく Chines だろ。との事。 Australian Chines かな?と尋ねると Probably と答えた。 そしてまだ16歳だと教えてくれた….

 

後半に入り Wanderers は4人の選手を入れ替えた。 GK に Jerrard Tyson が入り、Juric と小野が下がって Brendon Satalab と Aaron Mooy の2トップになった。そして右SBの Heffernan が下がりかつて Newcastle Jets でプレーした Adam D’Apuzzo が右SBに入った。 

ヴェルディは何人替わったのか。二人くらいだったと思うけど高原と森はそのままでこの二人は90分間プレーした。

開始早々、中後が La Rocca に脚をすくわれて倒れて動けない。 普通ならイエローが最低でも出てくるのだろうけど。練習試合は出ないのか?中後は結局ベンチに下がったのかな?怪我がたいしたことなければいいんだけど。

後半は小野が下がったWanderers が優勢に試合を進める。フレッシュな選手が多いからか?それとも2トップにしたからか?
Brendon と Mooy によくボールが入ってヴェルディのDF、中盤を押し込んでいた。 Mooy は Grand Final ではボランチで起用されていた選手だった。 53分には Bredan, Mooy で中央を突破し左サイドを上がった Poljak に送り フリーで抜け出たHeri に送られるが最初のトラップが大きくシュートに持ち込めない。 57分には Poljakから右サイドの Hersi に渡り、中央の Berndon に折り返される。 Berndon の放ったシュートはポストを叩いてしまった。 

だが3分後の60分、左サイドの Bridge からのセンタリングに Mooy が合わ、そのこぼれたところを Berndon が押し込みWanderers が1点を還した。後半に入りボールが回り出し、ベルディの選手の疲れがあったのかこぼれ球は殆どWanderers 選手が拾うようになった。

65分にはWanderers ベンチは7人の選手を一気に入れ替える。そこにはオーストラリア代表にも選ばれた Shanon Cole も含まれていた。

これで運動量に差が出たかWanderers の波状攻撃が続く。 更に涼しい風が吹いて来て天候もWanderers に味方した様だった。 78分には左サイド からのクロスを上手く Mooy がスルーして63分から投入された右から走り込んだ Kwabena Appiah が放ったショットはベル出来 GK ウィリアムスがファインセーブでストップ。 80分にも Bredon のシュートをウィリアムスがナイスセーブで防ぐ。 同点は時間の問題と思ったけどGKウィリアムスが美技を連発し、Wanderers の選手もシュートを撃つタイミングが半歩遅い様に見えた。

87分 Bredon が高木大輔を倒すが明らかに故意的なファールだった。このプレーに怒ったベルディの選手達が数人 Bredon に詰め寄ろうとする。間に入った高原が何やら Bredon に話しかけるとそれに促されたのか高木の方に足を向ける。 高木の怪我の具合はどうかな…



90分フリーの Appiah にボールが渡るがトラップをミス。隣のWanderers の関係者が大声で Jeesus !! と叫ぶ、そしてその直後に試合終了のホイッスルが鳴った。




A-League 王者がJ2リーグの2軍チームに敗れたという事か….と思った。

すると隣のチーム関係者が私に“ちょっとついて来てくれ。それから彼らも….” とWanderers のレプリカを着た数人の人達を指さした。 あるWanderers のレプリカを着たご夫婦はこの方と知り合いらしく親しく話していた。 尋ねると3月末までシドニーで駐在されていたらしい。ご在住されていた地域にはよく知る日本レストランやマクドナルドがあったのでその話題で少し盛り上がってしまった。 そのチーム関係者は我々を競技場の玄関に連れて来て”選手達を連れて来るから少し待っていてくれ。“と言って階下に降りて行った。 10分程度したら Popovich 監督を始め選手が次々に上がって来た。 私は持っていた Grand Final のプログラムにサインを貰った。 そして小野伸二も上がって来た。 Grand Final は残念でしたね、今シーズンこそ Grand Final 王者になって下さいと声を掛けると、丁寧に頷いてくれた。 そして一緒に写真まで撮ってくれた。

Wanderers の選手達は丁寧に外で待っていた人達にもサインをしたり一緒に写真を撮っていた。 A-League の選手達は試合が終わってもスタンドまで行ってサポーター達に丁寧にサインをする。何とかサッカー人気をラグビーユニオンやリーグそして AFL に近づけたいという気持ちが伝わる。 そして小野も外に出て一人ずつ丁寧にサインを始めた。 数十人はいたかなぁ…みんなに丁寧にサインをしていた….

一緒に“観戦した”チーム関係者には “最後にこんな Great な機会をくれてありがとう。みんな良い思い出になりました。” 心から礼を言って固い握手をした。 そして彼とも写真を撮った。 

そして皆で彼にも小野と同じことを言った。“ 次はACL で会いましょう。”更に付け加えた。

“出来ればさいたまスタジアムで浦和レッズとやりたいですね。”




 

広州が強すぎるのか J リーグが弱すぎるのか 柏レイソル1-4 広州恒大 25th Sep.

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相手が強すぎるのか、こちらが弱すぎるのか….贔屓チームや自分自身が大敗を喫した時のいつも思う事だ。
だけど大概の場合がその両方だという事はすぐに理解してしまうのだけど….

9月18日。サウジアラビアのリヤドで柏レイソルは難敵 Al Shabab と2-2 で引き分け ACL 準決勝進出を決めた。
J-League としては2009年大会の名古屋グランパス以来の快挙。しかし反対に2007浦和レッズ、2008年ガンバ大阪とJ League 勢が連覇して以来4シーズンで3度韓国勢が優勝 ( 09浦項、10 城南一和、12 蔚山現代 )。 優勝を逃した2011年大会でも全北現代が決勝まで進出している。 アジアの盟主を自負する日本といてはいつまでもK-League 勢の後塵を拝したくないところだ。

しかし今シーズン、期待された浦和レッズを始め3チームが1次リーグの壁を破れなかった。 だから2年連続 ACL 出場を決めそして1次リーグを突破し準決勝に進んでくれた事は本当にありがたく思った。 韓国、中国そしてサウジアラビア勢を相手にしてもアウェーで負けていないという事が他の3チームとは違いなぁと思わせてくれる。 その柏が今シーズンの J-League では10位にいることが信じられないんだけど。

対戦相手は広州恒大。また広州かと思ったと同時に、はっきり言ってアジアの“銀河系軍団”をまた見られるとも思った。
中国超級からはまだACLのタイトルを取ったチームは無い。 東アジア勢では既に日本や韓国の勝ち取っているタイトルを何とか勝ち取りたいだろう。 昨シーズン、ここ柏で対戦した試合観戦後は率直に優勝するかと思ったけど準々決勝でサウジアラビアの Al Ittihad に敗れてしまい、2004年大会上海申花以来の準決勝進出はならなかった。
但し、意外に思ったのはACLでは中国超級勢はJリーグ勢よりも好成績を収めたシーズンが多かった。
2002-03 シーズンでは大連実徳が準決勝に、2004年には上海実徳、2005年には山東魯能泰山がそれぞれ準々決勝に。2005年には山東と深セン紅鑽がベスト4に進出した。 この時期Jリーグ勢は1次リーグを突破できなかった…..

9月25日。 朝から天気予報を気にする。台風20号が近づいているとかいないとかで雨が心配された。
競技場に向かう電車から何度も曇天を見上げた。 そして競技場に到着すると雨が降り出した。 柏スタジアムはピッチと観客席が近くて迫力のあるスタジアムだけど雨が降るとサポーターというよりも観客泣かせだ。 メインスタンドももっと屋根を広げてくれないかな?といつも思う。 ACLの準決勝戦なので奮発してSS席を購入したけど折角なのでと前方席にしたのだけどそこは全く屋根の掛かっていないところだった。 こりゃたまらんとばかりに後方の記者席のすぐ前のSS席に移動した。 そこには誰も人が来ないことを願いながら…..
すぐ近くには日本に在住する中国人達が多く座っていた。やはりここでも高いチケットは中国人が買うのか….と思った。すぐ隣りには日本に居る中国人が座っていた。 彼は英語が出来るので色々とサッカーの話をしていた(なんと東大に留学しているとの事。日本語は勉強中なので英語の方が話せると言っていた。 それも凄いけど。) すると赤いジャージーを着た選手達が4名やって来てすぐ近くに座った。留学生から彼らは控えの選手達で元代表GKの楊君がそのなかにいると教えてくれた。そして馮仁亮も。
楊君は昨年のACL柏戦ではゴールを守ったけど今は現国家代表の曾城がレギュラーだ。 この試合の控えGKは2007年から広州に在籍する31歳のベテラン李帥だった。 楊君は2007年 Asian Cup のウズベキスタン戦に出場したGKだったと後で知った。 本当はここでは無くてピッチに居たかっただろうなぁ〜と思った。



また馮仁亮はロンドン五輪予選メンバー入りが確実視されていたけど年齢を約8か月誤魔化していた事がばれてメンバー入りところか2011年の Asian Cup メンバー入りもフイしてしまった。しかし2012年6月のベトナム戦ではメンバー入りを果たし2ゴールを決めた。( 試合は 3-0 で勝利 ) 。
選手達の周囲には次々と中国人観客が近づき一緒に写真を撮ったり、サインを貰ったりしていた。 
ミーハーな私も一緒に写真を撮ったりサインを貰ったりした。 そして色々通訳をしてくれた留学生にも御礼を言った。すると彼は通訳をしたおかげで彼らと話が出来たとも言ってくれた…….そして彼は“この4選手の給料を合わせると柏のこの試合の選手の給料より多いんじゃないですか。”とも言っていた。 やはりアジアでも勝ち抜くのは資金がそこまで必要か….. この試合には昨年 Real Madrid と親善試合をした時に見られたチアーガール達は帯同していなかったのも残念だった.....




準々決勝のLekhwia ( カタール ) 戦、ホームの First Leg では 4-2-3-1 の攻撃的フォーメーションでキックオフを迎えたが前半をスコアレスで折り返すと後半に黄博文、鄭智、榮昊を投入して 2-0 の勝利を納める。続くアウェーの 2nd Leg では郜林、馮瀟霆をベンチに置き榮昊、黄博文をスタメン起用して 4-3-3 の布陣で臨んだ。 前線で Concaを真ん中に置き、Muriqi, Elkesonをサイドにおき2列目に鄭智、趙旭日、黄博文の3選手をおいた。試合はアウェーながら前半に Conca, Elkeson そして Muriqui の連続ゴールで主導権を握り 4-1 の勝利を納めた。
広州スタメン、というよりも名将 Lippi 監督はこの試合どんな布陣で臨むのだろうと楽しみにしていた。

     


前の週の Lekhwia 戦のスタメンからCBの馮瀟霆が趙旭日に替わって起用された以外は同じスタメン。フォーメーションは
GK 曾城の前に 4-2-3-1 の布陣だった。 トップにはMuriqiが入り2列目には左に Elkeson, 真ん中にConca。右には郜林ではなく黄博文。9月13日の上海申花戦、そして Lekhwia 戦に続いてのスタメンだった。 ボランチに榮昊と鄭智。CBにはかつて大宮アルディージャでプレーした金英権と馮瀟霆。左SBに孫祥。右SBには張琳凡が起用された。 黄博文と馮瀟霆以外は7月の東アジア選手権メンバーだった。
4月13日の浦和レッズ戦では 4-3-2-1 のフォーメーションで Elkeson, 黄博文以外はその試合にスタメン出場をしており昨年のACL柏戦には鄭智、馮瀟霆、孫祥、趙旭日、Conca、Muriqiがスタメンだった。



1週間前にサウジアラビアで激戦を終えた柏レイソルは Al Shabab 戦のスタメンで累積警告で出場停止の大谷以外は全て同じスタメン。その大谷の替わりに茨田がスタメンに起用された。
Al Shbab 戦の4日後の22日に他の試合とは1日遅らせて第27節のセレッソ大阪戦をアウェーで行った。この試合に出場して中2日で広州戦にスタメンで臨んだ選手は Gk 菅野CB 鈴木、左SB橋本、ボランチ茨田、そして工藤、田中、ワグネルの7選手。 クレオは78分からの途中出場だった。 準決勝の広州戦に備えて柏もセレッソ戦を21日に行った方がよくは無かったか?
“勝った”あとの方が疲労は少ないからなぁ〜(実際は引き分けだけど)と思った。

私が期待したのはなんと言っても Gabriel Cordova ことクレオ。 昨シーズンまで広州恒大に在籍し、ACLの柏戦では強烈な印象を私は持った。 しかし Knock Out Stage に入りパラグアイ代表の Lucass Barrios が加入したことにより ACL では出場機会を失い、外国人枠の問題もあり今シーズンから柏レイソルに期限付きで移籍してきた選手だ。古巣広州との対戦だけに燃えないわけが無いと期待をしていた。 念願のセルビア代表入りを果たしそうだけど残念ながら来年のワールドカップはちょっと…..
1次リーグ浦和レッズ戦ではワントップに起用されたパラグアイ代表の Lucas Barrios は給料未払い問題もあって Spartak Moscow に移籍してしまった。
昨年の柏での広州恒大戦に出場した選手でこの試合も出場したのは6選手。田中、工藤の2トップ。 2列目左にワグネル、栗澤がボランチ。近藤がCB。GK菅野がそれぞれ起用され、 Hanover96 に移籍した酒井弘樹が右SBだった。




広州キックオフで始まった試合の立ち上がり、32秒に鄭智がワグネルに、50秒には Muriqi が茨田にそれぞれ倒されファールを得るが柏の気迫を感じた。 4分には右サイドから中央にドリブルで持ち込んだ工藤が左サイドのワグネルに送り中に折り返すとクレオに当たりゴールラインを割る。 コントロールしてくれよ〜と思ったけど線審の旗が上がってオフサイドと判定された。その直後に Mriqi からゴール前の Elkesson にスルーパスが入るがここはCB近藤が身体を張ってクリアー。8分には Elkessonが上がり Muriqi にボールが入るがここはワグネルがストップ。 何度か中盤から Mriqi や Elkesson に中盤からラストパスが送られるが柏 DF 陣が身体を張ってクリアーしていた。 
そして14分。FKを得た柏はワグネルがボールをセットする。 ゴール前に入れられたボールはクレオの頭をかすめるようにしてそのまま広州ゴールに飛び込んだ。 大喜びのクレオを見て “ クレオ!ナイスゴール!もう1ゴールで古巣に倍返しだ! ” と心の中で叫んだ。 



先制を許した広州ベンチはここでフォーメーションを変えてきた。外人3選手、 Mriqi, Conca, Elkessen を3トップに置き2列目に右から黄博文、鄭智、榮昊の3選手を置き 4-3-3 の布陣にし、柏の中盤にプレシャーを与えてきた。 22分には波状攻撃から最後は榮昊のシュート気味に蹴った弾道がミスキックとなりそれが前のフリーの Mriqi に繋がるがこの決定機は Mriqi のシュートはポストの内側を叩いてくれた。 後方に陣取るレイソルサポータータ達からは安堵の嘆息が聞こえた気がした。
これが前半に広州が見せた唯一の決定機であった。 以降は柏イレブンの出足が一歩早く、特に左サイドからの崩しが目に付いた。



21分には左サイドに寄った田中からのクロスを工藤がヘッドで落としたところをクレオが放ったショットは惜しくもゴール枠を外れた。
23分には右サイド工藤からのクロスをクレオがヘッドで狙うがGK曾城がキャッチ。 
37分には広州ベンチが黄博文に変わって郜林が早くも投入する。ずいぶん早くから選手を替えるなぁと思ったら25分頃に Conca の入れたフリーキックに飛び込んだ黄博文が GK菅野と競り合ったときに負傷したらしい。 これで柏の左サイド対策とするのかと思うが以降も柏の攻勢が続いた。 37分、左サイドからワグネルが入れたクロスが馮瀟霆がかぶり田中の前に落ちる。榮昊がマークに入る前に田中が押し込もうとするが GK 曾城の脚に当たりゴールラインは割れなかった。絶好の追加点のチャンスだった。



45分にもまたもワグネルが左サイドから入れたクロスにクレオが孫祥と競りながら放ったヘッドはわずかにクロスバーを越えた。

25分過ぎから柏の攻勢が続いたがその起点になるのはワグネルだった。 ワグネルは攻撃時だけでなく何度かバイタルエリアで相手ボールを奪いピンチを防いでいた。 
それにしてもアウェー側立見席はびっしりと赤いユニフォームで埋まっていた。そして柏の選手がCKを蹴るときは凄いブーイングだった。 




ハーフタイムの間、雨がすっかり上がったので前方の“元の席”に戻ることにした。周囲は結構赤の広州恒大のレプリカを着た中国人サポーターがいた。見事隣は若いカップルが座っていた。赤いレプリカを着ていたのですぐに中国人とわかったけど流暢な日本語を話していた。日本に来て2年。出身は広州だと言っていた。かつて中国には素晴らしい選手が揃っていて日本は勝てなかった事や広東の英雄、謝育新の事なんかを話したら“自分はその頃の事を知らないのでもっと教えてください。”と頼まれてしまった。
そして彼から“今日本は強くなりすぎて、中国は弱くなった。それが2国間の差になっている。”と言ってきた。そして私は“女子も深刻じゃないかな?かつては世界のトップを争っていたのに。”と付け加えた。 
そんな話をしていると先制ゴールの得点者はクレオでなくワグネルに公式記録は変更とのアナウンスが流れた。 よしクレオ、今度こそゴールを決めて倍返しだ。と心の中で思った。 

後半も柏の攻撃で始まった。 47分には栗澤が前線のクレオに送り戻したところを田中が放つがGK正面に。 
51分広州ベンチは早くも二人目の交替選手を送る。 馮瀟霆を下げて趙旭日を投入した。 これで榮昊が右SB張琳凡がCBにそれぞれ入った。投入直後に強烈なミドルを放った趙旭日は黄博文、鄭智らと共に2列目に入った。趙旭日は。長身ながらも縦へのスピードもある選手。彼の投入が広州を勢いづかせこれを境に形勢は一気に広州に傾いた。
そして58分、左サイドを上がった孫祥が中に入れる。戻った近藤が体を投げ出してクリアーするがそのこぼれ球が Mriqi の前に転がりそのまま撃たれたショットが柏ゴールに突き刺ささり同点にされてしまった。 同点にされた事よりもゴールを許したことがショックだった。そして広州サポーター達の大歓声がスタジアムに響いた。



そして同点にされた直後に柏ベンチは茨田を下げて谷口を投入した。 広州は右SB孫祥のオーバーラップも目立って来ていた。
何とか先に2点目が欲しい柏は66分CKを得る。 そのCKに中央から近藤がヘッドで右に送り更に鈴木がヘッドでゴールを狙う。観客席からでもよし!ゴール!と思ったが趙旭日がヘッドでクリアーしてしまった。 本当に惜しいチャンスだった。この直後にボールをつながれカウンターを食らいそうになるがその前に“ファール”でストップ。 だがそのリスタートから綱gれ最後はConcaにミドルシュートを決められ痛恨の逆転ゴールを許した。 Concaは後半はやや低いポジションに下がってボールを受けてボールをキープされていたがここではそのままシュートを撃たしてしまった。
この失点は柏イレブンに与える影響は計り知れないと思った。決定機を防がれた直後に許した失点であったから。



広州サポーター達からは“三比一!(3対1にしろ)”との歓声が上がる。 こちらは何とか追いついてくれないかな…と思うのだけど。
だが68分、ワグネルからボールを奪った郜林が前線に送ると Elkeson が完全にフリーで柏ゴールに迫る。あぁやられた本当に3対1だと思った瞬間、近藤がマークに入る前に放った Elkesonのシュートは大きく外れてくれた。まだ天に見捨てられていないとほっと安心する。 

71分クレオが中央から強烈なミドルを放つとGK曾城は逆に動きながら何とか手に当てて弾道を叩き落とすとそのままボールはゴールポストの左に転がった。 あぁもうこれでだめだ。今日は運がないと天を仰いだ。 趙旭日が投入されてから柏はゴール前のラストパスが繋がらず守勢に回ってもマークがずれて後手に回っていた。 クレオにもボールが出ず中盤に戻ったりするが広州DFのタイトなマークにあい自由に動けなくなっており79分に澤に替わってベンチに下げられてしまった。 そして田中がワントップに入った。

早く同点に追い付いてくれと願うも82分CKからキムチャンスと谷口の間にうまく入ったConcaに押し込まれてしまい試合をというよりも決勝進出を決定づけるゴールを決められてしまった。 



広州サポーター達の歓声ばかりが響いたが、しばらくすると柏サポーター達からも“恐れることなかれ〜俺達が付いている〜”と合唱が始まる。 せめて1点差で広州に乗り込んでくれ、そうすれば 2-0 で勝てばいいんだ。 2-0 ならそれが可能だと思った。だけど柏イレブンの動きにキレは無くなってきており、相手の突破をファールで止めざるを得ないシーンが目につき始めた。そして1対1でも体力差が表れるようになった。頼みのワグネルも後半は郜林や榮昊の上がりに押し込まれるような形になっていた。あぁこんな時レアンドロ=ドミンゲスが居たらなぁ〜と思った。



広州ベンチは3点目が入る前の79分に孫祥を下げて趙鵬を投入し中盤に入れ榮昊を左SBに置き張琳凡を右SBに回し、守備固めに入っていた。その直後に追加点が入ったのだから名将 Lippi 監督の思い描く通りの展開となった。
試合はこのまま終わってくれなかった91分Muriqiにとどめを刺される4点目を決められこの時点で柏の決勝進出は事実上霧散してしまった……



試合終了後隣の中国人カップル2ショット写真を撮ってあげると非常に丁寧にお礼を言われた。彼女の方は恥ずかしかったのか日本語は話さなかった。

この試合の収穫は……雨にたたられなかった事と楊君との写真を撮ったことかな…..

そして帰途に就いた車中で誓った。 もう一度こんどこそ中国語を勉強しなおすぞ……







第一関門突破。 今年こそ... 京都サンガ 0-0 V・ファーレン長崎 1st December 2013

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時計は92分を回っていた。ロスタイムは2分強程度しか残っていなかった。後半に入っても長崎の猛攻は止まず、サンガは得意のショートパスを繋ぐどころではなかった。 長崎が今度は左サイドから攻め上がり下田が中に入れるがここはサンガDFがクリアー。それが横谷に入り長崎DFともつれて倒れるとそのこぼれ球を76分から出場の駒井が拾い脱兎のごとく中央からドリブルで長崎ゴールに向う。前にはボランチの岩間しかいない。センターラインを駆け抜ける。“行け!行け!シュートだ!シュートに持ち込め!”私はテレビ画面に向かって叫んだ。 すると左に三平がフリーで上がってきた。
“よし出せ!右に出せ!” しかし駒井は岩間を抜きにかかり、抜け出そうとしたところで転倒してしまった。明らかに抜かれた岩間が駒井に当たりに行っていた。 

“おい!何をするんや!レッドやろ!”と叫ぶ。佐藤主審がすかさずレッドカードを岩間に出す。 時間が惜しい岩間はそのまま一直線に自軍ベンチに走り去る。 高木監督をはじめ長崎の選手が岩間を握手で迎える。 そのまま駒井が抜け出してシュートに持ち込んでおれば試合を決めるゴールが決まっていたはずだ。 このファールは長崎サポーターなら誰もが受け入れるところだろう。
“あ〜、何でフリーの三平にださへんかったんや〜。” そうしたら試合は完全に終わっていたはずだった。

横谷がFKをセットするがもうバヤリッツァをはじめDF陣は上がってこない。 このまま終わってくれればサンガが翌週の国立決戦にコマを進めるのだ。 そのFKから長崎ゴール前の三平にボールが入るが三平はシュート打たずに右コーナーにボールを運んで時間を稼ぐ。そしてそこで三平が倒され京都がFKを得る。長崎としてはファールなしで止めたいところだろうが。そのFKからまたも三平がドリブルで時間を稼ぐ。 もう94分になろうかと言うところで下田がボールを奪い前線の古部に送るがその前に福村が落ち着いて跳ね返す。 そして94分3秒,佐藤主審のホイッスルが鳴り響き愛するサンガが昇格に向けての国立決戦進出を決めた。 フィールドに倒れこむ長崎の選手達。 この試合というよりも今シーズンのJ2の台風の目になっていたのは長崎だった。サンガはなかなか長崎より上の順位に上がれなかった。
だけどそんな事はどうでも良かった。 残ったのはサンガ。昇格への挑戦権をまだ渡さなかった。 まだこれで5試合勝試合にお目にかかれていないのは気になるけど……



昨年の悪夢のプレーオフ大分戦から1年が経った。第39節神戸戦 ( 0-0 ) 第40節ガンバ戦 ( 0-2 ) と“模擬テスト”を不本意な結果で終えた時点で3位が確定してしまった。そのせいか続く水戸 ( 1-2 ) そして最終節の栃木 ( 1-2 ) と連敗でプレーオフを迎える事となった。
自分の予想では準決勝戦はどこと言うよりもおそらく決勝は千葉との対戦と思っていた。だけどまさか千葉が最終戦の最下位鳥取戦であんなに苦戦するとは思わなかったし最終節で長崎との“直接対決”を制した徳島が4位に上がって来るとは40節を終えた時点では予想しなかった。
準決勝の相手は徳島や6位には入れなかったけど札幌、松本と言った順位を上げてきたチームよりも、6位に順位を落としたチームと対戦したいと願った。そして最後の2試合を連敗した長崎との対戦となった。
長崎なら…リーグ戦の直接対決は1勝1分だったからとと少し楽観したけどその試合内容はかなり拮抗していたらしく昨年は同じ九州の大分に惨敗を喫したことからちょっといやな予感も否めなかった……

準決勝戦は民放やNHK BS でも中継が無くこのワールドカップにも匹敵するくらい重要な試合をどうやって見ればいいかと思案していたら毎月最初の日曜はCSが無料放送をする日らしくスカチャンで見る事が出来た。本当にラッキー今日はついているぞ!と思ったけど同じことは長崎サポーターにも言えたのだった。
学生時代汗を流した思い出の西京極競技場(関係ないか?)は久々満員の12,387人の観衆が集まった。



サンガはリーグ戦終盤になって安藤淳を始め酒井、横谷、駒井ら主力選手が相次いで次々に怪我で離脱。
一体どうなるのかとまっ青になったけど長崎戦には横谷が復帰しワントップに入り、駒井もベンチに入った。そして酒井が久々35節の長崎戦以来の復帰となり下畠に替わって右SBに入った。これは嬉しいびっくりだった。
これでこの日のサンガDFラインは福村、バヤリッツァ、染谷、酒井と並ぶ昨年の悔しさを知るプレーオフメンバーとなった。そしてアンカーの秋本は昨年のプレーオフは負傷で出られなかった。それだけに心中期するものがあっただろう。


 
一方今シーズンJ2台風の目だった長崎は、第40節で千葉をアウェーで降した ( 2-0 ) 後は松本 ( 0-1 ) 、徳島 ( 0-1 ) と昇格プレーオフを争うチームに連敗し5位で全日程を終えて京都戦に臨むことになったが、そのスタメンを見ると徳島戦で退場になった岡本に替わって藤井が第24節群馬戦以来のスタメン抜擢。ワントップには幸野ではなく小笠原が第27節水戸戦以来のスタメン起用。そして2列目右には古部に替わって今季の京都戦に2回ともスタメン起用された実績からか?金久保が起用された。 
小笠原の起用は京都産業大学出身で西京極に慣れていると言う事か?



サンガはGK呉承訓をはじめ全員が今季1度は長崎戦にはスタメン出場した経験があるイレブンで長崎も藤井以外のスタメン全員が京都戦はスタメン出場を果たした選手達だった。
京都のキックオフで始まった試合。開始早々金久保が右サイドを突破してCKを取るなど長崎の早い一歩の出だしが目立つ。先制ゴールは長崎の方がより欲するところであろう。横谷、三平らが倒されファールは貰えたがマークの厳しさを感じさせる。その早いプレスにサンガはなかなか得意のパスワークが見せられない。 そしてボールを奪われるとカウンター攻撃が早い。その際には金久保、神埼ら両サイドが積極的に上がってくる。サンガとしてはカウンターを食らわないようにシュートで終わりたいところだけど22分25秒にようやく右サイドでボールが繋がり倉貫からのパスを受けた三平が粘ってCKを貰いそのCKから秋本が放ったヘッドが前半サンガが放ったシュートは3本のうちの最初のシュートだった。



27分、今度は長崎がチャンスを掴む。 右サイド工藤からボールを奪った井上が奥埜に送りそのまま中央に切れ込んでミドルシュートに持ち込む。弾道はわずかにゴールポストの右に外れてくれたがちょっとひやっとした場面だった。そしてこれが長崎にとっても最初のシュートだった。 両軍相手ゴール前に迫るもDF陣がしっかりとシュートを撃たさなかったと言う事か?長崎の前半のシュートもこれを含めて2本だけであった。
前半は長崎の中盤でのはやいチェックが目に付いた。そのせいかサンガの縦パスには殆ど繋がらなかった。そして前線の横谷、三平には激しいマークで動き制限されていた。
しかし前半を無失点で終え、サンガも無得点ではあったが引き分けでも決勝進出が可能なので前半 0-0 で終わったことは長崎サポーターが感じるよりはフラストレーションは少ないと思った。



両チーム選手交代無く始まった後半開始早々の 45分53秒,秋本からの絶妙の浮き球が長崎ゴール前の三平に入り高杉をかわしてシュートに持ち込む。 よし!先制!と腰を上げるもGK金山の正面に。先制はならなかったけど
テレビ観戦した第33節千葉戦の様に後半は一気に攻勢に出てくれると予想した。
しかし以降試合の主導権を握ったのは長崎でサンガが次に相手ゴール前に迫るのは40分以上も後の事だった。
48分17秒、金久保のFKから奥埜がシュートに持ち込み得たCKから金久保が放ったシュートはバヤリッツァがクリアー。 51分にはCKから高杉がバヤリッツァと競りながら放ったヘッドはゴールを捉えられなかったが長崎のCKとなり、そのCKからネァーに走りこんだ小笠原が放ったショットはまたもCKに。 そのCKに今度は藤井がどんぴしゃのタイミングでヘッドを合わされたけどクロスバーを越えてくれた。
53分50秒、久々前線の横谷にボールが入りカウンター攻撃に移ろうとする。そこに山口がマークに入り2人とももつれて転倒すると山口だけが起き上がれない。本人が×マークを出してベンチに下がることになってしまった。 
そして投入されたのが38節熊本戦以来の出場となる下田。下田は左サイドに入りCBには藤井が入った。長崎はこの遠征にはDF選手は少人数しか帯同しておらず山口の離脱は不謹慎ではあるがサンガには好都合と思われた。しかし、以降も試合は長崎ペースで進む。61分にはサンガのスローインを井上が奪い奥埜に送る。そして前線の小笠原にスルーパスが入る。危ないっと声を出してしまったがシュートはクロスバーを越えてくれた。
そしてシュートの際に小笠原が脚を傷めたのかベンチに下がり古部が投入され佐藤と共にシャドーの位置に入り奥埜がワントップの位置に。古部も立命館大学OBだ。(関係ないか?)
長崎は前線からのプレスが早くそのうえキチンとブロックを構成するのでサンガが攻め込むという前に1本目の次の2本目更に次の3本目のパスがさっぱり繋がらずに跳ね返されてしまう、それをすぐにサンガゴール付近にまで繋がれるという繰り返しだった。 そのせいか65分からはサンガはロングボールを使い出した。
73分には長崎7本目のCKから藤井がヘッドを放つがここは呉承訓がナイスセーブでストップ。 
劣勢続きのサンガは76分倉貫を下げて駒井を投入する。 よくぞこのプレーオフに間に合ってくれたぞ駒井。ここは彼のドリブルに期待した。 その直後に今度は長崎が最後の交替選手を投入するがそれはFW幸野ではなく鄭薫聖がであった。幸野の得点力よりも鄭薫聖のドリブルを選んだか。
時間は経つが攻勢を続けるのはセカンドボールを拾いまくる長崎。 82分24秒、右サイドで古部からのヘッドのパスを受けた鄭薫聖に染谷がマークに入るがその前に金久保に送る。そして逆サイドに振ったところ走り込んだ神崎がシュートを放つ。あっと思うがここも呉承訓が右に倒れ込みナイスセーブでストップ。ほっと胸をなでおろすがここまで決定機を続けられるとどちらが順位が上、どちらがJリーグ在籍が長いのかと思わせられる。それにしてもCKの度に長崎サポーター達の声援がよく聞こえたなぁ....



85分サンガベンチは山瀬を下げて昨年のプレーオフで主将を務めた中山博貴を投入する。 
89分を過ぎると長崎は高杉を前線に上げて1点を取りに来た。
のこり時間、サンガはどこで引き分けを狙いに行くのか…もし万が一失点を喫したら短い時間で取り返す為にFW原一樹、宮吉を投入する為に交代枠を温存すべきか…と思った。

昨年と異なり今年は決勝進出を決めた。よかった〜と一瞬喜んだけど試合内容を振り返ると決勝戦が心配になって来た。 対戦相手は徳島に決まった。一昨年は最後に鳥栖、岡山に連敗して4位に終わりJ1昇格を逃したチームだ。このシーズンのサンガは7位に沈んだんだけど。 翌年は3位のサンガが悪夢の準決勝敗退だった。
世間ははやばやと史上初の四国からのJ1チームと徳島よりの論調だけど。その徳島時代に苦汁を舐めた呉承訓そして倉貫がサンガのメンバーで昇格を狙う。 この試合MVPの活躍だった呉承訓は次の試合でも相手シュートをストップしてもらい、そのまま昇格そして韓国代表を狙ってほしい。かつて朴智星が辿った様に。



長崎戦が終わって私はすぐに自転車を飛ばして昇格決定戦のチケットを買いに行った。
そして翌週が自分にとって本当に幸せな日となることを願った。

今年も無念の….. 徳島ヴォルティス 2-0 京都サンガ FC 8th December 2013

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目の前では白のユニフォームの選手達が狂喜乱舞している。向こう正面の徳島サポーター達の歓声が耳に障ってくる。
既にグラウンドコートを羽織っているサンガの選手達は遠目から見ても落胆振りは手に取るように解る。そして我々サンガサポーター達も声が出ない。悔しすぎて涙も出ない。 これが現実だ。受け入れなければ、自分に言い聞かせる。

“要するにJ2で優勝するか2位以内に入らなきゃJ1に上がれる資格は無いって事ですかね…..”
後方にいたサンガサポーターにこう語りかけて足早にその場を立ち去った。 “気をつけて京都に帰ってください。”こう付け足して。 こんな結果になるとはなぁ〜。 まぁ完全に無いとは思わなかったけど…




4度目のJ2陥落から3シーズンが過ぎた。昨年の昇格プレーオフは悪夢以外の何物でもなかった。新たに制定された昇格プレーオフの制度を呪いに呪った。 今シーズン京都に“替わって昇格した”大分がダントツの最下位でJ2に舞い戻る様を見ると昨シーズンJ2で6位だったという実力通りの結果と思った。 2位の湘南もJ2に逆戻りするけど….

今年は違う、シーズン3位に終わったけどガンバ大阪、ヴィッセル神戸といったJ1常連チームとの直接対決も試合内容は悪くなかった。今年は絶対に昇格できると信じて昇格プレーオフに“臨んだ。” 
そして押されながらも長崎と引き分け決勝進出を決めた。 その試合内容には大いに不安を感じたけど….

来年から東京五輪に向けて改装工事にはいる国立競技場。私もここで公式戦に出場する機会に恵まれた。種目はサッカーではないけど。改装前の国立で最後にJリーグの公式戦で勝利を飾るのは愛するサンガだと期待していた。
サンガは怪我で戦列を離れていた主将の安藤淳が復帰し右SBに入り、長崎戦で久々復帰しそのポジションに入った酒井がバヤリッツァとCBを組んだ。安藤の復帰は嬉しかったけど長崎戦を完封したDFラインはそのままでも良くは無かったか?と思った。しかし染谷が怪我で戦列を離れたことは試合が終わってから知った。
中盤はかわらず。前線は長崎戦では怪我から復帰し途中出場だった駒井が三平に替わって2列目右に入った。

一方の長崎は第40節の岡山戦の勝利 ( 2-0 ) で連敗を3で止め、以降は全く同じスタメンで前の千葉戦まで4試合戦い、その間2勝2分。 京都との決勝戦は千葉戦で負傷したドウグラスに替わって誰を津田と組む2トップに持って来るのかと言うことであったが高崎にお鉢が回ってきた。高崎のスタメンはが第15節の岡山戦以来。
CBの千代反田、橋内は今季サンガ戦は初出場。両者の出場試合を調べると千代反田が13試合橋内が14試合だった。怪我でもしていたのか?それともシーズン最初は3バックを採用していたので出番が無かったのか?
サンガの方では山瀬、バヤリッツァそしてかつて徳島でプレーした倉貫がこの徳島戦初出場だった。



徳島のキックオフで始まった試合は開始直後こそ徳島がサンガゴール前に蹴りこんできたけど、長崎戦ではあれほど後手に回っていたサンガが以降は主導権を握り続ける。中盤でボールが良く回り徳島の選手がボールを取っても早いプレスで前に出させない。 
駒井、山瀬が効果的なドリブルを見せる。徳島はファールでストップをせざるを得ない。そのFKから更にチャンスを広げると言う良い流れが続く。



7分には工藤がミドルを放ち、8分には横谷が藤原に倒され得たFKにバヤリッツァと横谷が飛び込むがここはGK松井がキャッチ。 10分には工藤からボールを受けた駒井が右サイドを突破し中に入れるが走りこんだ横谷にわずかに合わない。13分、またも工藤から受けた駒井がドリブルで上がりCKを得る。そのCKに秋本がヘッドで合わせるがゴール枠は外れた。 14分には工藤からのチップキックパスが横谷に渡るがここはマークに入った千代反田がクリアー。
23分横谷がドリブル突破を見せ濱田、アレックスを交わすが最後にボールを受けた山瀬がシュートを撃つ前にファールを取られた26分、またまた徳島PA付近で得たFKを福村がゴール前に入れる。中には秋本、バヤリッツァ、安藤らが待つ。一旦高崎が跳ね返すがこぼれダマを拾ってつなぎ福村が中に入れる。バヤリッツァが柴崎と競るがボールは2人に当たらずこぼれたところに横谷と千代反田が競り合うがボールは収まらずゴール前にこぼれる。そこにバヤリッツァと千代反田が縺れ込むがFK松井が掬い上げた。 
29分、秋本が濱田に倒されまたもFKを得る。高崎がヘッドでクリアーするもこぼれ球を拾った秋本が倉貫に繋ぎ中に入れるがわずかに飛び込んだバヤリッツァに合わずに松井がキャッチ。 先制点になりそうな攻撃が続いた。



序盤は、まだ日が落ちていない国立のピッチの上で展開され続ける向こう側の徳島ゴール前の様相を楽しんだ。この時点ではまだまだ改装前の国立競技場での思い出を少し楽しむ余裕があった。





32分この試合初めて徳島がこちらのサンガゴール側に迫って来た。 左サイド前方に走り込んだ津田に一発ロングパスが入る。マークに入った安藤のマークをかわして中に切れ込み後ろから走り込んだ大崎に戻す。大崎が放ったショットはGK呉承訓の正面を突いた。 このプレーで早く先制ゴールを挙げないと少し心配になったけどこの直後からも試合は向こう側の徳島サポーターの前の徳島ゴール前で進行した。
33分には分厚い連続攻撃を見せ最後は工藤から受けた横谷がシュートに持ち込むが松井がキャッチ。 36分には工藤が柴崎に倒され得たFKから駒井に繋ぎ大崎、濱田をかわしドリブル突破を試みるが最後は橋内にクリアーされた。

攻め続けるがゴールを割れない展開に最低でも 0-0 のまま前半を終えられればと思うようになった39分、またも縦パス1本でサンガゴール前に徳島攻撃陣が迫りCKを得る。 ここで入れられたらまずいなぁ〜。マークきちんとつけよ…と思うとアレックスが上げたCKに下反田がフリーで放ったヘッドがサンガゴールネットに突き刺さってしまった。 呉承訓の手に当たったのになぁ〜マークをきちんとって思ったのになぁ〜と天を仰いだ。 





リプレーを見ると下反田が津田が開けたスペースにうまく秋本のマークを振り切ってフリーになっていた。 倉貫がゴールカバーに入ったけど呉承訓のセーブの手がボールの角度を変えてヘッドでクリアーできなかった。
徳島サポーター達の歓声がこちらにも聞こえてくる。 失点後相手サポーターの歓声ほど耳障りなものは無いけど、この時点ではまだ取り返せる、同点ではサンガが昇格する。まだ大丈夫と思っていた。それに千葉との準決勝戦では先制後徳島はすぐに同点ゴールを許していた。

しかし悪夢がすぐに襲ってくるとは夢にも思わなかった。 3分後の42分。 右サイド後方、宮崎からのロングフィードが中央から前線に走り込む津田に渡るとそのままフリーで抜け出た津田が中央から慌てて戻った安藤のマークも追いつかずサンガゴールに蹴り込んで追加点を決められてしまった。









この追加点には我々も本当に言葉を失ってしまった。 それだけショックを与えるゴールだった。 宮崎からフィードが出された時に高崎の頭に当たって少しコースが変わりそのまま津田の足元にいい具合に収まった。そしてそのせいでオフサウドラインが一瞬掛け損なってしまい GK 呉承訓も前に出るタイミングを逸してしまった。 津田にはリーグ戦でも2試合とも1ゴールずつ決められている。 押しまくりながら縦パス1本が津田に入って失点を許す…. この試合と同じ様なやられかたで。
この2点目が最後まで重くのしかかった。

せめて1点差でハーフタイムに入ってくれないかなぁ。1985年10月26日の“メキシコの青い空の日韓戦”の様に。
しかしロスタイムに入って山瀬の折り返しに合わせた秋本のヘッドは力なく松井の掌に収まり前半が終わった。
徳島サポーター達からゴールを挙げた千代反田と津田のコールが鳴り響いていた。

両チームとも選手交替ないまま後半が始まった。 



何とか開始15分以内にまず1点を還してくれ、ベンチの原一樹、宮吉はいつ投入されるのかと思った。しかし京都のキックオフで始まった後半は開始早々、高崎がフリーで抜け出す。GK呉承訓と交錯して転倒するがホイッスルは鳴らずにほっと胸をなでおろす。 その後も柴崎がミドルを放つなど前半と異なり徳島が攻勢に出てくる。徳島は選手間がいい具合に距離を持ちミドルパスを効果的に使う。これはサンガのプレス、ショートパス対策か?
そしてアレックスが高い位置に張り出して来た。これは相対する工藤と駒井への対策か? またボランチの柴崎と濱田が高い位置に上がってくるので京都は前半の様に中盤でパスが思うようにつながらなくなっていた。そのせいか京都のパスが足元へ足元へとしか繋げなくなっていた。


 
しかし最初の交代カードを切ったのは徳島だった。58分FW高崎を下げて同じFWのドウグラスが投入された。リードしている方が大事な交代枠をFW選手同士の交代で使ってくれたのでここはラッキーと思った。 そして京都は安藤を2列目に上げて3バックにし中盤を倉貫、秋本、安藤、山瀬と並べ 3-4-3 の布陣にした。しかしその直後徳島はカウンター攻撃からドウグラスから大崎に繋がれ中に入れられたところを一旦は秋本がクリアーするが拾われて柴崎が津田とのパス交換から抜け出しシュートを放たれるがバヤリッツァがクリアーし追加点は阻止した。
なかなか主導権を握れないサンガは61分ようやく工藤のドリブル突破からカウンター攻撃にうつり山瀬のシュートを引き出す。これはGK松井がブロックしCKに逃れ、そのCKから秋本が折り返しバヤリッツァがヘッドで落とした所を倉貫が拾うがシュートは打てずにCKに逃れられた。このあたりからサンガがようやく主導権を奪い返しつつあった。
64分ようやくサンガベンチが動く。 山瀬と倉貫を下げて三平と原一樹の二人を替えた。 これで三平と原が2トップに入り横谷がトップ下に入った。 こうなると今度は徳島ベンチが2枚目の交代カードを切る。 MF宮崎を下げて那須川を入れて右SBに入れる。そしてアレックスがMFの位置に入って来た。これは安藤対策だろう。 更に75分には2点目を決めた津田が下がりかつてサンガで活躍した斉藤大介を投入し中盤を厚くする。こんな形で斉藤と再会するとは…..



その直後ドウグラスがこの試合初めて積極的にボールを持ち右サイドをあがった。酒井をかわして逆サイドに送るとそこに走り込んだのは濱田か、やられると思ったけが安藤が必死のカバーでシュートを撃たせなかった。
78分今度は酒井から徳島PA内にボールが送られるとそれにGK松井が釣り出された格好に。左に走り込んだ三平が松井のいないゴールに放つが藤原がヘッドでクリアー。 那須川もゴールを守っていた。 あぁ〜と天を仰ぐ。 ゴール裏でアップを続けている宮吉に早く声が掛からないかと気になる。この試合、負ければ終わりだ。早く交替をと思うがベンチはなかなか動かない。 80分左サイドの三平が秋山から受けて原に送りゴール前に飛び込む秋山に入れるがその前にGK松井がキャッチ。





83分に酒井から駒井にスルーパスが送られるがタイミング合わずシュートに至らない。
85分、宮吉がベンチに呼ばれ安藤に替わってようやくピッチに送り出される。 もっと早い時間でもよくは無かったか?あぁこんな時久保裕也がいてくれれば….と無い物ねだりをしてしまう。
徳島DFはしっかりと高い位置をキープする。これも2点リードしている余裕か? 時間が刻一刻と無くなりその点差が重くのしかかる。 87分ようやく駒井がミドルを放つがGK松井はCKに逃れる。 もっと早い時間からミドルを打ち続ければ徳島DFは前に出て来たのに….と思っても仕方がなかったか…



CKになってもハイボールには長身の千代反田と橋内がしっかりと対応する。 89分47秒酒井からバヤリッツァにスルーが入るがここも焦りからかシュートが撃てない。 そしてロスタイムが3分と表示される。 あぁ2点差でなければなぁ〜と心の底から思い、これで終わるのか〜と視線を落としてしまった。 91分工藤から受けた原のシュートは勢い無くGK松井がキャッチ92分福村のロブに秋本と宮吉が飛び込むがここもGK松井が難なく掴む。 宮吉のシュートは下反田にクリアーされ、横谷のシュートはGK松井にまたも捕られる。

そしてすべてを終える村上主審のホイッスルが鳴り響いた。

今シーズン勝てなかった徳島にまた敗れた。これで昇格プレーオフ3戦ノーゴールとなってしまった。
あぁ〜またJ2か…… 徳島のサポーター達が羨ましく思った....




12月10日 秋本、原、倉貫、中村裕哉、サヌの契約満了5選手とは契約更新しない旨の発表があった。
監督人事も含めて来シーズンのサンガはどんなチームになるのだろう。 またさいたまスタジアムでサンガの試合を観戦できる日が近いうちに来ることを願うよ。



こんなシーンをもう一度見たいな〜…….


オセアニアのサッカー興隆の為に…. Raja Casablanca 2-1 Auckland City FC 11th December 2013

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2年前から始まった FIFA World Cup 2014 の地区予選。様々なドラマがあった。その中で北中米カリブ海地区の予選はいつも本大会出場を楽々決める常連のメキシコが大苦戦。あわや予選落ちの危機に晒された。
今年10月16日に行われた最終節でメキシコはコスタリカに敗れこの時点でかろうじて大陸間プレーオフ進出の4位の座にいた。そして同じ日に Panama City で行われたパナマ対アメリカ戦。既に本大会出場を決めているアメリカに対し、ホームのパナマは 2-1 でリードしておりそのままロスタイムに入った。このまま試合が終わればパナマはメキシコと勝点 11 得失点差 -2 で並ぶが総得点でパナマが上回り、メキシコは1982年大会以来の地区予選落ち ( 1990 年大会は出場停止で予選にも出られず。) の憂き目に会い、パナマのプレーオフ進出が決まるところであった。
しかし、ロスタイムに入った91分にアメリカの Graham Zusi, 92分にも Aron Johnnsson に連続ゴールを許しまさかの逆転負けを喫し、メキシコが奇跡的にニュージーランドとの大陸間プレーオフ進出を決めた。
そして11月13日。スタメンを5人入れ替えたメキシコは Azteca Stadium で All Whites を 5-1 と粉砕。続く Wellingtonでのアウェー戦も 4-2 で快勝し本大会出場を決めた。
今回の北中米カリブ海地区予選の結果はニュージーランドにとっては悲劇であった。 北中米地区予選が進むにつれて、プレーオフの相手がメキシコになるのではと言う不安が濃く現実味を帯び始めついに対戦相手がメキシコに決まってしまった。



オセアニア予選を勝ち抜いた All Whites にとってはこの地域の4番手がまさかメキシコになるとは思わなかっただろう。 
2010年大会は Ryan Nelsen を始めとした粘り強い守備力で前回覇者のイタリアと引き分けるなど3分勝点3で大会を終えてニュージーランドのサッカー興隆のきっかけとするべく健闘という印象を残した。
2005年2月25日からニュージーランド代表 All Whites を率いる Ricki Herbert 監督としては史上初の2大会連続ワールドカップ本大会出場を目標としその可能性も感じていたはずであった…….
4年前28年ぶりに本大会出場を決めたその歓喜のWellington でメキシコに 2-4 で敗れた後 Herbert 監督は辞任を表明。 今後の同国のサッカー人気がまたも危惧されはじめた。



昨年、一昨年は日本で開催された FIFA Club World Cup は今年はモロッコでの開催となった。
そして昨年と一昨年には開催国枠でJリーグのチームが出場できたが今年の ACL では 広州恒大の軍門に下り、日本のチームの出場はならなかった。 そんな中、昨年に引き続きこの大会に出場を決めた日本人選手が Auckland City FC 所属の岩田卓也。 大会の放映権を得ている日本テレビは Bayern München や Athletico Mineiro の事ばかり言及するが私の最大の関心は彼の雄姿が拝めるかどうかであった。



バルセロナで事前合宿
12月3日。 事前合宿の地バルセロナに向けてチームはAuckland を発ったとの事。そして5日には地元の名門、かつて
中村俊輔が在籍した RCD Espanyolと練習試合を行った。
この試合には Espanyol サイドも Pere Martinez Sastre、Borja Martinez といったレギュラー選手もスタメンに起用された。
しかしそれに臆することなく立ち上がりの Auckland は攻勢をかけ、20分にはフィジーからの助っ人 Roy Krishna がゴールを狙うがここは Espanyol GK Koke がファインセーブでストップ。 
以降は地力に勝る Espanyol がペースを掴み22分には少し遠目の位置得たFK から直接狙うがこれはクロスバーを越えた。 その後、 Peres Martinez のクロスにペナルティースポット付近の Railoがフリーであわせるがこの絶好機は外してしまった。
前半終了前に Auckland のアルゼンチン人FW Tade がシュートを放つがこれは GK Koke が掴む。
Auckland のTribulietx 監督は前半のパフォーマンスに不安を和らげる要素が多く喜ばされたと試合後コメントを残した。
“前半は1失点は覚悟はしていたけど、ボールを良く動かし相手よりも支配率で上回ることが出来た。 前半の方が選手達はより堅実であったが、何人かの選手はここに来る前にフル出場をしたことを心に留めて置かねばならない。そして時差が最初のタッチを不安定にさせたりフィジカル的な問題の大きな要因と思わねばならない。”我々はボールを受けたときに動きや判断を強制されるのではなく主導権を持たねばならない。守備的な面ではよく構築できたと思う。そして Espanoyl は我々を破ることが出来なかった。ここでの回答は明確だ。“

後半は両軍共に全選手を交代させた。そして Espanyol に運動量が戻った。
立ち上がりペナルティーエリアでボールをまわされ最後はArthur がシュートに持ち込むがそのシュートはミスをしてくれて失点は免れた。
しかし65分、中盤でこぼれダマを拾った Mamapou がそのまま放ったロングシュートが後半から交替で入ったGK Louie Caunter を破り先制ゴールが Espanyol に生まれた。
Auckland は失点後も右サイドを James Pritchett , Ryan de Vries and John Irving.らが支配をし Espanyol ゴール前に迫るが最後の詰めが甘くゴールは奪えなかった。
75分には中盤でよく動いていたEspanyol の Miravent が放ったショットを若い GK Caunter がファインセーブでストップ。失点は1でとめた。
“スペインの全てのチームは30人から40人の選手からメンバーを選んでいるが我々はそんなにいない。しかし多くの若手が後半からプレーをし Espanyol の様なチームを相手に良い経験を積められたと思う。 Espanoyol の選手達は動きが速くボールさばきも素晴らしく、こちらがボールを持ってもすぐに詰めて来る。そういった選手達を相手に Auckland の若手達の発展は素晴らしくこの経験から若い選手達は多くの前向きなものを掴めたと思う。”
この様なコメントをTribulietx 監督は残した。
残念ながらこの試合に岩田選手は出場しなかった。足首の故障から大事をとったらしい。 この報道を地元紙で知ったときはちょっと心配になってしまった…..
翌日 Auckland City FC一行は最初の試合が行われるモロッコの Agadir に移動したとの事であった.

Soccer: Spaniard inspires Cup side

Espanyol 戦で活躍したフィジーのストライカー Roy Krishna は2008年大会に Waitakere のメンバーとしても Club World Cup に出場。この時は日本開催で国立競技場で行われた Adelaide United との試合は現場で観戦した。
FIFA World Cup 2010, 2014 の予選もフィジー代表として出場している。 Raja Casablanca DF陣を悩ませただけの実力は持っていたと良く理解できた。



またMFのCristobal Marquez は2008年からEl Submarino Amarillo (the Yellow Submarine) ことVillaral でプレーした経歴を持つ。2010-11 にはトップチームで2試合プレーした経歴がある。それでも B チーム時代は同僚に今やArsenal のスター選手Santi Cazorla そしてReal Madrid のGK Diego Lopez 達がおりその当時の監督は現在Manchester City で指揮を執るManuel Pellegrini.であった。 2011 シーズンからはウクライナの Karpathy Lviv に移籍しスペインリーグ2部の Elche にローン移籍をしていいた。 
その Karpathy Lviv とは彼の給与未払い問題で法廷と争われて約 99.4万 NZドル ( 約8,500 万円 ) が支払われるようになったがその直後に Tribulietx 監督は Marquez にアプローチ。欧州でプレーをすれば FIFA Club World Cup に出場できるチャンスが少ないと Auckland 入りを説得したとの事。
“これは良い機会だ。ウクライナでは良いシーズンを過ごせなかった。彼らは契約を尊重しなかったのでそこでのキャリアーを終えた。ここオークランドには何かを持って来たかった。私は個人プレーをする選手ではなくチームの中でプレーする選手だ。”
先週の Waitakere との試合では類まれなテクニックを披露。地元の観客に“ここらでは見られないプレー”と賞賛を得たらしい。また190cmの長身守備的MF Mario Bilen もチームにフィットしてきており決して Underdog で終わらないと意気は上がったらしい。
“難しい試合になるだろう。しかし夢は最初の試合を突破し存在を知らしめることだ。 世界に我々が何が出来ることを示したい。それは可能であると思う。 我々にもチャンスはあるはずだ。 ” Marquez はこう語った。



日本人選手 連続出場なる!!

FIFA Club World Cup 2013 の開幕戦は12月11日に Agadir で開催された。そしてこの試合が放映されたのは翌日だった。その試合の録画をようやく私が見られたのは更に翌日の事であった。それまで私は試合結果を見ないように、偶然でも知ってしまわないように気をつけていた。幸いにも?この試合を取り扱う日本のマスコミは皆無に等しく気を使う必要もなかたけど。

注目のスタメン。まず Auckland City の左SB には背番号3番、日本人選手岩田卓也が起用された事を知り声を出して拳を握り締めた。 怪我の為に Espanyol 戦に出場できなかったのでこの試合もベンチスタートかと危惧したけど見事に2年連続出場を果たしてくれた。
GK Tanati Williams も岩田同様昨年に続いて連続出場。 スペイン陣CB Angel Berlanga は2011年大会から3大会連続出場でもう一人のCB Ivan Vicelich は All Whites のメンバーとしてWorld Cup 2010 に出場。重鎮だった Ryan Nelsen とCBを組み、イタリアの猛攻を不可解なPK1失点に抑えた。この試合でも守勢に回ることは容易に予想されたので彼に掛る期待も大きかった。 右SB 25歳のJohn Irving はかつて English Premiership のEverton にも在籍した。ボランチには Villareal にいた Marques と31歳のウェールズ人 MF Christopher Bale が入る。 Bale は今大会で4回目の Club World Cup 出場となる。2007, 2008年大会は Waitakere のメンバーとして来日をした。 その後ろには長身のクロアチア人の MF Mario Bilenが置かれた。 攻撃陣では2列目右にフィジーからの助っ人 Ray Krishna 。 左の Daniel Koprivic は今大会で6回目、8試合目の出場。この選手も Bale 同様 2007, 2008 年は Waitakere のメンバーとして来日。 ワントップには England から来た Adam Dickinson。 2009年に初出場以来4大会6試合目の出場。
こうしてみると FIFA 大会の出場経験をみれば Auckland の方が断然上回っており、それが何とか試合に良い様に現れてくれればと思った。

一方ホームの Raja Casablanca はFIFA Club World Cup は2000年のブラジルで開催された大会に出場しておりその時は Corinthians 2-0, Al Nassr 4-3 そして Real Madrid 3-2 と3戦3敗で大会を後にした。 しかしそこはサッカー国技のモロッコで国内リーグ優勝11回。 アフリカクラブ選手権優勝3回の名門チーム。メンバーを調べると CB Oulhaj, 左SB Karroushy がモロッコ代表。 Issam Erraki と組む Guehi はコートジボアール人MFでまだ代表暦は無いが何とか代表入りをして翌年のワールドカップメンバー入りを目指しているとか。 攻撃陣ではトップしたの Chtibi と2列目左の Hatidi がモロッコ代表暦がある。 2列目右の Mohsine Moutaouali は何故か代表暦が無い。 トップの Moussine Iajour はまだ代表暦は無いが2005年オランダで開催された FIFA U-20 に出場。決勝トーナメント1回戦ではGK 西川、 FW 平山を擁する日本と対戦しロスタイムの得点で 1-0 で日本を破った。この日のスタメンでは唯一FIFA 主催大会に出場した事がある選手だった。
地力に勝ると言われている Raja Casablanca の最大のアドヴァンテージはBoca Juniors, Borussia Dortmund そして Celtic に次いで熱狂サポーター世界ランク4位と公式に言われているサポーター達の熱い声援。 ちなみに9位が浦和レッズらしい。実力もさることながらこのサポーター達の後押しが Auckland イレブンにと言うよりも審判団にどう影響するかが懸念された。




大会直前のリーグ戦では12月4日の Hassania Agadir 11月29日の Difaa El Jadida 戦に共に 0-1 で連敗を喫していた。その影響か監督が更迭され現在のチュニジア人の Faouzi Benzarti 監督が就任したとの事。
しかし1週間前に Agadir に来ていたことが更に大きなアドヴァンテージになると思った。この試合のメンバーが解ればなぁ〜と思った…



6日前に亡くなったネルソン=マンデラ氏への追悼の為の黙祷 ( この模様は日本テレビでは放映されず ) の後に Auckland FC のキックオフで試合が始まった。キックオフ直後、Raja Casablanca ゴール前にロブがあげられ Auckland の選手が雪崩れ込む。そしてスローインを得ると早速岩田がボールを投げ込む。 完全アウェーのAuckland の数少ないアドヴァンテージは上背があることととこの大会への経験が多いこと。 2分17秒には岩田が Marquez とのワンツーで左サイドを抜け出し中に入れる。3分15秒には逆にCasablanca が左サイドから攻撃に出て Karroushy からのセンタリングに Chtibi が走りこんで撃つがここは Vicelich がクリアー。Auckland の選手がボールを前に運ぶとすかさず口笛が鳴り響き、Casablanca の選手達が取り返すと大歓声が上がる。 5分59秒、岩田がスライディングで相手の攻撃を止め、そのこぼれダマを拾った Krishna から Morquez に繋ぎ中に入れるが今度はボランチの Guehi がクリアー。 Auckland スペースに選手が出てきてボールを受けるなどこれまでの大会では見せなかった繋ぎを見せる。 Tribulietx監督はとにかくスペースを突く動きを徹底させたかったらしい。 
しかしAuckland の攻勢もここまで、6分36秒、左サイドの Karrouchy から Chtibi を経由して Guehi に渡り、右サイドのMoutaoualiに送られる。岩田がマークに入る前に上がってきた Karrouchy に渡り Irving, Koprivic がマークに入る前にシュートを放たれる。このショットは外れたがこれを境にCasablanca の攻勢が続いた。7分54秒には Erraki から Iajour に渡り Vicelich がマークに入るもシュートに持ち込まれるがGK正面に。11分30秒、Irving が Karrouchy を倒して与えたFKの早いリスタートから Erraki が放つがここはゴール枠を外す。17分11秒、 Chtibi がMoutaoualiとのワンツーから抜け出すがここは Vicelich がクリアー。 
Casablanca は右サイドをMoutaouali ドリブルでががんがん上がって来たと思えばトップ下の Chtibi に預けてリターンを貰ったり、素晴らしいスルーパスを送ったりと対峙する岩田は序盤何度か後手に回ることがあった。 ちょっと彼一人では対応は厳しいと思わされた。 また Hachimi, Karrouchy の両サイドバックがワイドに開き攻撃時は高い位置を保持するのでAuckland の2列目以降が押し込まれる形に。 ボランチの Guehi と Erraki が良い位置にいるのでAuckland がボールを取り返しても経てパスが入りにくい。
21分33秒にはMoutaoualiから受けた Iahour が岩田のマークをかいくぐってシュートに持ち込むがここはGK Williams がストップ。22分18秒にはMoutaoualiがドリブルで上がって来るがここは岩田と Berlanga と2人掛りでストップ。22分31秒にはショートコーナーから中に入れられるが長身 CB Vicelich がクリアー。23分5秒にはまたもショートコーナーから 左SB Karrouchy がシュートを撃つがGK Williams がキャッチ。 23分50秒には Iajour , 24分47秒には Guehi が連続してミドルを放つ。 Casablanca の選手達がシュートを放ったり、CKを得たりするたびに大歓声が彼らを後押しした。
29分29秒Moutaoualiから Hafidi への浮きダマのパスが通り Iajour 送られる。 Vicelich がマークに入ったところを後方のMoutaoualiに戻されシュートを撃たれるがアンカーの Bilen に当たってゴールラインを割った。
Auckland はCasablanca の猛攻に晒されている様には見えるが決定的なシュートは何とか防ぐと言う粘りのディフェンスを見せていた。 CKを取られても高さでは上回るAuckland DF陣はしっかりと中を固めていた。
しかし均衡は破られてしまう。38分11秒、Moutaoualiから Iajour に渡りボランチの Guehi に送られる。そして左サイドを上がってきた Karrouchy にパスが通ると Karrouchy はワンタッチパスを前線にそこに走りこんだ Iajour が Vicelich のマークを受けながらもシュートに持ち込み GK Williams の左を破ってAuckland ゴールネットを揺らし先制ゴールを上げた。








ここまでしっかり守ってきたのに….と残念に思った。大歓声を上げるCasablanca サポーター。大喜びと言うよりも快勝を期待していた彼らにとっては安心の遅すぎた先制ゴールであったか…… テレビに映し出されたAuckland のTribulietx 監督がミネラルウォーターをあおったのが印象的だった。
先制ゴールを許したAuckland であったが終了間際にチャンスを迎える。44分36秒、FW Dickinson にボールが入りドリブルでPA付近に迫る。 Hachimi のスライディングが明らかに Dickinson の脚に入り転倒するが笛は鳴らない。更にこぼれダマを拾った Marquez がドリブルでPAに入って転倒する。リプレーを見ればマークに入った Benlamalem が脛を蹴っているのにガンビア人の Gassama 主審は笛を吹かない。 どちらかのプレーは明らかなファールだったけど。 ファールをアピールする Marquez に観客は口笛を浴びせた。
しかし前半終了直前にCasablanca の選手が倒れてボールアウトにしAuckland のスローインとなったが、Marquez がCasablanca の選手に返した時は拍手が送られた。

同点!しかしロスタイムに無念の決勝点….

両軍選手交替無しにCasablanca のキックオフで始まった後半もMoutaoualiで幕が開けた。開始早々 Berlange がMoutaoualiを倒してFKを与えるがこのFKは Irving がヘッドでクリアー。その直後のCKは Vicelich がヘッドでクリアーするもこぼれダマを拾ったMoutaoualiがチップキックでAuckland ゴール前に送りテクニックを見せる。 50分には岩田をかわして前に上がるがここは Berlange がカバー。51分には左サイドに回ったMoutaoualiが Vicelich と競りながらドリブルシュートに持ち込むがファーポストの左に外れる。 何とか追加点は止めないと….と案じるが、55分を過ぎるとAuckland が前に出てくる機会が増え始めた。 その基点となったのは左MFの Roy Krishna。前半も何度かドリブル突破を見せていたが後半は更にそのドリブルがボランチの Guehi 一人では止められずSBの Hachimi , トップ下の Chtibi が引っ張られる様になった。
55分にはボール支配率がCasablanca 59 Auckland 41 と表示されるがこの時に試合を支配しているのはAuckland だった。56分岩田が Dickinson に送るとマークに入った Benlamalen に倒されイエローカードが出されFKが与えられる。 Marquez の FK から Koprivic に繋ぎ中央に走りこんだ Krishna に送られるがその前に Erraki がクリアー。惜しいチャンスだった。そのCKから Vicelich がヘッドで前に送り跳ね返ったところを Koprivic が放つがゴール枠は外れる。 61分には再び Vicelich からゴール前に入れられ Krishna が撃つがここは GK Askiri の正面に。 徐々にオークランドがペースを掴みスタジアムに口笛だけが響くようになる。
そして63分久々MoutaoualiにPA付近でボールが渡るが3人でマークに入りボールがこぼれる。そのこぼれダマを拾った Krishna が一気にドリブルで上がると今度はここにマークが3人入る。しかしマークに入った Erraki, Oulhaj おして Benlamalen が重なる様に交錯しボールがこぼれる。それを再び拾った Krishna がそのままドリブルで上がりGK Askiriと1対1になる。 Krishna が冷静に放ったシュートはCasablanca ゴールに突き刺さりAuckland が同点に追いついた。









スタジアムはただ静寂が訪れた。何人いたのだろう観客席にいた Kiwi 達が大喜びしている。そしてテレビを見ていた私も思わず声を上げた。
Auckland City FC というよりも2009年大会の TP Mazembe との5位決定戦で Auckland City FC の Riki Van Steeden がロスタイムで決勝ゴールを上げて以来333分ぶりにオセアニア代表のチームがこの大会で決めた得点であった。
その直後、追いついた Auckland ベンチが動く。トップの Dickinson を下げてアルゼンチン人FW Emilliano Tade が投入された。 足の止まり始めた Casablanca DF ラインをドリブルで突破する方策だろう。
攻撃の方も悩まされていた Moutaouali は岩田と Berlaga が上手く協力して抑える様になっていた。そして Chitbi の運動量が落ちて来てMoutaoualiが孤立しだした。70分には Krishina が左サイドを突破し左サイドに回って来た Bale に出す。 Bale が入れたクロスに Koprivic がヘッドで狙おうとするが Chtibi が完全に抱え込んでヘッドが撃てない。 ここはホイッスルが鳴ってもよくは無かったか?  73分にはMoutaoualiからのスルーパスに Hachimi が反応できずMoutaoualiの表情が険しくなる。 この調子で行けばAuckland にもチャンスがあると思い出した。
Casablanca ベンチは74分遂に Chtibi を下げてコンゴ代表の Deo Kanda を投入する。 Kanda は2009年大会 TP Mazembe のメンバーとしてAuckland と対戦している。Kanda は2列目右に入り、 Hafidi がトップ下に入った。 この交替がそうしたのかポジションチェンジがそうしたのかこれでCasablanca が再び主導権を握りだした。
76分 Erraki から Iajour に縦パスが入るが Berlaga がマーク。 77分にはMoutaoualiのドリブルから中に送られHafidi を経由して Guehi がシュートを撃つが Irving がブロック。 
82分Auckland ベンチは2人目の交替選手パプアニューギニア代表 FW David Brown を投入する。これで2トップ気味にするのかな?と思ったけどCasablanca ベンチも延長はご免とばかりに Iajourを下げて中央アフリカ代表の Vivien Mabide を投入する。その直後にMoutaouali から Hafidi に渡るが Berlaga がスライディングでストップ。 87分には Mabide が右サイドから大きく左前方に送るがここも直前に Irvine に替わって投入されたベテラン James Prichett がスライディングでクリアー。 その向こうには Kanda, Hafidi がフリーだった。さすが元 All Whites のベテランと思った。88分には Erraki からMoutaoualiに入るがここも岩田が粘りのマークで中に入れさせない。 
そしてロスタイムが4分と表示される。 延長に入るとAuckland の方が苦しいかもしれないけど前半よりも得点の可能性が感じた。チャンスがあるはずだと期待した。試合前に岩田卓也のコメントが紹介された。“ チャンスを掴めば拡がる。”
そして90分左サイドを Krishina がドリブルで上がり中央を上がった Tade に送る。 そして更に前に入った Brown に。Brown は倒されるけど笛は鳴らない。そこから繋がれ中盤のMoutaoualiに繋がれる。 Bilen がファール覚悟でストップを図るが Moutaoualiは倒れそうで倒れず、Gassama 主審はアドヴァンテージを取り笛を吹かない。 そして左サイドを上がった Karrouchy に送る。 Karrouchy のクロスに中央で飛び込んだ Oulhaj のヘッドは GK Williams が良く反応するが走り込んだ Hafidiにこぼれ球を押し込まれてしまった。 もう一人中央に走り込んだKandaのマークに入っていた岩田の反対側にボールがこぼれるという不運だった。 痛恨のゴールを許した GK Williams と岩田の表情が……



大歓声の上がるスタジアム。しかしまだ数分残っている….. 再開後に Bale が Erraki に倒されFKのチャンスを掴む。散々相対したこの二人、最後に来て睨み合いを始めた。 そしてCasablanca ベンチは時間稼ぎか Hafidi を下げて Rahumani を入れる。 もう最後のチャンスだ。 GKが蹴り入れろ!全員ゴールマウスに入れ!とテレビに向かって叫ぶ。
しかしWilliams は蹴らずにCasablanca ゴール前に上げられたFKは跳ね返され、激闘に終止符を打つホイッスルが鳴り響いた。   

あぁ〜惜しかったなぁ〜。 
試合後、Tribulietx監督は選手達の健闘を誇りに思う、というコメントを残したらしい。 日本テレビでも“これだけハイレベルな開幕戦は初めて。”としきりに賞賛していた。 だったら昨年までのAuckland は何なんだ?とちょっと腹が立った。
Auckland の選手達は翌朝早くに Agadir 離れ30時間近く掛けて遠路ニュージーランドに帰国したらしい。
この間の選手達の心中は......
勝ったCasablanca は更にMonterrey そして何とAthletico Mineiroをも破り、史上初めて開催国枠のチームの決勝進出を決めた。 こんなに強いチームにあれだけ健闘したのか....それともこの試合がCasablanca を成長させたのか......

決勝戦と同じくらい楽しみだった試合だった。また来年どんなオセアニアのチームが出て来るか楽しみだ。

その時は現地で観戦したいなぁ.... だけどモロッコは遠いか....

国立最蹴章 今年も劇的な… 富山第一 3-2 星陵 13th January 2014

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時計の針は78分。スコアーは星陵が 2-0 でリードしている。初優勝、改装に入る前の国立競技場で最後に優勝を果たすまであと10数分だった。 数分前に2点目を上げた2年生の森山君に替わって投入された3年生の長谷川君がドリブルで富山ゴール前に迫る。このままシュートに持ち込むかな、と思ったところにCBの村上君がマークに入る。そして両者は交錯したかのように転倒をした。山本主審が駆け寄る。ここでPKを与えられたら星陵の優勝は確実だ。 しかしイエローカードを取り出した山本主審は長谷川君のシュミレーションを取った。 この瞬間富山県民を始め富山第一関係者は背筋にどっと冷や汗をかいただろう。
早く1点を返したい富山だが星陵DF陣の戻りが早いのでなかなか崩してのシュートに持ち込めない。 後半も40分を回った。高校サッカー魔の5分に入った。 星陵ベンチは主将の寺村君をベンチに下げる。主将としては最後までピッチに居たかったかも知れないけど、替わって入ったのが3年生の稲垣君。 準決勝に続いて国立のピッチに立ててよかったなぁと思った。 
その直後、左SBの竹澤君からロングフィードが送られる。そこには交替出場の村井君が。そして中央に送りまたも交替出場選手、高浪君に渡ると寺田君のマークをかわして放ったショットがGK近藤君を破って星陵ゴールネットにこの試合初めて突き刺さった。




 
喜ぶ間も惜しむ富山イレブンはボールをセットしポジションに着く。 そして再開された試合は富山の波状攻撃が続く。
奇跡が起こるか?いや星陵も必死だ。大きく蹴りだせ。トップに繋いでドリブルで上がって貰え…と呟く。
90分を過ぎる。ロスタイムが3分と表示された。両チームにとっては微妙な長さだ。 
そして91分59秒、スローインを受けた大塚君が渡辺君に送る。DF3人に囲まれながら渡辺君は川縁君に戻す。そして左サイドを上がってきた竹澤君に送る。 竹澤君がドリブルでPA内に切れ込むところに森下君がマークに入る。そのタックルが竹澤君の足元に入ったか竹澤君が転倒すると山本主審はホイッスルを吹きペナルティースポットを指す。 森下君が天を仰いで立ち上がれない。そこに2年生の原田君が駆け寄り先輩の森下君に手を貸す。 そして倒された竹澤君が声を掛ける。この両君は小中学校時代は同じチームでボールを蹴った仲らしい。



主将の大塚君がボールをセットする。歓声が国立競技場に渦巻く。富山第一の大塚監督はライン際で膝を着いてこの状況を見守る。監督の息子でもある大塚君、大変な重圧だろうなぁと思うも落ち着いてゴール左隅に蹴りこみ土壇場で試合は振り出しに戻った。





僅か5分余りで連続失点を喫したGK近藤君の表情が印象的だった。 
そしてタイムアップのホイッスル。富一にとっては歓喜の、星陵にとっては悪夢の同点劇だった。
こうなったら追いついた者の有利と言われるが、富山は追いつく為に守備的選手を下げたので防御は手薄になるはずだ。
星陵にも充分にチャンスがと思った。それにあと20分も国立でプレー出来るんだから….と思った。





富山のキックオフで始まった後半。92分23秒、ロングフィードを受けた長谷川君に村上君と川縁君がマークに入る。そしてこぼれたところを山本君が飛び込んでヘッドを放つがポストの右に外れていく。原田君が詰めたのだが届かなかった。
痛恨のPKを献上した山本君の決死の表情に思わず胸が熱くなる。



97分には星陵藤田君が放ったロングシュートがクロスバーを叩く。追いつかれた星陵がその悪夢を振り払っていると思った。
その直後に星陵上田君が川縁君を倒してファールを取られるがすぐに上田君は手を差し出して川縁君を起こす。そして富山の大塚君も上田君に声を掛ける。激戦の中にも“高校生らしい”シーンが見られて微笑ましく思う。
延長前半終了間際にも星陵長谷川君が左サイドを上がり原田君を経由して中に入れ、長谷川君と藤井君が競りながら飛び込むもここはGK高橋君がキャッチ。追い付かれた星陵が前半はやや攻勢だった。
延長後半に入ると注目の富山第一控えGK田子君がアップを始める。PK戦を見据えるとなれば交替枠は田子君の為に残しておかねばならない。だから延長前半の富山は体力を温存したのかな?と勘ぐった。
105分星陵ベンチは最後の交替選手川森君を投入する。 下がったのは75分に入った長谷川君。 30分足らずでのベンチ後退となった。だけど30分間プレーした国立は良い思い出になるはずだ。川森君は2列目に入ったのかな….
107分57秒。大塚君から細木君に送られるがその前にクリアー。そのこぼれ球を拾った城山君が撃つが前川君に当たりコースが変わる。そして細木君が拾う前に鈴木君がサイドに出してクリアーした。
大塚監督はベンチ前で田子君に声を掛けている。このプレーが終わったら投入かな….
そして城山君が助走を取りロングスローを入れるとボールは高浪君と藤田君の間を抜けて村井君の脚元に。左足から放った村井君の渾身のシュートは星稜ゴールに決まり遂に富山第一がリードを奪った。
狂喜乱舞の富山ベンチ。対照的な星稜ベンチ。河崎監督そして主将の寺村君の表情が。

それでもロスタイムは1分ある。 もう1度ドラマは…. 富山ベンチは最後の交代選手、GK田子君ではなく平君が投入される。3年生の平君、国立のピッチに立てて良かったなぁ…  星稜はCB寺田君が前線に上がるが、111分16秒。主審の試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。 

あぁ〜今年も終わったなぁ〜。

 

現行の国立競技場では最後となる全国高校サッカー選手権大会の決勝戦は初の北陸勢同士の対戦となった。というよりも北陸の代表校が決勝戦に決勝戦に進出するのも初めて。最近ではどこの代表校が決勝進出しても昨年の様に雪で順延されたり雨が降ったりといった天候でなくいいコンディションでやらせてあげたいと思うようになってきた。
今年、気温は8.6度であったが快晴の下でキックオフとなった。 

富山第一は1回戦小峯総監督率いる長崎総科大付属を相手に西村君のゴールで先制するも26分には村上君が退場となり残り54分を10人で戦うことに。だが2点を追加し 3-0 とし安全圏と思われたが連続失点を喫し1人少ないながらも何とか逃げ切った。
2回戦では4人の選手が警告を受けながら熊本国府を大塚君のゴールで 1-0 で降し、3回戦の市立浦和戦ではCBに村上君が戻り25分までで3ゴールを挙げ主導権を握るも長崎総科大付属戦同様に連続失点を許す。更に地元の大声援を受けた市立浦和が攻勢に出るも試合も1点差で逃げ切った。
準々決勝戦では川縁君が累積警告で出場できず2回戦で村上君の代わりにCBに入った斎君がボランチに入った。
この試合も攻撃陣は好調で前半を 1-0 で折り返すも後半は3ゴールを日章学園ゴールに叩きこみ今度は守備陣も失点を許さず 4-0 で今大会初めて快勝を納めた。 そして準決勝の四日市中央工戦は2度のリードもその度に追い付かれる展開。PK戦ではスペシャリストのGK田子君の活躍で勝利をものにし2002年、2006年ワールドカップで5試合FWとしてスタメン出場をした柳沢を擁した第73回大会でもベスト16止まりだった富山第一が決勝に駒を進めた。



一方、2回戦から登場の星稜は初戦奈良の一条高校に 5-0 と圧勝。しかし3回戦玉野光南、準々決勝、修徳戦共に 80分間で0-0 後のPK戦を制し国立に駒を進めた。 修徳戦ではGK近藤君が3連続PKをストップし勝利の立役者に。
そして準決勝、連続決勝進出を目指す小屋松君を擁する京都橘を下馬評とは異なり 4-0 で圧勝。本田圭祐時代にも果たせなかった決勝進出を決めた。



富山第一は準決勝戦と同じスタメン。星陵は橘戦で警告を受けて累積警告の為に出場停止となった平田君に替わって鈴木君がボランチに入った以外は同じメンバー。その鈴木君も橘戦は74分から途中出場だった。

佐藤主審のホイッスル後に富山第一のキックオフで始まった決勝戦、序盤は富山が主導権を握る。3分、5分にはFKのチャンスを得る。5試合で13得点中6得点を挙げた富山のセットプレーは脅威だ。9分には星稜仲谷君がスピードに乗ったドリブルで上がって来るが最後はCB村上君がマークに入りシュートは撃たせなかった。それから再び富山が攻勢を続ける。
スタンドからは“星稜ここでかっ飛ばせよ!!”との声援が良く聞こえてくる。観戦した準決勝戦では気付かなかったけどチアーガールに混じり男子選手がセンターに入り共に振付をしてスタンドを盛り上げていたらしいが彼は背番号68番2年生ボランチの奥田聖也君。今年4月に前十字靭帯が断裂し半年間プレー出来ず、今大会は応援団長に回ったらしい。なかなか出来る事ではない。 来年は怪我を完治させて今度はさいたまスタジアムのピッチに立って欲しいものだ。
大会後は彼の雄姿が YOU TUBE にアップされ“チア兄貴”と称され人気者になっているらしい。




だがピッチ上は富山が押す展開が続く。19分には竹澤君のスルーパスを受けた野沢君がシュートを放つがGK近藤君がストップ。 20分31秒には野沢君が今度は中央に送り渡辺君がヘッドを撃つがここはポストの右に外れる。 21分には渡辺君が星稜ゴール前にドリブルで持ち込むが次から次へと星稜DF陣が粘り強くマークに入りシュートは許さない。22分には野沢君がシュートに持ち込むが森下君がブロック。25分、FK のチャンスから波状攻撃を見せ、29分には上田君が西村君へのチャージがファール、イエローとなり得たFKから野沢君が上田君のマークの前に放ったショットは僅かにクロスバーを越える。
主導権は握られても今大会4試合無失点の星稜DF陣の守備の固さが勝っていた。

そして32分久々富山ゴール前に迫った星稜は大きくバウンドしたボールをコントロールしようとした原田君の脇腹にマークに入った村上君の脚が入ってしまい原田君が倒れて起き上がれない。 佐藤主審はホイッスルを吹きすぐにスポットを指し村上君にイエローカードを出す。 ただスタンドは倒れた原田君の方に関心が行った様で星稜応援団もこのPK獲得を喜ぶと言う空気では無かった様だった。
だけどこのPKを主将の寺村君が左隅に決めやや劣勢だった星稜が先制ゴールを挙げた。 寺村君は今大会3ゴール目だったけどすべてがPKだった。 なんだかレンセンブリンクみたいだなぁ…と思った。(関係ないか?)
この試合最初のシュートが先制ゴールになるとは準決勝の良い流れを星稜が引き継いでいると思った。
40分を過ぎた時間に前半はどんなドラマがあるかと思っていたら先制された富山の野沢君が42分に惜しいミドルを放ち、続いて星稜の仲谷君と寺村君が連続してシュートを放ったが得点には至らず星稜リードのまま前半が終わった。



ハーフタイムの間、テレビでは1976年度大会から首都圏開催になり国立競技場が夢の舞台となった過去の大会の名場面を流していた。 当初は関東勢が強く、対抗できたのは静岡県勢と島原商や国見といった小峯先生の指導のかかった高校と四日市中央工くらいだった。 最近は選手権が高校生世代の最高の大会ではなくなってきているらしい。 実際に大会期間中はウクライナでU-18の大会が行われてクラブチームの選手で構成された日本 U-18 が優勝したらしい。
それでも選手権は私を含めて多くの人を惹きつける大会には変わらない。

両チーム選手交替無で始まった後半は46分スローインから繋いだボールを受けた富山ボランチ川縁君のシュートで始まった。川縁君は中学2年の時に母親を火事で亡くしたらしい。 お母さんはその雄姿を見たかったと思う。
後半の最初のシュートを許した星稜だったけど以降は星稜が優勢に試合を進めた。 48分には原田君が竹澤君と村上君のマークをかわしてシュートに持ち込み、49分には寺村君がドリブルで富山ゴール前に迫り城山君に倒されるがノーホイッスル。星稜は鈴木君と前川君の両ボランチが前半から前後の動きが早く攻守に、特に守備にからんでいた。そのせいか後半は立ち上がりから星稜はパスをよく繋いでいた。
1点ビハインドの富山は縦に中にと繋ぐシーンが多くなる。もっと両サイドを広く使えば、と思った。 52分に竹澤君が左サイドをオーバーラップで上がり野沢君からのパスを受け入れたクロスが西村君のヘッドを導いた様に。
60分この試合の最初の交替選手、富山の高浪君が西村君に替わって投入される。準決勝戦に続いて今大会4試合目の途中出場だ。高速ドリブルが持ち味らしい。 65分には右サイドをドリブルで上がり逆サイドの野沢君に振り竹澤君に送るとヒールで野沢君に戻し中の川縁君に。川縁君は相手DFに囲まれながらもドリブルシュートに持ち込むが惜しくもゴールには至らなかった。サイドをワイドに使うとこういうチャンスも生まれるのかと思われた展開だった。
その直後にもCKのクリアーを拾った竹澤君がボランチ細木君に送りクロスが入る。大塚君と渡辺君が飛び込むがここは誰にも当たらなかった。 67分には渡辺君がドリブルで上がるがここはフォローが無かった。 
ピッチをワイドに使い出した富山が次のゴールに近いかなと思いだした70分大塚君からのパスをインターセプトした上田君が富山PAの左側に流れた仲谷君に送る。そして仲谷君が折り返すと中央から走り込んだ森山君がぴたりとヘッドで合わせて星稜の2点目を決めた。 ちょっと川縁君のマークが後手に回ったみたいで充分に競り合えなかったみたいだった。
それにしても2年生FW森山君は京都橘戦に続いての国立連続ゴール。 来年以降も楽しみな選手だ。
そして75分、森山君がベンチに下がり3年生の179?長谷川君が投入される。 守りに移るにはまだ早いかなと思ったけど、下がったのが2年生なので妥当かもしれないなぁと思った。そして投入されたのが3年生だし….
あと15分で2点リード。 1997年9月28日のワールドカップ予選の日韓戦で呂比須が下がり逆転負けを喫したけど、あれは73分だったけどあの時は1点差。 この試合は2点差。多分国立初登場の長身の長谷川君をトップに残してロングボールを入れるのかなと思った。そしてこの時点ではあんなドラマがあるとは想像できなかった。

 

大会が終わり3年生達はどうしているだろう。富山第一の優勝は高円宮杯プレミアリーグ勢の初戴冠という事で高体連関係者達の間で話題になっているらしい。 “格上”のJリーグU-18を相手にする時は守備を固めてカウンター狙いになる傾向があり、またリーグ戦とトーナメント戦では戦い方も異なるらしい。
しかしワールドカップは出場国が拡大され世界の戦いはベスト16が出そろってからと言われている。そしてベスト16からはトーナメントで行われる。まぁ日本はまだまだそこに出られるかどうかの線上だけど。 世界の列強は1次リーグとトーナメント戦以降の戦い方が使い分けられるのだろうなぁ…..

同級生は夏休み前に引退するか2学期も続けて選手権都道府県大会に臨むか悩んでいた。
最近の大学受験は推薦制度が多様化しているのでその門は確実に拡がっている。 だから思い切り“部活”に打ち込める今の高校生が羨ましくもある。 

まぁ俺も随分と歳をとったという事か….. 来年はさいたまスタジアム2002 まで出て行こうかな。家から近いし。寒すぎない事を今から祈っておこう。


国立最蹴章  “ピンチGKの意地”   富山第一 2-2 四日市中央 11th January 2014

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12月初旬。ニュージーランドの Christchurch に在住される I さんから連絡があった。年末から約1ヶ月に亘って休暇で帰省するので一緒に会いましょうとのお誘い。 Iさんとはお互いにサッカー狂で10年近くお付き合いをさせて頂いている。
丁度高校サッカーが行われているので改装前に国立競技場で準決勝戦を観戦する事となった。
私は関東地区に越してきてはや26年近くが経つが全国高校サッカーはまだ観戦した事がなかった。その理由は簡単。
寒いのが苦手だからと言うこと。サッカー好きが寒い時期がシーズンなのに寒さが苦手とは道理が合わないけど….
前売り券を購入し、当日は雨が降らないことを心から願った。
しかしそんな心配をよそに当日は快晴に恵まれた。試合開始約半時間前に千駄ヶ谷駅に到着したけど観戦に来られたのであろう多くの人が競技場に向かっていた。駅前のコンビには店外にまでレジを待つ人が並んでいた。 商品の補充はどうするのだろう?とも思ったけど。
競技場の前で I さんと約4ヶ月ぶりの再会。 南半球から来られて寒いでしょうってな話をしながら入り口に向かった。
チケット窓口は結構な人。前売り券を購入しておいて良かったなぁ〜と….
プログラムを購入しゴール裏の席に陣取る。反対側は日陰になっているけどこちら側は冬日を一杯に浴びて暖かな観戦。
スタジアムの入りは半分程度。準決勝戦の方が2試合観戦できるし御得だと考えるのは私だけだろうか….
“国立は良いですね〜。” Iさんが言う。国立観戦は初めてらしい。 私も関西から上京してからここに住み着くことを決めた理由の一つが東京の方が色々なスポーツイベントが楽しめると思ったからだ。
首都圏開催となった昭和51年度から選手権の決勝は国立競技場開催となったけど、Jリーグが始まるまでサッカーで国立が満員にまるのはトヨタカップと高校サッカーくらいだった。あの満員の国立はどんな雰囲気だろうと学生時代までテレビを見ながらよく思ったものだった。

ピッチで練習をしていた両校選手達が控え室に戻りいよいよピッチに入場してきた。両校応援団を始め歓声が上がる。
一昨年の覇者四日市中央工は準々決勝で大阪の履正社をロスタイムにCB後藤君の起死回生のゴールで追いつきその勢いのままPK戦を制して6回目の国立進出を果たした。そして、まずは2年振り4回目の決勝進出をそして今年こそ単独優勝を狙う。同点ゴールの後藤君は背番号25番。今回の三重県大会でようやくレギュラーを掴んだ苦労人だ。
四中工のスタメンを見ると右MFには準々決勝でスタメンだったMF木下君ではなく、その木下君に替わって投入された服部君がそのままスタメンに。 昨年は桐光学園に 2-4 で敗れまさかの初戦敗退となった。CB坂君がその試合のスタメンでトップの井出川君がベンチメンバーだった。



本音は大阪代表をここで見たかったんだけど….
そして78回大会以来の国立進出を果たした富山第一高校は2回戦、3回戦と 0-0 でPK戦の末に勝利を掴んだ後の準々決勝の日章学園戦は 4-0 の快勝。MF斎君に替わり出場停止中だった川縁君がスタメンに。 
昨年は1回戦で作陽高校にPK戦で敗れたが今年は既に2回PK勝を果たしている。 トップ下の大塚君は昨年もレギュラー。トップの渡辺君、ボランチの川縁君そしてGK高橋君が昨年はベンチ入りメンバー。

 

四中工のキックオフで始まった試合。開始51秒に富山ボランチ細木君が左サイドを上がり竹澤君に戻し中に入れるがオフサイドに。そして7分45秒、四中工MF小林君がミドルを放つとGK高橋君がナイスセーブで防ぐ。 その後のCKにCB坂君が飛び込むがここもGK高橋君がキャッチ。
立ち上がり四中工が主導権を握るかな?と思うが以降は向こう側の四中工ゴール近くで試合が展開されたが16分6秒にはまたも小林君がドリブルで持ち込み、城山君、西村君をかわして川縁君がマークに入る前にミドルを放つ。小林君はG大阪の出身で今大会は準々決勝まで2ゴールを決めていた。
開始から富山が攻め込めば四中工DFが上手くラインを上げてオフサイドを取っており開始18分で3回もオフサイドがあった。
富山の応援席がこちらから見ると手前に陣取っているので彼らの声援が良く聞こえる。
“とや〜まだいいちっっ !! “ という声援が”うらぁ〜われっず!!“に聞こえた。
四中工は男子校なのでセットプレーになると男子生徒独特の声量でのコールが聞こえる。
しかしオフサイドを取られても富山の方が攻める時間が続いた。 
そして21分11秒、川縁君からのスルーに抜け出した西村君がシュートに持ち込むが再びGK高田君がナイスセーブでCKに逃れる。そのCKを細木君がショートコーナーで西村君に送り、中央の野沢君にクロスが上がるが野沢君の頭に当たらずマークに入った坂君に当たりこぼれた所を拾ったCB藤井君が四中工ゴールに蹴りこみ優勢だった富山が先制した。
ゴールを決めた藤井君はそれまで守備面でしっかりと四中工の攻撃を抑えており、セットプレーで上がって来て今度は得点を決めた。

先制した富山は更に攻勢に出る。28分52秒には中盤からのスルーパスにFW渡辺君が完全にフリーで抜け出しGK高田君と1対1になるがエリア外で高田君と交錯した渡辺君が転倒。主審はすかさずカードを出すがそれはイエローカードだった。
“一発レッドでもおかしくなかったですねぇ〜。”Iさんと意見は一致していた。 “プロならレッドじゃないですか….”
PKではなかったが危ない位置でのFKを献上した。このFKを富山はトリックプレーを使い野沢君が強烈なショットを放つ。しかしここはGK高田君が左に倒れこむナイスセーブでストップ。2年生の高田君はこれで大会2枚目のイエローで勝っても決勝戦は出場できない。だけど今はこの試合の事しか考えていなかっただろう。 
32分には四中工に次のトラブルが起こる。空中戦で大塚君と競ったCB後藤君が倒れて起き上がれない。 大塚君の後頭部に眼底部を激しく打ち付けた様だ。後藤君がピッチ外に運び出される。四中工ベンチ前にアップをしていた栗田君が呼ばれる。CBを欠いた四中工はMF服部君を暫定的にDFラインに入れる。34分には左からのクロスに大塚君が飛び込むがGK高田君が競り合いながらストップし追加点を許さない。そして拍手に向かえられて後藤君がピッチに戻ってきた。
人数が揃ったせいか今度は徐々に四中工が押し返す。両サイドからワンタッチパスでボールを繋ぐシーンが目立ち始めた。
そして42分右サイドの良い位置でFKのチャンスを掴む。さっきは富山がトリックプレーを見せたけど今度はどうなるか…と注目する。
大辻君と中田君の両サイドバックがボールの後ろに立つ。そして中田君が蹴った弾道はゴール右上隅に突き刺さり四中工が試合を振り出しに戻した。 
GK高橋君は最初にフェイクに入った大辻君の動きに一瞬右側に動き反対方向に飛んでくる弾道に反応できなかった。しかしそれを差し引いても素晴らしいFKだった。





“すごいFKでしたね。” “準々決勝までなら今はハーフタイムでしたね。45分ハーフの明暗ですか…”
同点になり四中工ベンチは後藤君をベンチに下げ栗田君を投入した。
“やっぱり、あの25番やれないですか….” ベンチに下がった後藤君が悔し泣きに暮れるのがこちらからも解った。

ロスタイムの2分間も過ぎ 1-1 のまま前半が終わった。両軍控え室に戻るときに主将同士が言葉を交わしていた。
どんな話をしたのかな……



両チームメンバー変更無しに後半が始まった。 まだ日は高く、日向で暖かかったけど直射日光がこちらを照らし向こう側のゴール前にボールが運ばれると手のひらで日よけを作らねばならなかった。 後半はどちらがより多く相手ゴール前にボールを運ぶだろう。開始直後は両チーム右サイドからの攻撃が目立った。
52分9秒、渡辺君が坂君のマークを振り切り中田君がマークに入る前に放ったシュートはGK高田君がキャッチ。53分25秒には西村君が坂君をかわしてシュートに持ち込むがまたも高田君がナイスセーブでストップ。ベンチには一昨年の準優勝時には1年生ながら控えGKでベンチ入りし昨年は2年生で選手権に出場した3年生の中村君がいた。決勝戦では高田君が出場停止になるが何とか先輩の中村君に出場機会をと思っていたのではないかな。
だが富山が追加点を決める。 56分25秒、今度は左サイドを野沢君がドリブルで上がりCBをひきつけながら中央に送る。そのこぼれダマを正面で拾った細木君が四中工ゴールに押し込み再びリードを奪った。 マークに入った大辻君が一瞬逆の方に体重がかかり細木君にシュートチャンスを与えてしまった。



再び四中工はリードを許したとはいえまだまだ時間は残っている。選手交替も含めてどのようにして同点ゴールを模索するのだろうと思っていると次に選手交替を行ったのはリードしていた富山だった。68分 163cmの左SB竹澤君を下げて176cm の菅田君を投入した。 まだ少し早いけど相手のロングボール対策かな…ってな話をIさんと交わした。
72分四中工は攻め込まれながらもシュートは撃たせず一本のライナーの縦パスが前線に送られる。そこに走りこんだ井出川君がドリブルで富山ゴールに迫ると富山DF,MF陣は全く彼を捉えられない。井出川君がそのまま放ったドリブルシュートが富山ゴールネットを揺らし四中工があっさりと同点に追いついた。







見事な一本のパスそして見事な高速ドリブルだった。
“ビルドアップや構築の方策なんていらないですね。1本の縦パスとドリブル突破だっていうお手本ですね。” I さんはこう振り返った。 今、日本代表と言うか日本人の指導者に必要なのはこの発想も持つことだろうなぁと思わせられた。
同点に追いついた四中工ベンチは2年生MF加藤君を下げて2年生の舘君を入れる。舘君は昨年1年生ながら60分から途中出場をした実績がある。
そして同点に追いつかれた富山ベンチは74分2人目の交替選手。3年生の高浪君を2年生の西村君に替わって投入する。3年生が入ってよかったなぁ〜と思う一方で高浪君のドリブルに思わずおっと思わされる。
だが終盤に来て攻勢に出るのは追いついた四中工。 81分、坂君からボランチの森島君に渡り細木君のマークを受けながらも舘君に送ると村上君のマークをうまくかわしてシュートに持ち込むがポストの右に外れる。 82分25秒にはまたも坂君から森島君に渡りマークに入った野沢君のチャージがファールとなりFKとなる。そして前半同様大辻君がダミーとなり中田君の直接狙ったFKが僅かにクロスバーを越える。 85分にはクリアーボールを拾った森島君がオーバーラップした大辻君に送り入れたクロスに井出川君が藤井君と競りながら飛び込むがここはGK高橋君がキャッチ。 
四中工は森島君と小林君のドリブルが冴える。ボランチから後ろの押し上げも早いせいかこぼれダマをことごとく拾い続ける。
PK戦になっても準々決勝の履正社戦でPK戦を経験したばかりの四中工の方が有利かなと思った。時計は90分を迎えようとするとIさんが “ アップしていたGKが呼ばれましたね。””準決勝は延長戦無しですか?” “そうだと思いますよ。PK戦要員のGKですかねぇ”
そして90分42秒、何ともいえない歓声の中3年生GKの田子君がピッチに入った。公式戦は初めての起用らしい。



“PK戦の前に1回ボールを触った方が良いんですけど。” “それが強烈なシュートだったら可愛そうですね。”
92分13秒、富山ゴールマウスに入れられたロブを田子君は無難にキャッチしたけどその1分後のゴールキックはそのまま中田君に渡ってしまいロングシュートを撃たれた。ゴール枠は捉えられなかったけど中田君は当たっていたからなぁ….
そしてホイッスルが鳴り国立競技場では20回目の、準決勝としては16回目のPK戦に突入となった。
思えば初めてPK戦という言葉を覚えたのは小学校の時の全国高校サッカーのこの四中工の試合だった。相手は当時の競合校、神戸高校だった。 そして四中工がPK勝ちを収めた。
“昔はPK戦じゃなくて抽選が行われたんですよ。主将同士がじゃんけんして勝った方が2通ある封筒のどちからを選んで..”
公式では引き分けとなるサッカーのPK戦だけど、いつみてもどきどきすますねぇ〜….

先行の富山も後攻の四中工も最初の2人ずつは無難に決めた。そして富山第一3人目の野沢君も左下隅に決める。
“富一のGKは2人とも蹴る方向の読みが当たっていますね。”とIさんが言う。そして3人目中田君のPKを見事に左下に飛んで弾き出した。



 “良いFK蹴っていたんですけどねぇ〜。それがあだになりましたか….” さすがI さん、言われるまで気付かなかった。 富山は4人目渡辺君が決め、外せば終わりの四中工4人目村澤君は右上に決めた。 そして富山5人目の細木君は中央に蹴りこみ激戦に終止符を打った。




“GK、ちょっと動くのが早すぎましたか….” おもわずこう言ってしまった。だけど蹴ってから飛べというのは妥当なアドヴァイスではないだろう….
富山第一が富山県というよりも北信越勢では初めて決勝進出を決めた。 あの柳澤を擁しても出来なかったのだけど。
GK田子君はこのPK戦で一躍ヒーローに。 結局決勝戦は出場機会が無かったので国立というよりも公式戦に出場時間は数分だったけど人々の記憶に残る数分だった。卒業後はサッカーを続けるのかな….
敗れた四日市中央工はまたも単独優勝に手が届かなかった。しかしこの試合のスタメン5人が1,2年生。新チームも楽しみではないかな。
両チームの選手が挨拶を兼ねて場内を一周する。勝者と敗者。明暗は痛いくらいに対照的だ。
“富一のGKだけこちらのバックスタンドの前で一礼しましたね。” I さんが教えてくれた。あれだけ喜びを爆発させながらもう次の試合に向けて冷静になってるんじゃないですか….と口にした。

まだ両チームの選手が残っているのだけど次の試合の選手達がピッチに入ってきた。
“おいおいもう入ってくるのか?”“放送時間が押しているからでしょうね。” 
そして四中工の3位の表彰は第二試合終了後に行いますとの場内アナウンスが。
“すぐに帰してもらえないの?ちょっとかわいそうだねぇ〜。” 
まだ暖かい陽射しが残っている。この陽射しは両チームの選手に何年かしたら違った思いでよみがえるんだろうなぁ〜と思いながら次の試合開始を待つことにした…..

国立最蹴章 ここは京都勢にとっては鬼門か 星陵 4-0 京都橘 11th January 2014

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暖かな直射日光はまだこちらを射している。準決勝第二試合は始まったばかり。まだスタメンを確認しようとピッチとノートと専門紙をかわるがわる見回してる最中だった。
“あっ、あれっ、あ〜っ”隣の I さんが声を上げた。その直後に歓声が上がる。 開始まだ2分半足らずだった。星陵FW仲谷君が先制ゴールを蹴りこんだ後だった。
“上手く真ん中で潰れて、左から決めましたね〜。” I さんが解説する。 ゴールシーンを見ていなかった私は後方のスクリーンを振り返る。星陵右MF原田君からのアーリークロスに真ん中に走りこんだ森山君に橘のCB林君と清水君が引き寄せられる。しかしボールは更に左に流れ追いつこうとした倉本君の前に走りこんだ仲谷君が先に拾いそのままフリーで蹴りこんだシュートが橘ゴールに決まった。 左SBの倉本君、ショックが残らねば良いけど… と思った。
キックオフから原田君がそれまで2度ほどロングボールを蹴りこんでいた。 前日の練習で何度も橘のMFとDFの間にロングボールを放り込む練習をしていたらしい。 その成果が開始早々に出たのだった。
私は先制されても小屋松君を中心とした京都橘の攻撃陣が爆発するんじゃないかな〜と期待はしていたけど。
この時はこの先制ゴールが試合を大きく左右するとは想像出来なかったんだなぁ〜。


 
PK戦まで縺れ込んだ第一試合。全選手がまだピッチに居る間に星稜と京都橘の選手達がアップに出て来た。
準決勝進出4校の中で私がもっとも注目と言うよりも期待をいていたのが京都橘だ。昨年は優勝に“王手”を掛けながらPK負けを喫し1967年度山陽高校と同校優勝を果たした洛北高校以来の京都勢優勝の悲願はならなかった。エース小屋松君が残る今年は洛北高校と言うよりも1958年度、日本サッカーの重鎮、釜本邦茂を擁して単独優勝を果たした山城高校以来の快挙を目指す。
初戦はいきなり静岡の名門藤枝東高校と当たったが、林、赤澤両君のゴールで 2-0 で快勝。3回戦の那覇西高校戦では前半に中山君の2ゴールと小屋松君のゴールで3点を先取。後半那覇西、國吉君に2ゴールを許すも逃げ切り準々決勝の市立船橋戦に臨んだ。2年連続国立を狙う京都橘は、今年度のインターハイそして一昨年の選手権王者相手を圧倒。特にエースの小屋松君はさすがというパフォーマンスを見せ2ゴールを挙げチームを勝利に導いた。
地元と全校生の大歓声を受ける関東の雄である市立船橋を会心の試合運びで破ると言う関西人の私には非常に溜飲の下がる試合結果を残してくれた。そして今大会の選手権はベスト4に関東勢が残れなかった。



対戦相手の星稜高校はくしくも昨年の選手権準決勝戦で優勝した鵬翔高校に終了9分前で勝ち越しゴールを挙げながらその2分後に同点ゴールを喫しPK戦で苦杯を喫した。 要するに前年優勝した鵬翔高校に国立で敗れた高校同士が決勝進出を掛けての対戦という事になったのだった。





市立船橋戦を80分間交替選手無で戦い来た橘は同じイレブンがスタメンに並んだ。そして準々決勝戦ではPK戦の末GK近藤君の神憑り的な3連続PKストップで勝ちあがった星稜も同じスタメンで準決勝戦に臨んだ。



橘はGK永井君、右SB倉本君 CB 林君、宮吉、中野のMFの両君とFW小屋松君が昨年決勝戦を経験したメンバー。星稜は MF 寺村君、CB寺田君、右SB森下君が鵬翔戦のスタメン。そしてGK近藤君が控えでベンチメンバーだった。



先制を許した橘であったが、時間はまだ十分にある上に市立船橋戦のパフォーマンスを思い起こせばそれが良いハンディになると勝手に楽観していた。
11分14秒、小屋松君が中野君に戻し再び前線で受けた小屋松君が放ったシュートは相手DFに当たりCKにそのCKから宮吉君がシュートを撃つがGK近藤君の正面に。
前半10分を過ぎるとようやく両校の応援席が埋まった。第一試合が押したからなぁ〜。





 
Iさんから指摘が入る。“小屋松君のワントップになっていないですか?” 目を凝らしてピッチ上を見ると小屋松君がワントップで宮吉君と中山君が2列目でボールを受けたり小屋松君に送ったりとしていた。 
だけどこれまで無失点の星稜DF陣もなかなかシュートを撃たせない。 小屋松君がボールを持つとすぐに誰かがマークに入る。4人の最終ラインが前後左右にうまく動いていた。そして攻撃に転じるときは一旦中に入れて橘のサイドラインを中に寄せてからまたタッチライン沿いに出して京都のサイド、特に宮吉君のいる左サイドを上手く突いていた。 その対策か20分過ぎからは小屋松君がトップ下に下がり中山君と宮吉君の2トップとなった。
だが21分15秒、アクシデントが橘を襲う。 中盤でハイボールをヘッドで競り合った宮吉君の後頭部に森下君の頭が入り、宮吉君がそのまま倒れて立ち上がれない。結局外に出さざるを得ない事に。 ここに来て愛するサンガの宮吉拓美の弟が離脱するのはちょっと厳しいなあと思った。 1人少なくなっても橘は24分小屋松君が起点となり藤村君、中野君を経由してCB二人のマークを受けながらも中山君に送りシュートを演出する。このショットはGK近藤君の正面に飛んだが、マークを受けてもこういうボールを出せるという小屋松君はさすがと思わされた。
そして27分頃に宮吉君がピッチにもどり小屋松君のワントップになったが30分になるとまた小屋松君と中山君の2トップになった。 グランパス入りが内定している小屋松君にボールが入るとマークがすぐに着く、しかし2人、3人と囲まれてもパスを出す。ただ受けた橘の選手もすぐに星稜のマークを受けるけど。
40分を過ぎると焦りからか橘は前線への縦パスが目立ちだすが反対に星稜DFに引っ掛かっていた。
それでも小屋松君にボールが渡ると何かが起きる。 42分34秒には小屋松君から右サイドを上がった倉本君に渡りシュートに持ち込むがGK近藤君がキャッチ。 43分21秒、カウンターから中央を小屋松君がドリブル突破で上がると最後は星稜ボランチ平田君がファールでストップ。そしてこのプレーに日比野主審からイエローカードが出された。 これで平田君は累積警告2枚目。 勝っても決勝戦は出られないことに。 だけど彼もこの試合の事しか考えていなかっただろうなぁ〜と思った。
ロスタイムが1分と表示される。 46分には小屋松君が寺村君のマークを受けながらもスルーパスを中山君に送る。しかしここはCB上田君がマークに入りシュートは撃たせなかった。そして前半終了のホイッスルが鳴った。
この時点でも後半、京都橘の攻撃が爆発してくれることを期待していた予想もしていた。非常に安易に….?



メンバー交代がないまま後半のキックオフとなった。星稜MF寺村が左サイドから右サイドに回っていた。 宮吉君の上がったところを攻め込む方策か…. 47分23秒にはその寺村君がドリブルで上がるが宮吉君と小川君がマークに入る。
そして50分20秒、攻め込んだ星稜は右サイドからこの時は左サイドに戻っていた寺村君に送る。そしてマークに入った倉本君の脚に掛かり転倒すると日比野主審はホイッスルを鳴らしスポットを指した。 故意的では無かったけど寺村君の脚に掛かっていた。倉本君の表情が…. ここで得たPKを寺村君が右下に冷静に蹴り込みリードを広げた。 藤枝東戦ではPKをストップした永井君だったけどここは止められなかった。一瞬逆方向に動いてしまったのが痛かったか…..







だけどまだ時間は40分ある。橘の攻撃力からすればチャンスを充分あると思ったし攻撃陣の奮起も期待した。
55分橘ベンチが動く。宮吉君を下げて180?の赤澤君を投入する。藤枝東戦ではゴールを決めている。 昨年宮吉君はボランチでプレーしていた。どちらが得意なんだろう?卒業後は…愛するサンガに入ってくれたら良いんだけどなぁ…
赤澤君が投入されててからすぐの57分、左SB小川君から中山君にロングフィードが送られるがGK近藤君がエリア外に出てヘッドでクリアーそのこぼれ球を拾って中山君から赤澤君に送られシュート態勢に入るが藤田君がブロックして撃たせない。
57分59秒ロングフィードが前線に走り込んだ中野君に送られる。中野君が走り込むが再びマークに入った藤田君と交錯して転倒する。一緒悲鳴が沸くが日比野主審は笛を吹かない。
“吹いても良くなかったですか〜。” “その方が試合は面白くなりますからねぇ〜。”
後半は開始から小屋松君が2列目に下がっている。その小屋松君が61分にはドリブルで上がりヒールパスを中野君に送るがシュートは撃てない。 後半に入ってもボール支配率は橘の方が良いようだけど星稜DF陣もなかなかシュートを撃たせない。62分6秒には左サイドを中山君から小屋松君そして赤澤君に回り逆サイドの中野君に藤田君がマークに入る前に放ったシュートはGK近藤君がナイスセーブでCKに逃れる。 そのCKから小川君がヘッドで合わせるが寺田君がクリアーをしてCKに逃げた。 
橘の時間が続く中63分20秒、星稜FW仲谷君が右サイドをドリブルで上がって来るとマークに入る林君が追いつかない。
そしてライナーで入れられたクロスに走り込んだ原田君が小川君と清水君ともつれながら放ったシュートが橘ゴールに決まりリードは3ゴール差となった。
“このゴール大きいですね〜。” “これで星稜はしっかり守って思い切ったカウンター攻撃が出来ますね。”
“残り30分で3点差ですか〜。” “橘の時間だったんですけど〜。”
橘DF陣は左SBの小川君が1年生で他の3人、CB清水君、林君そして右SB倉本君が2年生。 ちょっと星稜のスピードある一発の攻撃に後手を踏み過ぎていたか…そしてこのゴールで橘応援駅がすっかり静かになってしまった。
 “ こんな時こそ更に応援してあげないといけないんですけど。”
しかしピッチ上は星稜MFが下がり気味なのもあるけど橘の攻撃が再び展開される。 
64分35秒には小屋松君が仲谷君、寺村君に囲まれながらもドリブルで上がり平田君もかわして藤田君の前でミドルを放つ。68分21秒、今後は中野君がドリブルで上がり小屋松君の送りミドルシュートを導くがここもGK近藤君がナイスセーブでストップ。こぼれ球を藤田君のマークをかわして中野君が放ったショットは平田君がクリアーしCKに。
72分56秒には中山君がドリブルシュートに入るが今度は藤田君がマークに入りCKに。 73分26秒、小屋松君が平田君のマークを受けながらも左サイドから上げたクロスに上田君がヘッドを撃つがGK近藤君がキャッチ。 
3点目を献上してから小屋松君は2列目に下がり中野君や赤澤君が前に上がって来ていた。
せめて1点を返せば橘応援席も湧き上がるんだけど〜とおもったけど75分、仲谷君からパスを受けた森下君が右サイドを上がり中に入れるとどんぴしゃのタイミングで中央に走り込んだ森山君がワントラップで清水君をかわして蹴り込んだシュートが
またも橘ゴールに突き刺さりこれで 4-0 になってしまった。







4失点を喫した卒業後はロアッソ熊本入団が内定しているGK永井君の表情がちょっと。 こんなはずでは… と思うのは彼だけではない。私もだ…



あぁ〜。先月サンガもここで 0-2 で惨敗を喫して昇格に失敗した。 今度は橘か〜と思ってしまった〜。
せめてここで橘のゴールが見たいなぁ、サンガが決められなかったゴールを橘が決めてくれないかなぁ〜と願った。しかしゴールは生まれなかった。4点目が入った直後に寺村君が右サイドから放ったシュートが逆サイドのポストにボールひつつ外れていったシーンは見せられたけど。 終了間際に橘が得た好位置でのFKは外れたけど。

試合が終わってIさんとあの聖火台付近に行って記念写真を撮った。ここからはこういう風景になるのかぁ〜と思った。



ピッチ上では京都橘と四日市中央工の3位の表彰式が始まった。 表彰式が終わって応援席へのあいさつを終えた小屋松君が泣き崩れた。
“最後にこらえきれられなかったんですね。” Iさんが呟いた。
昨年はFWにもう一人仙道君がいた。今シーズンは全て小屋松君が背負ったみたいだった。 

そして競技場を出た。星稜高校の大集団と遭遇した。みな嬉々としていた。あたりまえだけど。
I さんと私は前から行きたかった信濃町のペルーレストランに向かった。そしてご主人と70年代からの南米サッカーについて語り合った。
そしてレストランを出てIさんはご実家のある三島に向かわれた。 またこういう機会を作ることを約束して。

選手権が終わって2週間が経った。昨シーズン我々を沸かせた高校生たちは今はどうしているのだろう。 
そして小屋松君は来シーズングランパスでポジションをとれるだろうか。

みんなが有意義に過ごしている事を祈るよ。



この試合が・・・・ 試合後で知ったよ 浦和 0-1 鳥栖 10.March 2014

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ようやく席に着いた時はキックオフ後だった。
この日は鳥栖サポーターの陣取るアウェー側で観戦した。さすがさいたまスタジアム。
良く見える。天気も良くて快適だ。 
すると左サイド、濱田から森崎への縦パスが弱く、森崎に届く前に安田がかっさらい、金民友に送ると金はヒールで安田に戻す。そのまま安田はサイドを突破し入れたクロスにファーサイドの豊田が高い打点から放ったヘッドがレッズゴールネットに突き刺さった。
ワールドカップメンバー入りを目指す豊田陽平の素晴らしい一発のヘッドだった。 
周囲の鳥栖サポーター達は一斉に立ち上がる。 そして Vamos Vamos ! 陽平!豊田陽平!!のチャントを始めた。








目の前で豪快なヘッドを決められたレッズサポーターにはこのゴール、どう映ったのだろう?
だけどマークに付いた永田が完全に振り切られていた。豊田で無くてもこれだけうまくマークを外してヘッドを放てばプロの選手だったら外す選手は皆無に等しかっただろう。 確かに安田のクロスも素晴らしかったけど。

この試合と言うよりもどうしても豊田陽平を見たかった。 北京五輪であれだけのパフォーマンスを見せながらチームメイトの代表での活躍ぶりを見せ付けられた豊田が最後のどれだけ意地を見せるか?それを見たかった。
昨夏、韓国で行われた東アジア選手権では柿谷に注目を奪われ、そのご大迫が台頭した豊田にとってJ-League で結果を残すことしかチャンスを見いだせないはずだった。しかしそれは正当なチャンスのはずだ。ザッケローニ代表監督がJ-League を平等に評価していれば。
鳥栖に今シーズンから加入した安田理大も北京五輪メンバーだ。先制ゴールは北京五輪メンバーで演出されたという事か。

先制ゴールを許したレッズはこの日、槙野、永田そして濱田の3バック。2列目左は平川でなくて森脇だった。怪我で離脱のリシャルデスがいない事もあり興梠がワントップで原口、梅?がトップ下に入り宇賀神が2列目右。ボランチには阿部と柏木で鈴木啓太はベンチスタート。ホーム開幕戦を白星で飾りたいところであったが最も警戒すべき相手にまさに得意な形で失点を許してしまった。

同点ゴールを狙うレッズは森脇が結構起点になっていた。相対する安田が素晴らしい突破を試みるがそれをケアーしながらの起点であったのでこの日のスタメン起用には応えられたと思う。
ただ興梠に入ったあとの2列目の飛び出しやポジショニングがやや遅い気がした。 12分24秒はようやく原口が藤田がマークに入る前にシュートに持ち込むがここはGK林がナイスセーブで防ぐ。14分27秒には槙野が上がってきてミドルを放つ。
やはり槙野が上がらないとだめか? 24分、森脇が上げたクロスに梅?がヘッドで合わせるが惜しくもポストの左に外れる。
25分原口がまたもドリブルシュートを放つが枠を外れる。でも見ていて原口の様なドリブルシュートは見ていて気持ちがいい。サッカー未経験者にとってはこういうシュートを見たい。
27分にはまたも森脇が上がり入れたクロスに原口が菊池と競りながら飛び込むがヒットしなかった。
先制ゴールを演出した安田は何度も素晴らしい上がりを見せていたいけど、レッズはその裏を狙っている様に見えた。元韓国代表の金民友ともう少し縦パスの交換に絡めばいいんだけどなぁ・・・・


32分には安田の上がった裏に森脇がロングフィードを出す。梅?がそこにフリーで受けるはずがCB呂成海が手ではたき落としイエローカードを受ける。まぁ抜けていればそのままフリーで梅?がシュートに持ち込んでいたかもしれないが。
35分には森脇がまたもクロスを入れるがここは菊池が興梠と激突しながらストップ。
攻めあぐむレッズは38分20秒前線に上がった柏木がスルーパスを出すが攻撃参加した槙野に惜しくも届かない。40分33秒には柏木から左サイドを上がった槙野に渡りクロスが入るがGK林が出て来てパンチで弾き出す。
前半終了間際の43分33秒には阿部が柏木に替わって上がるがここでも鳥栖DF陣に守りきられ前半が終わった。
鳥栖は先制後は殆ど守勢に回っていたのではないかな?それにしてもタフに守り切っていた。
だがレッズサポーター達は後半はゴールを大いに期待していたしそれに値するレッズの攻撃時間の長さだった。



鳥栖とレッズはある縁がある。 1997年2月、サガン鳥栖の前身となる鳥栖フューチャーズが破産しその受け皿チームとしてサガン鳥栖が発足。1997年シーズンは特別にJFLとナビスコ杯の参加が認められた。 そのナビスコ杯の初戦で浦和レッズと激突。鳥栖は見事に 0-0 で引き分け、専門誌は“サガン鳥栖。ここにあり!”と見出しを付けた。
佐賀県に発足したプロサッカーチームの存続の為に当時は5万人を越える署名が寄せられた。そしてサガン鳥栖が発足したのだけど、ナビスコ杯の初戦、浦和レッズ戦での健闘がなければ、もし大敗しておれば今の鳥栖はなかったのではないかな?と思っている。

レッズのキックオフで始まった後半。 開始早々早坂がドリブルで上がりCKを引き出す。そのCKから藤田がシュートを放つが惜しくも外れる。 どうも試合開始、再開直後はレッズのマークは甘いなぁ。
48分にはレッズがFKを得るがここはGK林がキャッチ。セットプレー時には阿部が上がって来るが豊田がマークに入る。
セットプレー時では豊田がマークに着いたり、攻撃時には阿部、槙野とマッチアップをしたりと迫力があった。 豊田のハイボールに対する守備意識の高さは東アジア選手権でも証明済だ。このあたりは代表入りへのアドヴァンテージにはならないか?
54分40秒、レッズベンチが動く。CB永田を下げてFW李忠誠を投入する。これで李がワントップになり興梠と原口がトップ下の左右に入り、梅?が左MFに入り森脇がDFラインに入った。 そして守勢に入ると梅?が右SBに入りレッズのDFが4バックになったように見えた。 



58分21秒、原口がフリーでシュートチャンスを迎えるが外してしまい、天を仰ぐ。 69分レッズベンチは2人目の交替選手、関口を投入し梅?を下げる。




そして鳥栖も74分には池田を下げて元韓国学生代表の金敏赫を入れ、もう5バック態勢に入り、77分には金民友を下げて岡本を投入し守備の強化を図る。
現状を打開したいレッズは最後の交替選手、鈴木啓太を濱田に替えて投入する。誰をDFラインに入れるのかな・・・阿部かな・・・・
85分にはレッズは波状攻撃を見せ鳥栖ゴール前に迫るが豊田までがゴールライン付近に戻りゴールラインを割らせない。



87分17秒には早坂を下げて高橋を投入する。交替で下がった池田、早坂は攻守と言うよりも守備への切り替えが早かった。それだけ疲弊も早いのだろう。
89分、鳥栖ゴール前にボールが出て李が迫るがその前にGK林がキャッチ。 レッズサポーターの前に何度もレッズ攻撃陣が迫るがゴールラインを割ることは出来なかった。 



そしてタイムアップのホイッスルが鳴り響いた。



その日の夜のニュースでの JAPANESE ONLY の件を知った。この試合、レッズサポーター席で観戦した息子に尋ねてみたけど全く気が付かなかったらしい。 そして息子が言うには“李忠誠のことじゃねぇ?”と言っていた。“忠誠は日本人だぞ。 Asian Cup のオーストラリア戦で決勝ゴールを決めただろ?”と言うと、どうもこの時はまだ李忠誠はレッズサポーター達には受け入れられておらず、この試合も途中で李忠誠が投入の為にピッチサイドに現れると周囲のサポーター達から“あぁ〜これでこの試合はもう得点入らないや。”との声が漏れていたらしい。それとも今、レッズは外国人助っ人無でやっている、早く助っ人探せってことかな?と言っていた。
この時はそれほど重大な問題になるとは思っていなかった。
ただ民族問題は世界で席圧しており、根が浅かったらこんな横断幕くらいは問題にならなかったんじゃないか・・・と思う・・・・

今年もJ-Leagueが開幕した。ワールドカップイヤァーの今年はどんなドラマが待っているのだろう。

願わくは来シーズン、愛するサンガがここに登場する事を・・・・・


どうなる今シーズンのサンガ  そして俺の体調… 湘南 3-0 京都 29.04. 2014

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帰りの電車の中でも咳は止まらない。というよりも更に酷くなってきた。
東海道線でしか頻繁には見られない4人掛けの向かい席には私以外は2人の乗客が座っている。
数十分に亘って咳が止まらない私を見る目が徐々に….私が同じ立場なら・・・・。
電車が川崎を過ぎて都内に入って来た。 これ以上はと思い席を立って扉付近に立ち、大きく伸びをした。少し身体が楽になった。
そして試合の事を振り返る余裕が出来た。 

最低だったなぁ〜・・・・・・

昨年12月8日。 あの国立の悪夢。2013年 J1 昇格プレーオフから4ヵ月。
遂に連続4シーズン目のJ2を迎えてしまった。 本当に今シーズンこそJ1に抜け出さないとJ2が定住の地となってしまう。
すぐに降格しても良いから今シーズンこそJ1に昇格してくれないとなぁ〜。 そう思うのは私だけでなくサンガサポーターの強い願いだ。
チーム得点王だった原一樹。そして何試合も主将を務めた安藤淳を初め昨年のメンバーから結構主力が抜けた。
チョンウヨンに倉本、中村佑哉、秋本倫孝。それにシーズン途中からは久保裕也。安藤はセレッソに移籍しても未だ出番が無いんだから京都に居てくれよ〜とおもってしまう。
そうは言っても残ってくれた主力選手もけっこうタレントぞろいだ。 一番大きかったのはGK呉承訓が残ってくれた事だ。スンフンにとってはワールドカップメンバーの入れるかの大事なシーズンなのに….
バヤリッツァ、酒井隆介、福村貴幸、工藤浩平、そして山瀬、横谷、駒井そして宮吉も残ってくれた。ここに移籍組の有田、石櫃そしてかつての日本代表メンバー大黒がどうチーム力を上げてくれるか。 3シーズン続いた大木武体制から今シーズンは監督もブラジル人の Badu 新体制に変わりどういう戦術で勝ち点を重ねてくれるか…. と胸算用していた。

しかし蓋を開ければ勝ち点を伸ばせないもたつき。 開幕戦の北九州戦こそ昨シーズンまでサンガにいた原一樹のゴールで先制されるも3連続ゴールで幸先よく逆転勝ちを収めたが、以降湘南戦を前にまだ連勝が無く、第7節から3試合連続引き分けで第9節を終わって3勝5分1敗。首位湘南とは13も勝ち点差が付いていた。
その湘南は開幕から負けなしの連勝街道。その連勝をストップしてまだ早いけど首位戦線に留まって欲しいと思った。
自宅から平塚までは電車で2時間半近くかかる。だが休日パスを使ったので交通費は1000円近くは安くなった。
そして東京駅から東海道線までの1時間半近い時間を車中遠足気分でスーパーのとんかつ弁当で縁起を担いだ。
隣のご婦人たちは缶チューハイで盛り上がっていたけど。
窓の外は曇り空。天気が持てばいいんだけどなぁ〜と案じた。

競技場に到着した時は小雨模様。 BMW平塚競技場は陸上競技の試合で来た事がある。(大昔だけど。)
サンガの試合を見に来たのはJ1最後のシーズンとなった 2010年以来4年振りだ。
だけどやっぱり見にくいなぁ〜。 これで入場券が3000円かぁ〜。 実はこの日の天候が心配で前売り券を買うのを見送ってしまった。そして試合当日、大雨になりそうにはないと判断し当日券を購入したのだ…..

サンガのスタメンは前節MFでスタメンだった山瀬に替わって60分から投入された横谷がそのままスタメン入りした以外は同じメンバー。 湘南は前節、3-1で勝利した横浜FC戦のスタメンから2列目左に岡田に替わって武富を、中盤右を亀川に替えて藤田をスタメン起用した。共に前節交代出場した選手がそのままスタメンに名を連ねた。岡田は前節の横浜FC戦ではゴールも決めていたんだけどなぁ〜。




昨シーズンはJ1で戦った湘南だけどFWウェリントン、武富、大槻、MF菊池大介ボランチ永木そして3バックの中で遠藤と三竿の二人が昨シーズンJ1の厳しさを経験したメンバー。
第7節から千葉 ( 6-0 ) 大分 ( 4-0 ) そして横浜 ( 3-1 ) と“強豪”を連破。J1で戦う事は違うんだなぁ〜と思わされた。
それが京都にどう通じるか…とも考えていたんだけどなぁ〜。

雨脚がやや強くなる中、試合はサンガのキックオフで始まったが早々にホームの湘南がこちら側のサンガゴールに攻めこんでくる。4分35秒には武富がドリブルシュートに持ち込むがこれは外れてくれた。 
11分今度はバヤリッツァが相手選手を倒してPAのすぐ外側の左サイドと言う嫌な位置でFKを与える。
サインプレーから最後は藤田が直接狙うがポストの右に僅かに外れていく。 ちょっと危ないシュートだった。
サンガも立ち上がりは両サイド、左の比嘉、右の石櫃が高い位置を保つが前線へのパスがカットされて相手DFを慌てさせるシーンが作れない。 湘南の前への推進力とは差があるなぁ〜と思った。
23分駒井の相手選手へのチャージがファールに取られてまた先程と同じ様な危ない位置のFKを与える。
その真後ろで我々サポーターが陣取っているのだけど、今度は丸山が直接狙い、その弾道は壁の左を巻いて左ポストをかすめる様に直接サンガゴールネットに突き刺さり先制点を奪われてしまった。




見事な弾道であったけど、FKを与えたのも湘南の早い前線への推進力をファールで止めざるを得なかったのが原因だった。
前節は引き分けだったけど完封されたのを考えればこの試合では先制点が欲しかったんだけどなぁ〜。 
先制を許してもサンガの劣勢は変わらない。 失点直後にはウェリントンのスルーパスから大槻が正面からシュートを放つがここはスンフンが脚でストップ。  29分には工藤のタックルがファールそしてイエローと取られ与えたFKからウェリントンがヘッドを放つがここもスンフンが逆を取られながらも何とかキャッチ。 31分には左SB三竿に突破を許し、クロスを入れられるが戻ったバヤリッツァがカット。
相手PA近くにまで寄れずに劣勢が続くサンガは32分有田、33分横谷が連続してミドルを放つ。何とかこれをきっかけにリズムを掴んでくれと思うも36分には湘南がカウンター攻撃に移り縦パス1本が武富に通りサンガゴールに迫るがシュート態勢に入ったところを必死に戻った比嘉がタックルでストップ。42分にはまたも左サイドを突破し最後は三竿がシュートを放つ。
左SBの三竿は昨シーズン大卒で入団したけどリーグ戦での出場機会は無かったらしい。しかしこの試合では何度も攻め上がって来ていた。
湘南は攻守に亘り常に選手が一人余っている様に見えるほど運動量とポジショニングの良さを見せるのでサンガのDF、MF 陣は後手に回る。
何とかCBのバヤリッツァとGKスンフンで止めていたという感じが続いた。
サンガは大黒の裏への飛び出しだけが頼りだったがそこに寄せる選手が遅かったり、寄せてきた選手にはしっかりマークが付いておりシュートに持ち込めない。 



このまま前半は 1-0 で思った47分、我々に悪夢が襲う。 サイドチェンジから左サイドに渡り三竿が菊池との縦パスの交換からサイドを抜け出し入れたライナーのクロスに武富が走り込み合わせたヘッドがスンフンと左ポストの間の狭い隙間を破り追加点を決められてしまった。 酒井のマークが少し甘かったかなぁ・・・・
痛い時間の追加点だった。 これでサンガサポーター席は静まり返ってしまった。 そして私の咳もこのころから酷くなってきた… そして雨脚が強くなってきた・・・・



約1週間前に軽い風邪を引いてしまった。 熱は無かったけど咳が止まらない。昨年も同様の症状だったけど熱は上がったけど咳はすぐに止まったんだけどなぁ〜。 声を出すたびに咳き込んでしまうので後半からは声を出せなかった。
こんな症状もサンガが後半巻き返してくれればそれで治るんだけどなぁ・・・・・と期待したんだけど。

サンガベンチはFW有田を下げて大黒と組む2トップの相方は三平となった。 宮吉はどうしたんだろう・・・・・
湘南のキックオフで始まった後半。 1分もしないうちにサンガゴール前に運ばれCKを献上する。 そのCKからあっさりと3点目を決められた。 ウェリントンが酒井、バヤリッツァのCBの前に入り込みうまく二人を抑えその前に走り込んだ遠藤にフリーでネアーサイドに叩きこまれてしまった。 目の前で見事な遠藤のヘッド見たベルマーレサポーター達からは大歓声が上がる。



あぁ〜、J2の日程が発表された時から楽しみにしていたこの試合が・・・・2時間以上かけて見に来た試合が・・・・
雨の中ここまで咳き込みながら見てきた試合が・・・・・
この時点でサンガのこの試合の勝利はまず考えられなくなった。 

この失点で奮起したのかサンガは連続してシュートを放つ。49分40秒には駒井がミドルを放つがポストの右に外れ、その直後も三平からボールを受けた大黒がシュートに持ち込むがこれも外れて行く。
早い時間に1点を還してほしいとおもうのだけど・・・・・
63分湘南ベンチが動く。藤田に替わって宇佐美宏和が投入される。昨シーズンはJ1で9試合出場した経歴がある選手だ。
そしてほぼ同時にサンガもボランチのジャイロを下げて中山博貴が投入された。 これで中盤からの攻勢が厚くなりサンガが攻め込んでくるシーンが増えた。しかし湘南ゴールネットが本当に遠い。 65分11秒カウンターから大黒から受けた三平が放ったシュートはクロスバーを越え、72分50秒、今度は大黒がPA内に侵入して来るがシュートを撃てない。 76分には比嘉が左サイドを上がり中に入れた所を大黒がシュートに持ち込むもポストの右に外れ、78分には再び比嘉が入れたクロスに大黒がヘッドを放つがGK秋元がセーブ。 秋元を慌てさせたのはこのシーンだけだったのではないかな・・・・



一方3点差をつけている湘南ベンチは余裕だ。 72分には武富を下げて梶川諒大を78分にはウェリントンを下げて中村祐也を入れて徐々に守備を固める。中村は昨シーズンアキレス腱の断裂でシーズンを棒に振ったらしい。
向こう正面の湘南サポーター席からの歓声が良く聞こえる。
せめて1ゴールでも・・・・と思う気持ちもむなしくタイムアップのホイッスルが鳴った。
完封したGK秋元のガッツポーズが印象的だった・・・・・・



試合が終わりサンガの選手達が挨拶にやって来た。サポーター達からは怒号が飛び交う。こういう試合結果では・・・・・
Badu 監督には更なる不満の声が。 監督は暫くサポーター席を見つめていたけど球団職員に促されてベンチに戻って行った。こんな時でも前は“京都サンガ!”の歓声が沸いたのだけどこの試合だけは・・・・・・





咳は全く止まる気配無く、足早にバス乗り場に急いだ。そして列車に乗り込んだ。
4人席に最初に座り込み、3人の若者が座って来た。みなベルマーレグッズを持っている。
“あらら、完全アウェーになってしまったね。”と声を掛けるとうち一人はジェフのサポーターだったけど今住んでいるところが遠いのでこの日は平塚に観戦に来たとのことであった。
色々なJリーグの話に花が咲いた。 日本リーグ時代の話をしたら真剣に耳を傾けてくれた。俺も歳なんだなぁ〜。
彼らと話しているときは咳はそれほどでなかった。彼らは戸塚でみな降車した。丁寧にあいさつをして。
そしてまた私の咳は止まらなくなった・・・・・・・

今も咳はまだ止まらない。あの医者で貰った咳止めはさっぱり効かない。本当はもっと深刻な病なのだろうか?

次節も湘南は水戸を相手に 1-0 で勝利を収めて連勝を11に伸ばした。
サンガは最下位の讃岐を 4-1 で破りやっと西京極で今シーズン初勝利を挙げた。終了間際に失点したことは頂けないけど。
次節横浜FC戦は今季初めての連勝を掛けて臨む。だけどそんなことよりも湘南、磐田と対等以上に戦えるチームにならないと・・・これだけは言える。今のサンガはJ1でプレーするに値しない。もし上がれても相手にされずに陥落する。

そして俺の咳も早く何とかしないとなぁ・・・・・

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